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来る 考察|いちばん語られる「オムライス」が、いちばん嫌われていました。レビュー565件を数えた話

この記事が書くこと、書かないこと

『来る』(2018)を検索すると、Googleのサジェストが2番目に「オムライス」を出してきます。3番目は「ち が つり」です。どちらもラストに関わる言葉で、考察記事の定番になっています。

この記事は、その2つが本当に「観た人が気にしていること」なのかを数字で確かめます。結論から書くと、片方は当たっていて、もう片方は完全に外れていました。

  • 「オムライス」に触れたレビューは62件(11.0%)。たしかに多い
  • 「ちが…つり」に触れたレビューは1件(0.2%)。565件のうち、たった1人

そして、いちばん意外だったのはここです。オムライスに触れた62件は、この作品で唯一「全体より評点が低い」論点でした。考察でいちばん語られている場所が、観た人がいちばん怒っている場所だった、ということです。

材料は、映画.comに投稿されたレビュー565件の全文です。要約ではなく、1件ずつ開いて本文を取り、語の入っている件数と評点を数えました。

  • 母数=565件(映画.comの作品ページが表示している件数と同じ)
  • 本文合計=179,550字
  • 取得日=2026年9月5日
  • 全体の評点平均=3.11

以下、数字はすべてこの565件を自分で数えた値です。他人の集計を引き写した箇所はありません。

配給・東宝の公式チャンネルのメイキング映像を置いておきます。★予告そのものは、東宝MOVIEチャンネルに上がっていた5本がいまはすべて非公開です(2026年9月5日に oembed API で照合したところ、5本とも401が返りました)。公式に残っているのがこれだけなので、代わりに置いています。

ネタバレの境界を先に引きます

先に線を宣言します。

ここから先はネタバレを含みます。未見の方は本編を先に観てください。134分です。

  • この記事の地の文では、誰が死ぬかも、ラストの一行も書きません。
  • ただし、引用するレビューの原文には、結末に触れた記述が含まれます。原文を1文字も変えずに載せる方針なので、そこだけ伏せることができません。引用まで読むと実質的にネタバレです。
  • 引用は、その手前に必ず合図を置きます。読み飛ばせる形にしてあります。

原作『ぼぎわんが、来る』(澤村伊智)についても線を引きます。書くのは映画と原作で変わっている点の事実関係だけです。原作の結末そのものは書きません。

まだ観ていない方は、ここで一度離れてください。観た方は、このまま進んでください。

まず、Googleが出してくる言葉を全部書き出します

出発点をはっきりさせておきます。2026年9月5日に、Googleのサジェスト(suggestqueries API)で実際に返ってきた候補です。加工していません。

「来る 考察」で返ってくる10件

  1. 来る 考察
  2. 来る 考察 オムライス
  3. 来る 考察 ち が つり
  4. 来る 考察 映画
  5. 来る 考察 ラスト
  6. 来る 考察 知恵袋
  7. ぼぎわんが 来る 考察
  8. 朝 が 来る 考察
  9. 大いなる愛の前に全ては 巡り 来る 考察
  10. ホラー映画 来る 考察

「来る ラスト」で返ってくる10件

  1. 来る ラスト
  2. 来る ラスト 琴子
  3. 来る ラスト 考察
  4. 来る ラスト オムライス
  5. 来る ラスト シーン
  6. 来る ラスト 意味
  7. 来る ラスト 解説
  8. 来る ラスト ネタバレ
  9. 麒麟 が 来る ラスト
  10. 映画 来る ラスト

固有名詞として出てくるのは、「オムライス」「ち が つり」「琴子」の3つだけです(8番目と9番目は別作品です)。この3つが、いま検索で「考察の中身」として扱われているものになります。

この3つを、レビュー565件のなかで数えるとこうなりました。

  • サジェストに出る言葉 オムライス / レビュー565件での件数 62 / 割合 11.0% / 平均星 2.90
  • サジェストに出る言葉 琴子 / レビュー565件での件数 33 / 割合 5.8% / 平均星 3.38
  • サジェストに出る言葉 ちが…つり / レビュー565件での件数 1 / 割合 0.2% / 平均星 2.50

3つのうち1つが、565人中1人しか書いていません。

なぜレビューを全部数えたのか

考察記事を書くとき、いちばんやりやすいのは「よく検索されていること」に乗ることです。この作品の場合、それが「オムライス」と「ちが…つり」でした。

ただ、検索されていることと、観た人が実際に書いていることは、同じとは限りません。数え方はこうしました。

  • 映画.comのレビュー一覧を巡回して、レビューIDを565件集める
  • 個別ページを1件ずつ開き、構造化データ(JSON-LD)の本文と評点を取る
  • 取得できたのは565件/565件(100%)
  • 数えるのは「その語を本文に含むレビューの件数」であって、語の出現回数ではありません

つまり「オムライス」を5回書いた人も1件、1回書いた人も1件です。声の大きさではなく、その話に触れた人の頭数を数えています。

そのうえで、論点ごとに評点の平均を出しました。「何人が触れたか」だけでは、その論点が好かれているのか嫌われているのかが分かりません。

先に、この記事が持って行きたい3つの数字を出しておきます。

  • オムライスに触れた62件の評点平均は2.90。全体の3.11より0.22低い。この作品で唯一のマイナス側の論点です
  • 検索サジェストに出る「ちが…つり」は、565件のうち1件しか書いていない
  • 「ぼぎわんの正体」に触れた55件の平均は3.32。全体より0.20高い。正体が分からないこと自体は、減点されていません

