83arts|THEATER MILANO-Za 歌舞伎町大歌舞伎
新宿・歌舞伎町に澤瀉屋が初乗り! 歌舞伎町大歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内 獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)を観劇してきました!
歌舞伎町で歌舞伎を!
アートな複合ビルにある劇場
シアターミラノ座は新宿にある東急歌舞伎町タワーの6階、ゴジラのいるTOHOシネマズ 新宿の近くにあります。ホテルや映画館、劇場、ライブハウス、飲食店などが入った夜遊びスポットのイメージですが、ビル内にはさまざまな常設アート作品があります。
ミラノ座のアートは貼り紙に紛れてゴチャゴチャしてしまって、悲しみ。
ちなみに「歌舞伎町」の名前の由来は、戦後の復興のために歌舞伎の劇場をつくる計画があったからだそう。
獨道中五十三驛の初演は1827(文政10)年ですが、後半は市川團子さんの祖父・市川猿翁さんの創作によるものです。由留木(ゆるぎ)家の家督相続をめぐり、丹波与八郎(市川團子さん)と赤堀水右衛門(市川中車さん)が対立。物語は京都から東海道を通って江戸へ展開していきます。
歌舞伎役者×声優のコラボ公演
今回は、声優さんの朗読で楽しむ歌舞伎「こえかぶ」と歌舞伎のコラボレーションです。「こえかぶ」は初めて!朗読用にアレンジした台本を、声優さんが臨場感たっぷりに読み上げます。
声優さんは日替わりなので、時間とお金が許せば、それぞれの役の解釈や演じ分けの違いを聴きくらべてみたいですね。
声優さんのボイスメッセージ↓
兄にチラシを見せたら「第一線の人ばかりよく集めたなぁ。面白いのは関智一だな、途中でスネ夫出てくるんじゃね」(関さんはスネ夫役)と言うので、(そんな野放図が許されるなら山口勝平さんも「バーロー」とか言い出して変なところで笑い取っちゃうじゃん)と思いました。
「山寺宏一とかいいじゃん」(山ちゃんは出ません)とも言うので、(もはや山寺宏一ワンマンショーになってしまうよ)とも思いました。
歌舞伎の見どころは、中車さん演じる化け猫の宙乗り(フライング)と團子さんの十三役早替り! 楽しみですね。

●序幕 こえかぶ 京三条大橋から池鯉鮒まで
まず團子さんの口上(ごあいさつ)があり、その後に声優さんによる朗読劇となります。
由留木家を継ぐには、家宝である九重の印と銘刀・雷丸(いかずちまる)が必要です。悪役の赤堀親子は与八郎の父を殺して家宝を奪います。
その与八郎は重の井姫との身分違いの恋によって勘当されていましたが、父の仇を討ってお家騒動をおさめたら結婚を許されると聞き、旅立ちます。
ここで歌舞伎役者が登場しての「だんまり」、暗闇のなかで登場人物が勢揃いして、キーアイテムを奪い合うスローモーションのシーンとなります。『東海道中膝栗毛』をオマージュした演目なので、本筋にあまり関係のない弥次さん喜多さんも出てきました。
その後、ちょっとサブストーリー的な話になります。姉妹がひとりの男を取り合って、なかなか凄惨なエピソードが語られました。
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私が観た回は内田直哉さんというミュージカル出身のおじさまと、ハイトーンボイスが魅力の蒼井翔太さん。内田さんは全体的に聴きやすく、蒼井さんはアニメーションを聴いている感覚でした。
蒼井さんが上手で、若い男性の3人はそれぞれ個性が立っていて、女性役も自然、呪われ前後の声の変化も工夫が感じられました。顔が変形して口周りにもたつきのある喋り方がすごい。
歌舞伎では男性が女性役をやるのが常で、とくに若手は男女どちらの役もつとめます。ですが、声優さんは人によると思うので、媚やシナで誇張したわざとらしい女性になってしまわないか難しそうです。
●二幕目 歌舞伎 岡崎無量寺
河辺暁斎の猫みたいな化け猫が出てくる怪談話。私は十二月大歌舞伎(歌舞伎座、2023年)で観たことがあります。この時は坂東巳之助さんが化け猫役で宙乗りはなかったのですが、その化け猫に操られた村娘役の身体能力が凄まじく、土屋太鳳ちゃんみたいでした(コンテンポラリーダンスのようだったの意)。
先程ケンカしていた妹・お袖と由留木家の家来・民部之助の夫婦が一夜の宿を求めた古寺は、化け猫の住処でした。その化け猫は住んでいた城を由留木家に落とされた因縁があります。
老婆のフリをしながらも、ところどころ猫の性が垣間見える化け猫(中車さん)の怪演、わりと図太そうな村娘(市川喜介さん)、民部之助(市川青虎さん)の見事な百回り(激しい戦闘を表現する動き)に注目です。

休憩
ここで30分の幕間(休憩時間)ですが、すぐさまトイレに行かないと列が大変なことになります。お昼は客席で食べちゃってる感じ。(OKなのかな?)
売店では歌舞伎座土産(お菓子)やお弁当のほか、中車&團子さんのアクリルコースターやクリアファイル、声優さんの千社札シール、コラボドリンクなども販売していました。激混み。
●三幕目 こえかぶ 掛川より箱根大滝まで
与三郎と重の井姫の話に戻ります。与三郎は脚を鉄砲で撃たれて歩けず、重の井姫の牽く車に乗せられています。そこに水右衛門がやってきて、重の井姫に「俺の女になるか、さもなくば与三郎を殺すぞ」と脅します。
内田さんも蒼井さんも、苦悩と怒り、悲しみと後悔といった与三郎の複雑な胸中を繊細に演じていました。
アニメならキャラクターの表情や動き、効果音やBGMで演出できますが、そういった視覚的な補足情報がなく声だけで演じるので、声優さんの腕の見せ所ですね!
「水右衛門」のイントネーションが「ドラえもん」なの笑っちゃうな。時代劇や歌舞伎に馴染みがないと「えもん」と言ったら「ドラえもん」だもんな。
●大詰 歌舞伎 お半長吉 写書東驛路(うつしがきあずまのうまやじ)
ここからは團子さんの十三役早替り! 九重の印と雷丸を与三郎に届けんと、それを阻止しようと、老若男女さまざまな人物が登場する舞踊劇です。
入れ替わりがあまりに自然で、ちょっとよそ見した隙に別の人物に変わっていてびっくりしました! とくに弁天小僧菊之助から土手の道哲になるところ。後半のお半・長吉・江戸兵衛の目まぐるしい早替わりも頑張っています。
そう、東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」の江戸兵衛です。着物が違うので、江戸兵衛を見た気にはあまりならないんですけど。
そして最後は与三郎(團子さん)と民部之助(青虎さん)が水右衛門(中車さん)を追い詰め、成敗します! めでたし!!

こえかぶや怪談話、宙乗り、早替りと、観客を飽きさせないエンタメ性抜群の舞台でした。
まだ各公演ともチケットに余裕があり、当日券とU30チケット(当日券)もあるそうなので、ぜひぜひ観に来てほしいです!
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