スターウオーズ 1,2,3
3
小さな欲が全てを台無しにする
すごい才能を持った少年がジェダイに見いだされ、成長して本当にすごい力を発揮するようになる。育ててくれた先輩とは兄弟のような親しい関係でいられたが、恋をして結婚して、その女を守ろうとして悪の手下になる。
宇宙は戦争中で、国連みたいな共和国連合があって、それを離脱した星々と戦っている。離脱した星は、悪い独裁者の影響を受けていて、民主主義の敵。という図式は、この映画が作られた2000年頃のあ、東西冷戦の状況が見事に反映されている。
ただ民主主義を奉じる共和国連合も、元老院という議会に絶対的な権力があり、ジェダイはジェダイでマスターのヨーダが圧倒的な発言力を持っている。少年アナキンの指導役オビワンは、必ず元老院とかヨーダの指示に、盲目的とも思えるような態度で従う。
そしたら3作目で、大人になったアナキンが、悪の帝王に見事に言いくるめられ、あれよあれよという間に、ジェダイを敵視する思考になってしまった。戦うことになった師匠のオビワンに、アナキンは文句を言うが、オビワンは、自分がしたことの結果だと因果応報を説く。
セリフに、仏教の要素がちょいちょい顔を出す。見た目も、髪型とか衣装に昔の中国の王族のような印象がある。武器は日本の刀みたいでもある。1に出てくるレースの場面は、ベン・ハーの馬車レースを思わせる。砂地の星のシーンの色合いは、まさにベン・ハーの世界そのものって感じで、いろんなものへのオマージュなりリスペクトなりがありそうだ。
そして日本人にとっては、ドラえもんに出てくるアカンベーダーとか、藤子F作品への影響を思わずにはいられない。スター・ウオーズもいろんな作品の影響下で制作されているが、それがまた多くの影響を与えている。そしてドラえもんの影響はまたより広い世界へと拡散されている。
この作品ではオビワンとアナキンの師弟関係が大きなテーマだ。2人は教え、教わるという関係にありながら、時に軽口をたたける兄弟のような間柄だった。それが女のこと、権力者の策謀などから、簡単に壊れてしまう。アナキンはジェダイへの強い不信を抱いてしまったが、もし冷静さを保つことができたなら、オビワンと決裂することはなかっただろう。
こんな感じで分裂していった好例が、日蓮の門下なのかもしれない。日蓮という一人の僧から、いくつもの宗派が生まれ、現代も教団間の諍いは収まることがない。どの寺も教団も南無妙法蓮華経を唱えるという、傍から見れば同じことをしているように見えるのに、当事者たちは互いの違いを強調し、自らの優位を誇ろうとする。おそらく日蓮も、遡って釈迦も、そんな事態を望んではいない。
アナキンの場合、ボタンの掛け違いというほど軽いものではなかったが、女を救いたいという思いが強すぎた。欲が目をくらます。大きな欲は多くの人の助けになるが、自分だけの欲は周りの人との軋轢を生む。そしてオビワンがアナキンに言ったように、自分のしてきたことの結果で自分が苦しむことになる。
アナキンは奴隷の母子家庭で育ち、女手一つで育ててくれた母親が殺され、それでジェダイの修行も頑張れたが、愛する女を守ろうという愛欲が全てを壊してしまった。自分の強大な力を使い、愛する女とよりよい暮らしをしようという欲は、その愛する女からも拒否される。
破滅のもとは自分の欲。小さな欲が身を亡ぼす。さらに悪いことには、自分の不幸が自分の行いの結果だと、なかなか認めることが人間にはできない。アナキンは、ものすごい力を身に着けダース・ベーダーとなるが、その根底にジェダイへの恨みがある限り、どんなに力を発揮し世界を掌中に入れたとしても、幸せや満足を感じることはないだろう。不幸なまま、人をも不幸にし続けることになる。誰も得をしない。そのきっかけが小さな欲だ。人は生きている限り、欲をなくすことはできない。であれば、できるだけ欲を大きな欲にするよう努めることが、自分も周りも豊かに生きられることにつながる。
