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【事業部紹介】宇宙ビジネスを「実証」から「収益化」へ。ソリューションエコシステム事業本部が挑む、産業のエコシステム創出の取り組み

「宇宙ビジネス」という言葉が日常でも聞かれるようになり、多くの企業がこの未知の領域に挑戦しています。しかし、業界全体として「技術実証(PoC)」から「持続的な収益化(マネタイズ)」への移行に苦戦しているのが現状です。

そうした中、アークエッジ・スペースでは、衛星技術を社会に根付くサービスとして成立させるための取り組みを推進しています。その中核を担うのが「ソリューションエコシステム事業本部」です。

本記事では、ハードウェアとソフトウェアの両面から、宇宙産業におけるエコシステムの創出に挑戦する同事業本部について紹介します。


ソリューションエコシステム事業本部について

前提:アークエッジ・スペースが考える“エコシステム”とは?

「エコシステム」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。私たちが定義する「エコシステム」とは、「繋がった要素の集合」ではなく、「繋ぐことで地域課題の解決と経済的価値創出が持続的に起きる状態」そのものを指します。

具体的には、
①衛星というハードウェア
②地上の課題を解決するソリューション
③それらを接続・運用・拡張するプラットフォーム

の三層が相互に作用し、地域固有の課題解決と経済活動を成立させる全体構造です。そしてこの三層は、人と組織のネットワークによって支えられています。宇宙に関わる人材が増え、産業の内外で繋がっていくこと自体も、私たちが目指すエコシステムの一部です。

重要なのは「循環」です。ある地域に衛星データとIoTによる情報取得手段が入り、そのデータが意思決定や事業に活用され、次の投資や活動を呼び込む——この循環が自律的に回り始めた地域が、一つのエコシステムとして成立します。私たちはこの循環を世界各地で引き起こし、これまで世界経済から切り離されがちだった地域や人々が、持続的な経済活動や豊かさにアクセスできる状態を生み出すことを目指しています。

現状と課題:技術実証(PoC)から前進しにくい宇宙ビジネス

この「エコシステム」という定義に照らし合わせると、現状の宇宙ビジネスでは、多くのプロジェクトが、衛星を打ち上げてデータが取得できたことを確認する「技術実証(PoC)」の段階で止まってしまう傾向が見られます。

技術的に優れた取り組みであっても、それが顧客の課題を解決し、対価を支払ってもらえる「プロダクト」として成立しなければ、事業としての継続は困難です。結果として、「衛星を作ること」自体が目的化してしまうことも。その先の「どう使われ、どう利益を生むか」という視点が充分になされていないケースも少なくありません。

こうした状況下で、収益化のフェーズで足踏みをする宇宙スタートアップ・ベンチャーも多く、市場全体が広がりにくいという構造的な課題が指摘されています。個々の企業が限られた市場の中で競争するだけでは、社会全体を大きく変えるインパクトには至りにくいのが実情です。

ミッション:実証から事業化へ。宇宙産業の「成功事例」を創出する

ソリューションエコシステム事業本部の使命は、この「PoCの壁」を突破し、宇宙ビジネスを持続的に成立する事業へと繋げていくことです。

補助金や研究予算に依存せず、顧客が継続的に利用したいと感じるプロダクト・サービスを確立する。そして、私たちがその一例を示すことで「宇宙ビジネスの収益化」を実感として届ける。こうしたある種の成功のロールモデルになることを目指しています。自社の技術だけで市場を独占するのではなく、成功事例を作ることでパートナーを呼び込み、宇宙ビジネスのエコシステムそのものを育てていく。それが私たちの目指す姿です。

アプローチ:クローズドからオープンへ。市場全体の拡張を見据えた戦略

ミッションの実現に向け、私たちは「オープン戦略」と「ハード×ソフトの統合」というアプローチをとっています。

かつての宇宙開発は、高度な技術を特定の機関や企業が囲い込むクローズドな構造でした。しかし、それでは産業の裾野は広がりません。私たちは、衛星データを利用するためのプラットフォームやノウハウを可能な範囲でオープンにし、Web企業や異業種のプレイヤーが参入しやすい環境づくりに取り組んでいます。

さらに、「衛星を作る力(ハード)」と「データを活用する力(ソフト)」の両方を自社で持つことで、顧客の状況に応じた解決策を提示できる体制を整えます。例えば、「データが欲しいが、そのための衛星がない」という顧客には衛星の提供を検討し、「衛星データはあるが、活用方法がわからない」という顧客にはプラットフォームを通じた利用支援を行います。

そして私たちの最大の強みは、「衛星を作る力(ハード)」「データを活用する力(ソフト)」「現地でローカルデータを収集するIoT」の三つを自社で統合していることです。単に上空から地球を観測するだけでなく、地域の内部にセンサーや端末を配置し、現地が真に必要とするローカルデータを大規模に収集できる。このローカルデータの取得能力こそが、GAFAMのようなグローバルプラットフォーマーとの本質的な差別化となり、地域課題に直結した実用的なソリューションとして機能します。