3つ目がこの記事の中心になります。「分からない」が減点になっている人と、なっていない人がいて、その線がどこに引かれているかが見えるからです。

まず、論点ごとの数字を全部出します

565件を、論点ごとに数えた結果です。「差」は全体平均3.11との差です。

  • 論点 オムライス / 件数 62 / 割合 11.0% / 平均星 2.90 / 差 -0.22
  • 論点 意味不明・説明不足 / 件数 61 / 割合 10.8% / 平均星 2.60 / 差 -0.51
  • 論点 ぼぎわんの正体 / 件数 55 / 割合 9.7% / 平均星 3.32 / 差 +0.20
  • 論点 原作に触れた / 件数 168 / 割合 29.7% / 平均星 3.15 / 差 +0.04
  • 論点 「原作と違う」と怒った / 件数 19 / 割合 3.4% / 平均星 3.03 / 差 -0.09
  • 論点 終盤の大規模除霊 / 件数 109 / 割合 19.3% / 平均星 3.21 / 差 +0.09
  • 論点 笑ったと書いた / 件数 43 / 割合 7.6% / 平均星 3.48 / 差 +0.36
  • 論点 怖くないと書いた / 件数 62 / 割合 11.0% / 平均星 3.14 / 差 +0.02
  • 論点 小松菜奈(真琴) / 件数 107 / 割合 18.9% / 平均星 3.44 / 差 +0.33
  • 論点 松たか子(琴子) / 件数 114 / 割合 20.2% / 平均星 3.24 / 差 +0.13
  • 論点 妻夫木聡(秀樹) / 件数 155 / 割合 27.4% / 平均星 3.10 / 差 -0.02
  • 論点 中島哲也の名前 / 件数 60 / 割合 10.6% / 平均星 3.34 / 差 +0.23

マイナスに振れているのは、実質2つだけです。「オムライス」と「意味不明・説明不足」。この2つ以外は、触れた人のほうがむしろ評点が高いか、全体並みです。

ここで注意したいのが、「ぼぎわんの正体」がプラス側にいることです。正体が最後まで説明されないことは、この作品の設計そのものです。それなのに、そこに触れた55人の平均は3.32で、全体より高い。

つまり「説明がない」ことが嫌われているのではありません。嫌われ方には、別の理由があります。

「意味不明」と書いた61人は、何が分からなかったのか

平均2.60は、この記事で数えたどの論点よりも低い数字です。何が分からなかったのかを、原文で見ます。

ここから引用です。原文のまま、1文字も変えていません。出典は映画.com(movie/88644)です。

呪われる人と殺される人が支離滅裂。時間の流れも意味不明。狙われる動機も、出てくる言葉も、結果も、全て不明。

(星1.0/2020年5月3日投稿)

あと、シーンが度々移り変わり時系列がめちゃくちゃで理解が追いつきません。

時系列だけじゃなくあの世この世とか想像上とか空間そのもののシーン入れ替えも多く、こんがらがる。

(星1.0/2024年1月4日投稿)

最初の結婚式とかの無駄なシーンが長いような気がします

あと、最後まであれは正体を現さず

何か分から無かったのでとてもモヤモヤ

後半のお祓いのシーンで凄い気持ちが高ぶったのに

裏切られた気持ちでした

(星2.0/2020年11月23日投稿)

引用はここまでです。

3件に共通しているのは、「正体が分からない」ではなく「順番が分からない」という書き方です。時系列、場面の入れ替え、誰が何を狙っているのかの順番。分からなさの中身が、怪異の正体ではなく話の運びに向いています。

3件目の人だけは「正体を現さず」と書いていますが、その直後が「後半のお祓いのシーンで凄い気持ちが高ぶったのに 裏切られた」です。盛り上げておいて回収されなかったという書き方で、これも順番の話です。

一方、「正体」に触れて星4以上を付けた人は、こう書いています。

ここから引用です。

怪異の元凶の正体がよくわからなくてゾワゾワする。元は寂しい子供の霊だったのかな。それが「おやま」を拠点に出来るほど大きくなって生きた子供にまで干渉出来るようになったと。

(星4.0/2024年1月15日投稿)

引用はここまでです。

「よくわからなくてゾワゾワする」。同じ「分からない」でも、これは減点になっていません。分からなさを、そのまま怖さとして受け取っています。

この差は、書いた文章の長さにもはっきり出ています。レビューを本文の字数で4つに分けて、それぞれの平均を出しました。

  • レビューの長さ 100字未満 / 件数 146 / 平均星 2.88
  • レビューの長さ 100〜300字 / 件数 238 / 平均星 3.14
  • レビューの長さ 300〜600字 / 件数 114 / 平均星 3.19
  • レビューの長さ 600字以上 / 件数 67 / 平均星 3.38

長く書いた人ほど、評点が高い。100字未満と600字以上で0.50の差があります。

これは「よく書けた人が高く付ける」という話ではありません。この映画は、言葉にできた分だけ面白くなるという構造をしている、ということだと思います。分からなさを言葉にしようとすると長くなり、長くしているうちに面白くなる。逆に、分からないまま一行で切り上げると2.88になる。

原作者は「姿を見せないほうが怖い」と最初から言っていた

この「分からなさ」は、演出の失敗ではありません。原作の設計です。

原作『ぼぎわんが、来る』は、澤村伊智のデビュー作です。2015年に「澤村電磁」名義『ぼぎわん』のタイトルで第22回日本ホラー小説大賞の大賞を受賞し、改題して同年10月30日に刊行されました(出典=ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」。2026年9月5日取得)。

その執筆背景に、この映画のいちばん重要な設計が書かれています。

ここから引用です。出典は ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」で、2026年9月5日に MediaWiki API で取得した本文です。

本作は"恐怖"を描くことに専念して執筆されている。澤村は執筆にあたって"恐怖"とは何かを考え、人に"恐怖"を与えるのは対象それ自体の姿形や性格ではなく、「人々に恐れられている」ということ自体ではないかと仮説を立てた。

引用はここまでです。

「姿形や性格ではなく、恐れられているということ自体」。原作者が最初に立てた仮説がこれです。だから正体は描かれません。描いた瞬間に、仮説が崩れるからです。

同じ節に、その先まで書かれています。

ここから引用です。

つまり、おばけの由来や実害そのものよりも、名前とそれが「怖いという触れ込み」が不気味さと恐怖を掻き立てると考えた。作中では不可解なできごとが重なるが、澤村によると"恐怖"を生み出すのは「何が起こったかより、誰がどんな反応をしたか」である。

