TOEICも英会話も続けている。それでも仕事で英語を使えないのはなぜ?
TOEICのスコアは上がった。
オンライン英会話も続けていて、講師とはそれなりに話せる。
それなのに仕事になると、英語が使えない。
海外の同僚から突然話を振られると、言葉が止まる。英文メールは、一通書くだけでかなり時間がかかる。会議で聞いた内容は何となく分かっても、自分の意見を返せない。
「これだけ勉強しているのに、なぜ仕事では使えないのだろう」
そう感じる方は少なくないと思います。
ただ、これは努力が足りなかったからではありません。
TOEIC対策にも英会話にも、それぞれ伸ばせる力があります。
問題は、いま行っている練習と、仕事で本当に必要な行動の間に、まだズレが残っていることです。
英語を勉強することと、英語で仕事を進めることは、同じではありません。
TOEICも英会話も、無駄ではない
まず、TOEICの勉強が役に立たないわけではありません。
単語や文法を増やす。英文を一定の速度で読む。音声から必要な情報をつかむ。こうした力は、仕事で英語を使うための大切な土台です。
なお、ここでいうTOEICは、主にTOEIC Listening & Readingを指します。L&Rは名前のとおり、英語を聞いて理解する力と、読んで理解する力を測る試験です。
仕事では、理解した後に、自分で判断し、相手へ働きかける必要があります。
英会話も同じです。
講師との会話を通じて、英語を口から出すことや、相手の発言に応じることには慣れていきます。これも重要な練習です。
一方、レッスンでは話題があらかじめ決まっていたり、講師が会話を進めてくれたり、言葉に詰まれば待ってもらえたりします。
仕事では、自分の側に伝える責任があります。
状況を説明する。賛成か反対かを示す。期限を交渉する。分からない点を確認する。話がずれたら戻す。最後に、誰が何をするのかを決める。
同じ「英語を話す」でも、求められる行動が違います。
TOEICで基礎を作り、英会話で話す経験を積んでも、仕事で必要な行動を練習していなければ、最後の橋がつながらないことがあります。
仕事で必要なのは、「英語力」だけではない
例えば、オンライン英会話で週末の出来事を説明できる方でも、仕事の進捗を説明し、遅れている理由を伝え、現実的な期限を提案するとなると、急に難しくなることがあります。
日常会話より難しい単語が必要だから、とは限りません。
自分しか知らない情報を整理し、相手が判断できる順番で伝え、反応を見ながら次の一言を選ぶ必要があるからです。
TOEIC L&Rでは、問題も選択肢も用意されています。
英会話では、講師が話題と会話の流れを支えてくれます。
仕事では、そもそも何を伝えるべきか、相手に何を確認すべきか、自分で決めなければなりません。
ここで必要なのは、英語の知識だけではありません。
英語を使って、その場の目的を達成する力です。
会議なら、きれいに話すことより、必要な判断材料を共有し、結論へ進めること。
メールなら、間違いのない英文を書くことだけでなく、相手が次に取る行動を明確にすること。
英語を使えたかどうかの基準を、「正しく話せたか」だけに置いていると、練習も正しい英文を作ることへ偏ります。
しかし仕事の成果は、英語の正しさだけでは決まりません。
いまの練習と本番を、4つの項目で比べる
新しい教材を探す前に、いまの練習と、英語を使いたい本番を並べてみてください。
見るのは、次の4項目です。
1.扱っている内容
レッスンでは一般的な話題を話しているのに、本番では自社の商品、専門分野、進捗や課題を説明する必要がある。
この場合、英語力の問題だけでなく、仕事の内容を英語で扱う練習が足りていません。
2.自分に求められる役割
質問に答える練習はしている。しかし本番では、自分から質問し、提案し、合意を取りにいく必要がある。
答えることと、会話を前へ進めることは別の行動です。
3.英語を使う条件
一対一で、ゆっくり待ってもらえる環境では話せる。しかし本番は、複数人が参加し、話題が変わり、考える時間も短い。
同じ内容でも、条件が変われば難しさは大きく変わります。
4.できたかどうかの基準
文法や発音を間違えずに話すことを目標にしている。一方、本番で必要なのは、期限を確認する、懸念を伝える、次の担当者を決めることかもしれません。
練習の合格基準と、仕事の合格基準が違っていないかを確認します。
この4つを比べると、「英語力が足りない」という大きすぎる悩みが、具体的なズレに変わります。
TOEICも英会話も続けたまま、仕事への橋を足す
ズレが見つかっても、TOEICや英会話をすべてやめる必要はありません。
必要なのは、学習時間の一部を、実際の仕事に近い練習へ移すことです。
例えば、英会話レッスンのテーマを「最近のニュース」から「担当業務の進捗説明」へ変える。
先生に質問へ答えてもらうだけでなく、こちらから情報を確認し、最後に次の行動を合意するところまで練習する。
実際の資料を持ち込めない場合は、固有名詞や数字を変えた架空の状況を作り、仕事で起きるやり取りだけを再現する。
英文メールなら、例文を読むだけで終えず、「このメールを読んだ相手に、次に何をしてほしいのか」を先に決めてから一本書いてみる。
大切なのは、難しい教材へ進むことではありません。
自分が本番で行う必要のある行動を、練習の中にも入れることです。
TOEICで身につけた語彙や文法、読む力、聞く力。
英会話で積み重ねた、英語を口から出す経験。
それらを仕事で使える形へつなぐには、仕事と似た内容、役割、条件、合格基準で使ってみる必要があります。
「使えなかった一場面」から始める
「仕事で英語を使えるようになる」という目標は、そのままでは広すぎます。
まずは、直近で英語を使えなかった一場面を選んでください。
会議で意見を求められたのに、返せなかった。
進捗の遅れを説明できなかった。
相手の依頼が曖昧だったのに、確認できなかった。
英文メールを何度も書き直し、送るまでに時間がかかった。
その場面について、次の4つを書き出します。
何について話していたか
自分は何をする必要があったか
どのような条件で英語を使っていたか
何ができれば、仕事としては合格だったか
そのうえで、次の英会話レッスンや一人練習の一部を、その場面の再現に使います。
英語学習を続けても仕事で使えないとき、努力を増やす前に、努力の向きを確かめる。
TOEICも英会話も、すでに積み上げてきた大切な土台です。
足りないのは、また別の勉強を始めることではなく、いま持っている英語力を、本番の行動へつなぐ練習かもしれません。
追伸:TOEICも英会話も続けているけれど、「自分の場合は、何が仕事につながっていないのか分からない」という方へ。
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