マネジメントがうまくいかない組織に起きていること-現場で回る仕組みをつくる2つの鍵-
「言うのが面倒」「自分が直接やった方が早い」
そんなふうに思って、つい色々なことを、自分でやろうとしてしまう。。
プレイヤーとして成果を出してきた経営者や管理職の方が、プレイヤーからマネジメントへ、立場が変わっていく中で、多かれ少なかれぶち当たる問題だと思います。
事業の立ち上げ期には、人数も少なく、業務も目が届く範囲だから、それでも何とかなりますが、
売上規模も増え、チームが大きくなり、店舗や拠点が増えたり、プロジェクトが並行して走り始めると、“1人で見られる限界”は、あっという間にやってきます。
限界は、気合いでは超えられない
「もっと管理を徹底しよう」「週1で全員面談しよう」
そんなふうに、自分ががんばる方向でなんとかしようとしても、
現場のスピード感に追いつかなくなり、判断が遅れる、何もしないまま時がすぎていく、最悪の場合、顧客の不満につながり、最終的にクレームとなってしまう。
そうすると、より一層自分が動かざるを得なくなってしまいます。
人数が少ないと、気合いがむしろ、他との差別化になっていたりするので、プレイヤーで結果を残した人は余計この壁が大きいかもしれませんが、組織がある程度の人数や規模を超えると、「仕組みとマネジメント」がないと、どこかで必ず詰まります。
がんばりには限界がありますが、仕組みは限界を超えることができます。
時間がなくても、人が変わっても、一定の品質を保てるように設計されたものは、人の「気合い」とは違って、安定的に組織を支えてくれるようになります。
1人のマネージャーが、適切に目を配れる人数は、5〜8人程度と言われていますので、それ以上に人数や規模が大きくなると、現場と経営の間に“中継役”を設けて、判断やマネジメントを任せられる人をつくる、ということが必要になります。
ではこのマネジメントの機能をどうやって会社に取り入れる、定着させるのか?どうやってつくることができるのでしょうか?
この時に大事なことが2つあります。それは、
役割や責任の範囲・所在を明確にすること
そのことをみんなが知っていること
です。
定着のカギは、「役割の明確化」と「共有」
まず大切なのは、役割や責任の範囲を明確にすること。
「この人は、どこまでを見て判断するのか」
「何を本人が決めてよくて、どこから上長に相談するのか」
といった線引きが曖昧なままだと、結局は「全部また自分に戻ってくる」ことになりますし、役割を課された本人も動けないです。
何をどこまでやるのか?責任の範囲や期待値を擦りあわせる必要があります。
次に大事なのが、
そのことを“みんなが知っている”状態にすることです。
いくら役割を決めても、それを現場が理解していなければ、結局「誰に相談すればいいかわからない」「直接社長に言った方が早い」状態に逆戻りします。
組織内での立ち位置について、いわゆる"お墨付き"をすることです。
他にはどんなことが必要?
以下のような視点もあわせて意識できると、マネジメント機能はより根付きます。
・任せる相手に「判断材料」と「裁量」を渡すこと
同じ情報を持って、同じ判断を下す、という訓練をする。まずは同じ情報を持つことから始まります。情報というのは、物理的に見える物である資料や素材のようなものだけではなく、
•情報の流れや判断の分岐点を“見える化”すること
業務フローや決裁は誰か?また、
・任された人が孤立しないように、相談先やフォロー体制を整えること
育成とケアも含めた設計にすること。
このように、役割をただ「渡す」だけではなく、その人が機能できる状態まで“整える”ことが、マネジメントの定着には欠かせません。
これしてないかな?マネジメント失敗する”あるある問題”
これだとうまくいかない、ということをあげてみました。
① 「肩書きだけ渡して終わり」になっている
役職をつけた=マネジメントが始まった、と思ってしまうパターン。
実際には、何をどう任せてほしいのかが不明確で、本人も周囲も戸惑い続けることになってしまいます。
→ 対策:役職とセットで、役割・判断基準・情報の流し方を明示すること。
② 「任せたつもり」で、実は口を出し続けている
形のうえでは任せたけれど、いざとなるとつい自分で判断・介入してしまう。
結果、周囲から見れば「やっぱり全部社長が決めるんでしょ?」となり、信頼と自律が損なわれます。
→ 対策:判断を預けたら、口を出す前に一拍おく。サポートと介入は違うと認識する。
③ 「現場に伝わっていない」問題
上層部では役割を決めたのに、現場には何も共有されていない。
現場からは「誰に聞けばいいか分からない。だから動けない、動きが悪い(と見えてしまう。)」「結局社長に聞くしかない」となり、形骸化してしまう。
→ 対策:組織の誰が何を担っているのかを“見える化”し、全員に共有すること。
④ 「任せっぱなしで育成しない」
「もう管理者なんだから自分でやってよ」と、フォローも振り返りもない状態に。
任された人は不安のまま孤立し、結果的に機能しなくなったり、離職したりしてしまう。
→ 対策:“任せる”は“放置”ではない。育成と支援の体制もセットで設計する。
マネジメントが“機能する”と、何が起きるか?
マネジメント機能がしっかりと定着し、現場で“回る”ようになってくると、
組織の空気感や流れが、はっきりと変わってきます。
• 社長に集まっていた判断が分散されて、
日々の意思決定がスムーズに。
• 現場の報告・相談が“整理された状態”で上がってくるようになり、
対応がラクになる。
• やった方がいいけど後回しにしていたことに着手でき始めるようになる。
• 社長が“前を見る時間”を持てるようになり、
次の打ち手を考えられるようになる。
つまり、マネジメント機能の定着は、「経営の選択肢と自由度」を増やすことでもあるのです。
機能するまで、何度でも整える
マネジメント機能は、一度決めたら終わりではなく、運用しながら整えていくものです。
動かしてみてうまくいかないなら、何がボトルネックになっているのかを見直せばいい。
「現場で機能する仕組み」になるまで、試行錯誤を惜しまないことが、強い組織づくりへの近道です。
組織の人数が増えてきたのに、なぜか手離れしない。人を増やしたのに、なぜか楽にならない。
それは、見える“人の数”の問題ではなく、見えない“仕組みの構造”の問題かもしれません。
がんばりには限界がありますが、仕組みは限界を超えることができる。
「すべてを自分で見なければならない」から解放されるために、
まずは“任せても回る構造”を、小さくてもいいので設計してみることから、組織はちゃんと、前に進んでいけるようになります
それを支えるのが、“仕組み”という構造です。
人が辞めたときにゼロからやり直さずにすむのも、マネジメントが重たくならないのも、経営者が“全方位の目配り”から解放されるのも、仕組みがあるからこそ。
「自分が全部見ていた方が安心」という思いを超えて、“任せても回る組織”をつくることができれば、もっと大きな成果を、チームで出せるようになります。
そのために必要なのは、がんばりではなく仕組みをつくる、という選択です。