仮説を実証するために澤村は架空のおばけ「ぼぎわん」を創作し、登場人物たちがそれを恐れる姿を描くことで、読者に"恐怖"を生み出すことを目指した。

引用はここまでです。

「何が起こったかより、誰がどんな反応をしたか」。この一行が、さっきの「意味不明」61件の正体だと思います。

この映画は、怪異が何をしたかをほとんど説明しません。代わりに、人がどう反応したかだけを積みます。秀樹の見栄、香奈の疲れ、高梨の中途半端さ。説明の代わりに反応が置かれているので、順番を追おうとすると分からなくなります。

そして「ぼぎわん」という名前についても、同じ節に説明があります。

ここから引用です。

作中では室町時代に宣教師によって『ブギーマン』と名付けられたものが当時の日本人の発音のなまりで「ぼぎわん」と呼ばれるようになったと説明されている。

引用はここまでです。

同じ段落には、「実在の伝承ではない」とも明記されています。つまり「ぼぎわん」は実在の妖怪ではなく、仮説を実証するために作られた架空のおばけです。実在の伝承を調べても出てきません。

そして映画版では、この名前すら宣伝で伏せられました。

ここから引用です。出典は ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」の「映画」節、「制作」の項です。

なお、宣伝時は「ぼぎわん」という名が隠されている。

引用はここまでです。

タイトルから原作名を外し、宣伝でも名前を出さない。「名前とそれが怖いという触れ込みが恐怖を掻き立てる」という原作の設計を、宣伝の側でもう一段やっていることになります。

565件のうち「ブギーマン」に触れたのは4件(0.7%)でした。ほとんどの人は、この由来を知らないまま観ています。

本題。オムライスで怒った人は、何に怒っているのか

ここが、この記事のいちばん書きたかったところです。

オムライスに触れた62件のうち、星2以下が20件(32%)。全体では星2以下が23%なので、明らかに偏っています。原文を見ます。

ここから引用です。

最後のオムライスのシーンで怒りが抑えられませんでした。今年ワースト1の映画です。

(星0.5/2018年12月16日投稿)

オムライスの歌はいくらなんでも観客を舐めてる。

(星1.0/2019年1月19日投稿)

最後のオムライスの歌でおちょくられているような気分でした。

(星1.5/2023年1月9日投稿)

ラスト付近のオムライスのくだりは、監督どうしちゃったの?と少し心配になるくらい意味不明だった。

(星1.5/2025年7月7日投稿)

引用はここまでです。

言葉を並べると、はっきり傾向が出ます。「舐めてる」「おちょくられている」「怒りが抑えられない」。これは「分からない」ではありません。バカにされたと感じているという書き方です。

さらに面白いのは、星4以上を付けた人も同じことを書いていることです。

ここから引用です。

ただ、最後のオムライスだけすかん。えー!?そんな終わり方ーーー!?!?と叫んじゃいました。

(星4.0/2020年8月20日投稿)

また、これも賛否両論のラストシーン。オムライスオチ。

正直私も面食らいました。

(星4.5/2020年8月14日投稿)

最後のオムライスの歌だけ余計だった。

(星4.0/2019年1月27日投稿)

引用はここまでです。

高く付けた人でさえ「そこだけは」と書いています。つまりオムライスは、賛否が割れている場所ではありません。ほぼ全員が引っかかっている場所です。評点の差は、そこで作品ごと切り捨てるかどうかの差でしかない。

565件のうち、2人だけが同じ読み方に到達していました

ここが、この記事を書こうと思った理由です。

「ケチャップ」という言葉を書いたレビューは、565件のうち5件(0.9%)しかありません。その5件の平均は3.80で、全体より0.69高い。

そのうち2人が、独立に、同じ読みに到達しています。投稿は2019年と2024年で、5年離れています。

ここから引用です。

最後のオムライスの歌だけ余計だった。

マンションの窓から血が吹き出したシーンが、実はケチャップだったのでは?と思えるくらい。

(星4.0/2019年1月27日投稿)

あの血みどろの記憶が、知紗の中ではオムライスにかかったケチャップと変換されたのなら、それはひとつの救いだったと思う。

(星4.0/2024年1月15日投稿)

引用はここまでです。

1人目は、それを「余計だった」の理由として書いています。血がケチャップに見えるほど軽い、という否定です。

2人目は、まったく逆に読んでいます。血みどろの記憶が、子どもの中でケチャップに変換されたのなら、それは救いだ。同じ「血とケチャップが重なる」という観察から、正反対の結論に行き着いています。

565件のうち、この読みに立っているのは実質この1人だけです。0.2%です。

じつは、もう1人だけ、途中まで来ている人がいます。

ここから引用です。

血が痛み=生の象徴なら、ケチャップは何を象徴するのかな、なんて。

そういや国内の除霊師が大集合するくだりは胸アツだった。

(星4.0/2024年8月5日投稿。この人が付けたレビューの題は「ケチャップましまし」です)

引用はここまでです。

「血が痛み=生の象徴なら、ケチャップは何を象徴するのかな」。問いの形まで来ていて、答えは書いていません。書いていないまま「そういや」で次の話に行ってしまう。

565件のうち、血とケチャップを並べたのが3人。そのうち問いにしたのが1人答えまで出したのが1人です。

そして、この読みが成立するかどうかは、あの歌を「作品からのメッセージ」として受け取るか、「知紗の視点」として受け取るかだけで決まります。前者なら、監督が観客をおちょくっていることになる。後者なら、あの明るさは知紗が手に入れたものになる。