3年以内の目標としては、「実証レベルを超えた商用サービスの確立」を掲げ、失敗を恐れずに挑戦する「Fail Faster, Succeed Sooner(早く失敗し、早く成功する)」の精神で、産業のインフラ作りを推進していきます。


ソリューションエコシステム事業本部が注力する2つの事業

このミッションを実現するために、本事業部では「データソリューション」と「衛星ソリューション」という2つの事業を並行して推進しています。どちらか一方ではなく、両方を同じ本部内で手がけることで、顧客にとって最適な解決策を一気通貫で提供できるような体制を整えています。

1. データソリューション事業:現場課題に即したプラットフォーム「ArkEdge Insights®」

一つ目の柱は、衛星データや地理空間情報を活用し、具体的な地上の課題解決に対応するためのプラットフォーム「ArkEdge Insights®」の展開です。

◼︎ArkEdge Insights®とは

衛星データ(光学・SAR)に加え、ドローンや航空機による測量データ、地上のIoTセンサーから得られるデータ、さらには気象情報や船舶のAISデータ、現地保有のデータや行政データなど形式の異なるさまざまな情報を一つの地図上に統合・可視化できる「地理空間情報プラットフォーム」です。

ユーザーは専門知識を持たずとも、多様なデバイスに最適化された直感的なUXを通じて、膨大かつ複雑なデータから現場で真に必要なもののみを即座に引き出し、農業の生育管理や災害時の迅速な意思決定に役立てることができます。

この事業の特徴は、徹底した「現場主義」と「モダンなWeb技術の活用」にあります。

特徴①:現場主義(現地へ飛び込み、解くべき課題を見つける)

一般的に、衛星データ解析というと研究室で高度なアルゴリズムを回すイメージがあるかもしれません。しかし、アークエッジ・スペースでは、実際にエンジニアが国内(静岡・鹿児島など)・国外(パラグアイ、ブラジル、キルギス、フィジーなど)の現地へ赴き、現地のユーザーと膝を突き合わせて開発を行っています。

例えば、南米パラグアイでの事例です。現地では水資源の管理や農業生産性の向上が課題となっていました。それに対して、日本からリモートでいくら「衛星データで解決します」と提案しても、現地の本当のニーズとはズレてしまう可能性が高いです。なぜなら、現地の通信インフラや使用デバイス、現場担当者のITリテラシーといった「前提条件」が、日本とは全く異なるケースがあるからです。想定した高機能なツールも、現地の回線速度では重すぎて動かない、あるいは現場の業務フローに合わず使われない、といったことが往々にして起こり得ます。

そこで私たちのチームは現地に赴き、現地のワークフローや生活実態に深く入り込んで、「何が課題の本質か」を自分たちの目で見極めることを大切にしています。実際、そうすることで初めて見えてくることがあります。

パラグアイでは雨季の河川氾濫が農村部に壊滅的な被害をもたらしていますが、緊急事態庁が物資を事前に輸送するための判断材料が不足していました。また、同国の主要輸出品目である大豆の収穫・輸送ロジスティクスも、気象・水位データの精度に大きく依存しています。こうした現場の実態を把握しているからこそ、「河川の水位予測モデルを構築することで、洪水発生前の初動対応を可能にし、緊急物資輸送をタイムリーに実行できる」「大豆の収穫・輸送計画の精度を上げ、農家と物流事業者の双方に経済的価値を生む」という具体的な提案ができます。

ニーズを聞いて表層的な課題に答えることに留まらず、現場を知ることで本質的な課題を定義する。この姿勢こそが、私たちの現場主義の本質です。

特徴②:Web技術の活用(衛星データの民主化)

これらの開発において重視しているのが、「一般的なWeb/IT技術で衛星データを扱えるようにする」という考え方です。特殊な解析ソフトが前提となる環境では、利用の裾野は広がりにくくなります。

そのため、モダンなWeb技術やオープンソースの考え方を積極的に取り入れ、現地のエンジニアでもメンテナンスや機能追加ができるようなシステム設計を採用しています。こうした設計により、私たちが直接関与し続けなくても、現地で運用されて、システムが進化し続け、真のインフラとして定着するよう意識的に取り組んでいます。

2. 衛星ソリューション事業:宇宙利用の選択肢を広げるインフラ提供

二つ目の柱は、自社で衛星を持たない企業や研究機関に対し、宇宙を利用する手段を提供する「衛星ソリューション事業」です。ここでは主に「ホステッドペイロードサービス」と「衛星IoT・コンステレーション構築」を展開しています。

◼︎ホステッドペイロード
新たに開発したカメラやセンサーを宇宙で実証したい企業に対し、アークエッジ・スペースの衛星の空きスペースを活用することで、軌道上での実証機会を提供します。従来、自前で衛星を打ち上げるには数億〜数十億円のコストと数年の開発期間が必要でしたが、本サービスを利用することで、低コスト・短期間で宇宙空間での実証が可能になります。これは、宇宙利用への参入のハードルを劇的に下げることを目的とした取り組みです。