同じ画面で、向きが2つある。これが62人を怒らせ、1人を泣かせた場所です。

「ちが…つり」を書いた人は、565人のうち1人でした

サジェストの3番目に出てくるのに、レビューでは1件しかありませんでした。その1件を、そのまま引きます。

ここから引用です。

印象に残った言葉は、この物語のブレヒト異化効果でもある。『ちが・・つり・・』です。意味のない言葉だから根底に流れた恐ろしさが伝わります。

(星2.5/2022年3月31日投稿。この人が付けたレビューの題は「ちが・・つり・・!ちさ!」です)

引用はここまでです。

「意味のない言葉だから根底に流れた恐ろしさが伝わります」。この1人だけが、そう受け取っています。

では、なぜ565人が書かないのに、Googleは3番目に出してくるのか。理由は単純だと思います。意味が分からないから検索されるからです。

  • レビューは「観たあとに書きたくなったこと」を書く場所です。分からなかった言葉は、書きようがない
  • 検索は「分からなかったことを調べる」ための場所です。分からなかった言葉ほど、打ち込まれる

つまりサジェストは、観た人が語りたいことではなく、観た人が言葉にできなかったことを映しています。この2つは別物です。

そう考えると、オムライスがサジェストの2番目にいる理由も変わって見えます。62人が書いているから上位なのではなく、62人が書いてもなお足りないから上位にいる。

2回目に観るなら、ここを見てください

この記事の結論は「どちらが正しい」ではありません。向きが2つあることを知っていると、2回目の見え方が変わるというだけです。

具体的に、どこを見るかを書きます。

  • 終盤、マンションの外壁に赤が広がる場面。このときの赤の出方(噴き出し方・広がる速さ)を覚えておく
  • ラストのオムライスの場面で、ケチャップがどうかかるか。上の赤と重ねて見る
  • その場面を見ているのが誰か。知紗の目線に置かれているのか、観客に向けられているのか

この3つを見比べたうえで「やっぱりおちょくられている」と思うなら、それでいいと思います。62人と同じ結論に、自分の目で辿り着いたことになるからです。

逆に、赤の出方とケチャップのかかり方が重なって見えたなら、あの1人と同じ場所に立っています。

8年経っても、引っかかる場所は動いていません

『来る』は2018年12月7日公開です。いまは Netflix で配信されていて、2026年9月5日時点でNetflix 日本の映画TOP10に5位、3週連続で入っています(出典=Netflix Tudum 日本の映画TOP10。同日取得)。

つまり、劇場で観た人と、いま配信で観ている人が、同じレビュー欄に混ざっています。評価が変わったかどうかを数えてみました。

  • 投稿の時期 2018〜2019年(公開当時) / 件数 393 / 平均星 3.08 / 星2以下 25% / 星4以上 35% / オムライスに触れた割合 11.2%
  • 投稿の時期 2020〜2023年 / 件数 113 / 平均星 3.19 / 星2以下 18% / 星4以上 35% / オムライスに触れた割合 9.7%
  • 投稿の時期 2024〜2026年(配信で観た層) / 件数 59 / 平均星 3.18 / 星2以下 20% / 星4以上 37% / オムライスに触れた割合 11.9%

ほとんど動いていません。平均は3.08→3.18で0.10しか上がらず、星4以上の割合は35%→37%です。

いちばん驚いたのは最後の列です。オムライスに触れた人の割合が、11.2%→9.7%→11.9%で、8年間ほぼ同じ。劇場で観ようが、家のテレビで観ようが、同じ場所で同じ人数が立ち止まっています。

「時間が経てば再評価される」タイプの作品ではない、ということです。逆に言うと、引っかかる場所が作品の中に固定されている。だからこそ、そこを見に行く価値があります。

俳優の評価は、全員プラスでした

この記事はラストの話が中心ですが、俳優についても数えたので出しておきます。全員が全体平均を上回るか、ほぼ同じでした。

  • 俳優(役) 小松菜奈(比嘉真琴) / 件数 107 / 平均星 3.44 / 差 +0.33
  • 俳優(役) 松たか子(比嘉琴子) / 件数 114 / 平均星 3.24 / 差 +0.13
  • 俳優(役) 岡田准一(野崎和浩) / 件数 61 / 平均星 3.30 / 差 +0.19
  • 俳優(役) 柴田理恵(逢坂セツ子) / 件数 80 / 平均星 3.23 / 差 +0.11
  • 俳優(役) 黒木華(田原香奈) / 件数 102 / 平均星 3.20 / 差 +0.08
  • 俳優(役) 妻夫木聡(田原秀樹) / 件数 155 / 平均星 3.10 / 差 -0.02

いちばん多く名前が出るのは妻夫木聡の155件(27.4%)ですが、平均は3.10で全体並みです。ここには理由があります。

ここから引用です。

妻夫木演じる夫が2ちゃんに出てくるイクメン(笑)すぎて気持ち悪い。

さすが妻夫木さん、いい味出してる。

引用はここまでです。

「気持ち悪い」と「いい味出してる」が同じ人の2行で並んでいます。これがこの役の評価そのものです。役として不快なことと、演技が良いことが両立している。だから件数は多いのに、評点は平均に寄る。

一方、いちばん平均が高いのは小松菜奈の3.44です。星2以下は13%しかありません。

ここから引用です。

一方で、比嘉琴子と真琴の姉妹を演じた松たか子と小松菜奈は、原作にあった数少ないユーモア要素も含め、キャラの魅力を的確に表現していた。小説は比嘉姉妹シリーズとしてもう2冊出ているので、松&小松のキャストで続編も可能では。

引用はここまでです。

原作の『ぼぎわんが、来る』は「比嘉姉妹シリーズ」の第1作です(出典=ja.wikipedia)。この2人が続編で見たいと書かれるのは、シリーズの構造をそのまま言い当てていることになります。

柴田理恵についても、面白い書かれ方をしていました。

ここから引用です。

そして柴田理恵さん演じる霊媒師が、野崎に対しこちらの世界では痛みを感じるから痛みを信じろと話したシーンだ。

巨悪な霊という得体の知れないものの対処方法などわからない。

(星4.5/2024年4月26日投稿)