◼︎GAFAMに渡り合う衛星IoTとコンステレーション構築
アークエッジ・スペースが展開するデータプラットフォーム「ArkEdge Insights®」やエコシステム構築において、独自の競争力を持つ最大の理由は「ローカルデータ」の取得能力にあります。 巨大なグローバルプラットフォーマー(GAFAM等)は、インターネット上の既存データを活用することには長けていますが、地上の通信インフラが整っていない地域(僻地や海上、森林の奥地など)の一次データを直接収集する物理的な手段を持っていません。

私たちは、携帯電話の電波が届かない環境下でもデータ収集を可能にする「超小型衛星によるIoT通信網」を構築することで、彼らがアクセスできないデータを取得し、本質的な差別化を図ります。さらに、将来的には60機以上の衛星を連携させた「コンステレーション」を構築し、地球上のあらゆる場所を高頻度かつリアルタイムに近い形でカバーします。

衛星の設計・製造から量産、そして運用・サービス提供までを一貫して行える「垂直統合型の製造能力」があるからこそ、世界規模のIoT通信網を圧倒的なコスト競争力で構築することができます。


アークエッジ・スペースの取り組みを可能にしている背景

アークエッジ・スペースは、このエコシステムをどう実現しようとしているのか。その背景となる考え方や体制、私たちならではの強みを紹介します。

1. 衛星という「ハードウェア」を自社で量産してきた経験

多くの衛星データ利用企業は、他社が運用する衛星の画像データを取得・解析する形が一般的です。その場合、「欲しいデータ」を「欲しいタイミング」で取得することには制約が生じやすくなります。

私たちは衛星というハードウェアそのものを設計・製造してきました。データ取得の要件から逆算して、必要な衛星ミッションを設計できる。すなわち、「データが足りないなら、そのための衛星を開発し打ち上げることができる」という発想ができることが最大の武器です。超小型衛星の量産化においては、将来的に100機、1000機という規模での生産・打上げを視野に入れた検討を進めています。

2. ビジネスとエンジニアが一体となった開発体制

一般的なメーカーでは、事業部が仕様を決め、開発部がそれを実装するという分業体制が取られることが多くあります。一方、ソリューションエコシステム事業本部では、ビジネス開発(BizDev)とエンジニアが同じチームとしてプロジェクトに従事します。

エンジニアも事業側のメンバーと共に海外の現場に赴き、顧客との対話を通じて、技術的な実現可能性をその場で判断。そこからモックアップを素早く作り、ユーザーに触れてもらい、フィードバックを即座に反映する。このトライ・アンド・エラーの高速ループを現場で回せることが、私たちの開発体制の強みです。

3. 多様な「ダイバーシティ」と「オープンソース思想」

アークエッジ・スペースには、航空宇宙工学の専門家だけでなく、Web業界やITメガベンチャー出身のソフトウェアエンジニアが多く在籍しています。そのため、プログラミング言語にRustを採用したり、GitHubを活用した開発フローを導入したりと、Web業界では一般的なスピード感や開発手法を参考に、宇宙開発の現場に採用できています。

また、「可能な限り技術や知見をオープンにする文化」も根付いています。オープンソースのように知識を共有することで、社内外に仲間を増やし、産業全体のレベルアップに貢献したいという想いがあります。


ソリューションエコシステム事業本部で働く魅力

最後に、このソリューションエコシステム事業本部で働くことの魅力についてお伝えします。専門的な知識・スキルだけでなく、ビジネスパーソンとしての総合的なレベルアップを目指すことが可能です。

◼︎ハイレベルな交渉力と説明力が身につく
対峙するのは国家や政府機関が多いです。宇宙関連の法制度が存在しない国で、電波利用のルール作りから支援することも珍しくありません。トップダウン(政府への働きかけ)とボトムアップ(現場のニーズ汲み上げ)を巧みに使い分けながらプロジェクトを動かす、高度な交渉力が身につきます。

■目の前の確かに存在する課題に向き合い、現場密着のプロダクト開発ができる 
自分の書いたコードが、地球の裏側で人々の命や生活を守る。現地へ赴き、ユーザーの潜在ニーズを掘り起こしてその場でMVP(実用最小限の製品)を作る。物理的な「衛星」と現場のリアルな「課題解決」がダイレクトに繋がっているからこそ得られる、強い手触り感があります。

◼︎幅広い語学力を実務の中で磨く機会がある
主戦場はグローバルサウス。英語はもちろん、南米、中央アジア、アフリカなど、多言語が飛び交う環境です。会社としても語学学習支援を用意し、本気で世界に挑むメンバーを後押ししています。

◼︎未踏未知の領域でも意思決定に向き合う経験が得られる
前例も正解もない未知の場所に飛び込み、リスクを取って決断する。エンジニアもビジネスサイドも関係なく、自ら現地に足を運び、未整理で不確実な状況でも前向きに捉え、自ら道を切り拓く姿勢が身につきます。


今回は、アークエッジ・スペースの「ソリューションエコシステム事業本部」について紹介しました。少しでも私たちの取り組みに興味を持っていただけたら幸いです。
アークエッジ・スペースでは、採用を実施中です。
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共に地球規模の課題解決に情熱を燃やせる仲間を待っています。