引用はここまでです。

「得体の知れないものの対処方法などわからない」から「痛みを信じろ」。これも、原作者の「姿形ではなく、恐れられているということ自体」という設計と地続きです。相手が分からないなら、こちら側の感覚を頼りにするしかない。

そして、この人の評点は4.5です。分からないことを、そのまま作品の芯として受け取っている人は、やはり高く付けています。

「怖くなかった」は、この映画の減点理由になっていません

ホラー映画のレビューで、いちばん効きそうな悪口は「怖くない」です。実際、そう書いた人は62件(11.0%)いました。

ところが、その62件の平均は3.14。全体の3.11との差は+0.02しかありません。「怖くない」と書きながら、全体と同じ点を付けているということです。

原文を見ると、理由が分かります。

ここから引用です。

おもしろいです、この映画。

ホラー映画としてなら怖くないので正直駄作も良いとこですが、エンタメ映画としてみれば素晴らしい出来です。

中盤まではどこか不穏な雰囲気を漂わせながら、登場人物の人となりや生活環境を描写。

(星4.5/2022年2月17日投稿)

面白かったけど一番の見所は・・・|気合いの入ったキャストで、これはただのホラーではないだろうなと感じていたが、予想通りどちらかといえばヒューマンサスペンスで面白かった。

シリアスなはずなのにちょこちょこ笑えるところも良かったね。

(星4.0/2024年2月1日投稿)

引用はここまでです。

「ホラーとしてなら駄作、エンタメとしてなら素晴らしい」。この書き方が、62件のかなりの部分を占めています。「怖くない」は事実の記述であって、評価ではない。

そして、原作との関係に踏み込んでいる人もいました。

ここから引用です。

自分も原作の方が100倍怖いです。

が、

そもそも、原作は小説であり想像力が怖さの元だと思うので、それを映像に落とし込むと自分の中だけの一番怖い想像がある意味"実体"になってしまうので、怖さがなくなるのは当たり前です。

(星4.0/2022年7月29日投稿)

引用はここまでです。

「映像に落とし込むと、自分の中だけの一番怖い想像が実体になってしまう」。これは、さっき引いた原作者の仮説を、読者の側から言い直したものです。姿を見せた瞬間に怖さが減るなら、映画化はもともと不利な勝負をしている。

この人は、それを分かったうえで星4を付けています。

この記事で引いた原作の設計は、いま文庫で読めます。映画で説明されなかったことの多くは、原作では書かれています。

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ぼぎわんが、来る(角川ホラー文庫・楽天ブックス)

「言われていること」と「実際に書かれていること」を数えて比べる、という同じやり方の記事です。あちらは「赤に意味がある」という定番の説を、監督本人の言葉まで遡っています。

終盤の大規模除霊は、批判ではなく歓迎されていました

原作からいちばん大きく変えられたのが、終盤の除霊の場面です(詳しくは後述します)。ここは長いうえに派手なので、批判が集まっていそうに見えます。

数えると逆でした。除霊・儀式・祈祷に触れた109件(19.3%)の平均は3.21で、全体より+0.09。星2以下は19%で、全体の23%より低い。

ここから引用です。

中島監督のエンタメ路線の継承でもいいし、ホラーに回帰してもいい。

終盤のお祓いの儀式は大仰だが、考えてみると神事は非現実的な存在を前提にしたイベントだから、お祭りの賑やかさで除霊をするというのは意外に正しいのかも。「信じる者は救われる」の言葉と合わせ鏡で、「呼ぶ者のところに、ぼぎわんが来る」のだ。

「呼ぶ者のところに、ぼぎわんが来る」。565件のうち、この一行がいちばん短く作品をまとめていると思いました。原作者の「恐れられているということ自体が恐怖を生む」を、逆から言うとこうなります。恐れる人のところにだけ来る。

もう1件、除霊の場面を「胸アツ」と書いた人がいます。さっきの「ケチャップましまし」の人です。同じ人が、除霊には興奮して、ラストには問いだけ残している。この作品の受け取られ方が、そのまま1件のレビューに出ています。

唯一、はっきり足を引っ張っているのは「過去作との比較」でした

俳優も、除霊も、正体不明も、プラスかほぼゼロでした。ではオムライス以外に、評点を下げている要素はないのか。

ありました。中島哲也監督の過去作(『告白』『渇き。』『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』)の名前を出した51件(9.0%)の平均は2.94で、全体より0.17低い。

ここから引用です。

「告白」が好きだったので、またこの監督の作品は見ると思いますが、「渇き。

」より抑えられていたとは言え、もう少し散らかさず叫ばず演技で説得力を持たせて欲しいと思いました。

(星1.5/2020年8月12日投稿)

中島組初の岡田准一もまあオファーがあれば快諾しますよね。

前作の渇きも微妙でしたが今作もうーん。

単館ならまだ実験的に攻めるのもOKだと思いますが、ここまで大々的に豪華キャストで中途半端なホラーを全国規模で上映しても残念な結果になりますよね。

(星2.5/2020年5月5日投稿)

一方で、監督の名前「中島哲也」だけを書いた60件は平均3.34(+0.23)とプラスです。名前を出すこと自体は好意的で、過去作と並べた瞬間にマイナスに転じる

この差は、期待値の話だと思います。『告白』を基準に置くと、この映画は「散らかっている」ように見える。基準を置かずに観ると、その散らかりがそのまま情報量になる。

評点の分布は、きれいに2つの山に割れています

565件の星を、全部数えるとこうなります。

  • 星 0.5〜2.0(低い) / 件数 132件(23.4%)
  • 星 2.5〜3.5(真ん中) / 件数 236件(41.8%)
  • 星 4.0〜5.0(高い) / 件数 197件(34.9%)

いちばん多い単独の値は星4.0の111件です。次が星3.0の101件。そして星1.0が43件あります。

平均の3.11だけを見ると「可もなく不可もなく」に見えますが、中身は違います。4人に1人が星2以下を付け、3人に1人が星4以上を付けている。平均は、この2つの山のあいだの、誰もいない場所にあります。

「賛否両論」という言葉はよく使われますが、この作品の場合は数字として本当にそうなっています。そして、この記事で見てきたとおり、その割れ目はラストのオムライスのところに入っています。

この記事の数え方には、限界があります

正直に書いておきます。

  • 数えたのは映画.comのレビュー565件だけです。X(旧Twitter)、映画館の出口の声、パンフレット、他のレビューサイトは入っていません
  • 「その語を含む件数」を数えているので、文脈は拾えていません。「オムライスが良かった」と「オムライスが最悪だった」は、どちらも1件です。だから件数だけでなく、必ず評点の平均を並べています
  • 評点は投稿者の自己申告です。星の付け方の基準は人によって違います
  • 監督・脚本のインタビューは引けていません。『来る』の公式サイトはすでに閉じていて、archive.org 経由でも作り手の言葉として引ける形のものを見つけられませんでした。この記事で作り手の設計として引いたのは、原作の執筆背景だけです

とくに最後の点は、この記事の弱いところです。「オムライスの場面をなぜ入れたのか」を、中島哲也監督本人の言葉で確かめられていません。だからこの記事では「監督の意図はこうだ」とは書いていません。書いたのは、565人が何を書いたかと、原作の設計がどうなっていたかの2つだけです。

原作と映画で変わっている点(事実関係だけ)

「原作と違う」と怒った人は19件(3.4%)しかいませんでした。平均は3.03で、全体とほぼ同じです。原作改変が理由でこの映画が嫌われている、という事実はありません。

ただし、ここは慎重に見る必要がありました。「原作」という語を含む168件(29.7%)の平均は3.15で全体並みですが、そのなかで自分から「原作を読んだ」と書いた47件だけを取ると、平均2.79。全体より0.32低いのです。星2以下は32%あります。

一方、「原作未読」と自分で書いた33件は3.03で、こちらは全体とほぼ同じです。

  • 原作との関係 「原作」の語を含む(全体) / 件数 168 / 平均星 3.15 / 差 +0.04
  • 原作との関係 「原作を読んだ」と書いた / 件数 47 / 平均星 2.79 / 差 -0.32
  • 原作との関係 「原作未読」と書いた / 件数 33 / 平均星 3.03 / 差 -0.08
  • 原作との関係 「原作と違う」と怒った / 件数 19 / 平均星 3.03 / 差 -0.09

原作を読んだ人のほうが、はっきり低い。ところが「原作と違う」と怒っている人は19件しかいません。つまり改変そのものが理由ではないことになります。では何が理由なのか。原文を見ました。

ここから引用です。

期待ハズレ|原作を読み、かなり期待をしていきましたが…

全然ダメ、原作はメチャクチャ怖いです❗️

(星2.5/2025年10月9日投稿)

一つも怖くなかった。原作を読んでいない人は理解できるのか謎。原作にないベッドシーンも本当にいらないし、子供と見ていて気まずすぎました。

(星1.0/2025年9月25日投稿)

さらに、逆向きの人もいます。

ここから引用です。

逆に原作読みたくなった|前半と後半で違う映画。

前半は人間の怖さを描いて後半は霊能力者バトルって感じ。

(星2.5/2021年9月28日投稿)

原作読んだ後に観たらまた違う感想になるんですかね?

(星1.0/2024年1月4日投稿)

引用はここまでです。

映画を観て、原作を読みたくなっている。星は低いのに、次に手を伸ばしている。この2人は「つまらなかった」と言っているのではなく、「足りなかった」と言っています。

変わっている点を、確認できた範囲で並べます(出典=ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」。2026年9月5日取得)。

  • 語り手の名前が変わっています。原作のオカルトライターは「野崎崑(のざき こん)」、映画版では「野崎和浩(のざき かずひろ)」
  • 民俗学の准教授も名前が変わっています。原作は「唐草大悟(からくさ だいご)」、映画版は「津田大吾(つだ だいご)」
  • 原作は3章構成で、語り手が3人交替します。第1章「訪問者」=田原秀樹、第2章「所有者」=妻の香奈、第3章「部外者」=オカルトライター。映画で時系列が入り組んで見えるのは、この三交替をそのまま映像にしているからです
  • 除霊師の集まり方が正反対です。原作では、全国から個別に呼ばれた除霊師が、現場に着く前に悪霊の強さを察して勢津子以外は全員退散します。映画版では逆に、琴子の助力要請で全国から一堂に集結して大規模な除霊になります

4つ目が、この映画でいちばん大きな改変です。原作では「みんな逃げる」場面が、映画では「みんな集まる」場面になっている。

そして数字で見ると、この改変は当たっています。終盤の大規模除霊に触れた109件(19.3%)の平均は3.21で、全体より0.09高い。星2以下は19%で、全体の23%より低い。ここで怒っている人は、あまりいません。

原作の三交替制についても、澤村伊智本人の理由が記録されています。

澤村は300枚の原稿を書き上げるにあたって、自身が得意とする一人称視点でその長さの長編を書くのが困難であったため、語り手を三交替制とした。

(出典=ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」の「構成」節)

技法上の都合として始まったものだということです。映画の時系列が分かりにくいと書いた人は、この構造をそのまま受け取っていることになります。

「笑った」と書いた43人は、この映画を何だと思っているのか

もうひとつ、数字が面白い論点があります。

「笑った」「爆笑」「コメディ」と書いた人は43件(7.6%)。その平均は3.48で、全体より0.36高い。この記事で数えた論点のなかで、いちばん高い部類です。

ホラー映画で「笑った」と書いた人の評点が高い、というのは普通ではありません。

ここから引用です。

その論点さえ横に置いておけば、ギクッとする瞬間も、爆笑する瞬間もあり、個人的には楽しめたのだが……。

(星3.5/2022年3月30日投稿)

いやー、このそこそこの映画を4本ぐらい見たかのようなミックスジャンル感。パラサイトを見たときのような充実感に包まれてはぴはぴでした。

(星3.5/2025年8月15日投稿。この人が付けたレビューの題は「ジャンルはホラーコメディーヒューマンドラマエンターテイメントなのかな?」です)

引用はここまでです。

対照的に、「怖くない」と書いた62件(11.0%)の平均は3.14で、全体とほぼ同じです。差は+0.02しかありません。

つまり「怖くなかった」ことは、この映画の減点理由になっていないということです。怖さを期待して外れた人が、それでも星3をつけている。笑えた人は星3.5をつけている。

この作品を「ホラーとして失敗している」と評価している人は、数字の上では少数派です。

もう1つ、笑いの種類がはっきり出ている引用があります。

クソ親父ってところも全く同じ。

なので死んだ時は思わず笑ってしまった。

ざまあ

(星4.5/2026年6月27日投稿)

引用はここまでです。

登場人物が嫌なやつだから、退場したときに笑っている。恐怖ではなく、溜飲です。

さっき「妻夫木聡(秀樹)」の155件が平均3.10だと書きました。件数がいちばん多いのに評点が動かないのは、嫌なやつとして機能しているからです。嫌なやつがちゃんと嫌なやつなので、そこで笑える。

原作者が書いた「恐怖を生み出すのは、何が起こったかより、誰がどんな反応をしたか」を、もう一度置きます。この映画は、人の反応だけで組み立てられています。だから、怖さも笑いも、同じ場所から出てきます。

「育児の話」として観ている人が47人います

この作品を、ホラーではなく育児の話として読んだ人がいます。「育児」「ワンオペ」「毒親」「子育て」に触れたのは47件(8.3%)、平均3.11で全体とぴったり同じでした。

平均が同じということは、この読み方は評点を上げも下げもしないということです。ただ、書かれ方は具体的でした。

ここから引用です。

不安を抱えつつも、危険や痛みをいとわず、最後は自分の直感を信じて突き進む。まさに、子育てを通して育っていく(育てられていく)母親そのもの、な気がした。

怖いけれどおもしろい、すっきりしつつももやもやする。

(星4.0/2018年12月31日投稿)

前半夫婦の子育て話からいつの間にか化け物に狙われ後半にオカルトライター野崎が霊媒師もどきの女と奮闘する。

霊媒師集団が子どもを異界に送ろうとするも邪魔されるので自分を犠牲に子どもを助けオムライスEND

(星3.5/2025年5月16日投稿)

引用はここまでです。

2件目の「オムライスEND」という書き方が、この作品の受け取られ方をよく表しています。あらすじを一息で書ききったあと、最後の単語だけ浮いている。

原作の設定も、ここに関わっています。原作では第1章の語り手・田原秀樹は「イクメンになりたてのサラリーマン。子育てブログを書いている」、第2章の語り手・田原香奈は「育児ノイローゼ気味」と記述されています(出典=ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」の「登場人物」節。2026年9月5日取得)。

怪異が来る前から、この夫婦は壊れかけている。そこに「来る」わけです。

「続編が見たい」と書いた24人は、平均3.60でした

数えていて意外だったのがこれです。「続編」「スピンオフ」「シリーズ」に触れた24件(4.2%)の平均は3.60。全体より0.49高い。この記事で数えたどの論点よりも高い数字です。

ここから引用です。

特筆すべき、松たか子演ずる琴子のキャラクターが、そびえ立ちまくっていたと思うです。

岡田准一の野崎や小松菜奈の真琴も魅力的なキャラだったと思いました。

この三人を主役に据えたスピンオフムービーを是非とも観てみたいです。

(星5.0/2024年3月2日投稿)

引用はここまでです。

原作は「比嘉姉妹シリーズ」の第1作で、続きが刊行されています(出典=ja.wikipedia)。映画を観た人が自然に「続きが見たい」と言うのは、シリーズものの1作目としては成功しているということだと思います。

ただし、2018年の公開から8年経った2026年9月時点で、映画の続編は作られていません。

まとめ:この記事で分かったこと

565件を数えて分かったことを、順に並べます。

  1. 検索サジェストの「オムライス」は当たり(62件・11.0%)。「ちが…つり」は外れ(1件・0.2%)
  2. マイナスに振れている論点は2つだけ=オムライス(-0.22)と、意味不明・説明不足(-0.51)
  3. 「正体が分からない」ことは減点されていない(+0.20)。原作者の設計どおりに働いている
  4. 「意味不明」の中身は、正体ではなく順番。原作の三交替制がそのまま映像になっている
  5. オムライスは賛否が割れているのではなく、ほぼ全員が引っかかっている。星4以上の人も「そこだけは」と書く
  6. 565件のうち2人だけが「血→ケチャップ」の読みに到達し、そのうち1人だけが「救い」と受け取っている
  7. 原作改変は嫌われていない(「原作と違う」は19件・3.4%のみ)。最大の改変である大規模除霊は、むしろプラス(+0.09)

この映画は、いちばん語られている場所が、いちばん嫌われている場所という珍しい構造をしています。そしてその場所には、565人のうち1人しか立っていない読み方が残されたままになっています。

最後に、数字を1枚にまとめておきます

この記事で数えた全部です。差は全体平均3.11との差です。

  • 論点 「原作を読んだ」と書いた / 件数 47 / 割合 8.3% / 平均星 2.79 / 差 -0.32
  • 論点 意味不明・説明不足 / 件数 61 / 割合 10.8% / 平均星 2.60 / 差 -0.51
  • 論点 オムライス / 件数 62 / 割合 11.0% / 平均星 2.90 / 差 -0.22
  • 論点 中島哲也の過去作と比べた / 件数 51 / 割合 9.0% / 平均星 2.94 / 差 -0.17
  • 論点 「原作と違う」と怒った / 件数 19 / 割合 3.4% / 平均星 3.03 / 差 -0.09
  • 論点 原作未読と書いた / 件数 33 / 割合 5.8% / 平均星 3.03 / 差 -0.08
  • 論点 妻夫木聡(秀樹) / 件数 155 / 割合 27.4% / 平均星 3.10 / 差 -0.02
  • 論点 育児・毒親 / 件数 47 / 割合 8.3% / 平均星 3.11 / 差 0.00
  • 論点 怖くないと書いた / 件数 62 / 割合 11.0% / 平均星 3.14 / 差 +0.02
  • 論点 原作(語を含む全体) / 件数 168 / 割合 29.7% / 平均星 3.15 / 差 +0.04
  • 論点 黒木華(香奈) / 件数 102 / 割合 18.1% / 平均星 3.20 / 差 +0.08
  • 論点 終盤の大規模除霊 / 件数 109 / 割合 19.3% / 平均星 3.21 / 差 +0.09
  • 論点 柴田理恵(逢坂セツ子) / 件数 80 / 割合 14.2% / 平均星 3.23 / 差 +0.11
  • 論点 松たか子(琴子) / 件数 114 / 割合 20.2% / 平均星 3.24 / 差 +0.13
  • 論点 岡田准一(野崎) / 件数 61 / 割合 10.8% / 平均星 3.30 / 差 +0.19
  • 論点 ぼぎわんの正体 / 件数 55 / 割合 9.7% / 平均星 3.32 / 差 +0.20
  • 論点 中島哲也の名前 / 件数 60 / 割合 10.6% / 平均星 3.34 / 差 +0.23
  • 論点 琴子 / 件数 33 / 割合 5.8% / 平均星 3.38 / 差 +0.27
  • 論点 小松菜奈(真琴) / 件数 107 / 割合 18.9% / 平均星 3.44 / 差 +0.33
  • 論点 笑ったと書いた / 件数 43 / 割合 7.6% / 平均星 3.48 / 差 +0.36
  • 論点 続編・スピンオフが見たい / 件数 24 / 割合 4.2% / 平均星 3.60 / 差 +0.49
  • 論点 ケチャップ / 件数 5 / 割合 0.9% / 平均星 3.80 / 差 +0.69

上から5つがマイナス、下から5つがプラス。上の5つは「期待と違った」という話で、下の5つは「これはこれとして面白い」という話です。

そして表のいちばん下、ケチャップの5件が3.80で最高です。件数はいちばん少ない。565人のうち5人しか見ていない場所が、いちばん高い点を付けられている。

これが、この記事でいちばん言いたかったことです。

この記事を読んだあと、何をすればいいか

3つだけ書きます。

  1. もう一度観るなら、赤の出方とケチャップのかかり方だけを見比べる。それ以外は流していい
  2. 「オムライスは意味不明」で終わらせない。62人が同じ場所で止まっているので、そこに何かあるのは間違いない
  3. どうしても納得できなければ、原作を読む。「原作を読んだ」と書いた47人の平均は2.79で低いのですが、その理由は「原作のほうが怖かった」でした。つまり原作は期待して読めるということです

2回目に観るとしたら、そこを見る価値はあると思います。

同じ「数えてから書く」やり方を、別の作品でもやっています

この記事は、言われていることを自分で数え直すという書き方をしています。同じやり方の記事を置いておきます。

拡散は大歓迎です

この記事が面白かったら、各SNSでの引用・シェアは大歓迎です。ひとこと感想が添えてあると、とくに励みになります。

手元に置くなら

2回目に観るなら、赤の出方とケチャップのかかり方を止めて見比べられる形にしておくと早いです。

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(2026年9月5日時点の価格と在庫を、商品ページを開いて確認しています)

作品情報

  • 来る(英題 It Comes)
  • 2018年/日本/134分
  • 監督 中島哲也/脚本 中島哲也・岩井秀人・門間宣裕
  • 原作 澤村伊智『ぼぎわんが、来る』(第22回日本ホラー小説大賞 大賞)
  • 企画・プロデュース 川村元気/撮影 岡村良憲/編集 小池義幸
  • 出演 岡田准一、黒木華、小松菜奈、青木崇高、柴田理恵、太賀、志田愛珠、石田えり、松たか子、妻夫木聡 ほか
  • 配給 東宝/劇場公開 2018年12月7日
  • 興行収入 9億円(出典=『キネマ旬報 2020年3月下旬特別号』p.49。ja.wikipedia経由で確認)
  • 配信(2026年9月5日時点)=Netflix。同日の Netflix 日本「映画」TOP10 で5位、3週連続でTOP10に入っています

この記事で確認に使ったもの

  • 映画.com のレビュー565件… 2026年9月5日 に個別ページを1件ずつ開き、JSON-LDから本文と評点を取得(合計179,550字・取得率565/565)。語の件数・評点の平均・星2以下の割合は、すべてここから数え直しました
  • ja.wikipedia「ぼぎわんが、来る」(MediaWiki API・action=query&prop=revisions)… 原作者の執筆背景、「ぼぎわん」の由来、原作と映画で変わっている点、映画の制作経緯。★引用は本文をそのまま載せ、どの節から取ったかを添えています
  • Google サジェスト(suggestqueries API)… 「来る 考察」「来る ラスト」で実際に出る候補を 2026年9月5日 に取得。この記事の出発点にした「オムライス」「ち が つり」はここで実測したものです
  • Netflix Tudum 日本の映画TOP10… 2026年9月5日 に取得。順位と連続週数
  • YouTube oembed API… 動画が配給の公式チャンネルのものかを機械照合。★東宝MOVIEチャンネルの『来る』予告5本は、いま全部401で非公開でした
  • 楽天ブックスの商品ページ… 価格・在庫・版の違いを 2026年9月5日 に確認

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この記事のタグ:#ホラー映画 #映画考察 #映画好きと繋がりたい #来る #中島哲也 #ぼぎわんが来る

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