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眼精疲労からの頭痛、ポイントは"膜"と"骨のつなぎ目"

夕方になると、目の奥がぎゅーっと締め付けられる。こめかみがズキズキする。頭がずーんと重くなって、ひどいときには吐き気まで出てくる。

こういう経験、ありませんか?

パソコン作業の長い方には、心当たりが多いと思います。目薬をさす。目元を温める。首や肩を揉んでもらう。その場ではラクになるけれど、翌日にはまた同じところが重くなっている。

整体師として17年、マレーシア・クアラルンプールで開業して11年目。このような症状で来院される方を、沢山見てきました。

今日は眼精疲労とそこからくる頭痛について、整体師の視点からお話しします。

この頭痛、目のケアだけでは、なかなか根本から変わらないかもしれない、というお話です。

まず、頭痛には種類がある

ひとつは、緊張性の頭痛
首や肩、頭の筋肉が慢性的に緊張し続けると、痛みを感じ取る神経がどんどん過敏になっていきます。
日焼けした肌に、シャワーのお湯が当たっただけでヒリッとすることがありますよね?
普段なら何とも思わない刺激が、感覚が敏感になっているせいで、痛みとして拾われてしまう、、、それと似た状態が、頭や首まわりで慢性的に起こっているイメージです。
それが頭痛として出てきます。

今日は、この緊張性の頭痛について、特にデスクワークの方に多い「眼精疲労がきっかけになるタイプ」を、もう少し詳しく掘り下げていきます。

もうひとつは、偏頭痛
脳が刺激に対して敏感な体質の人ほど起こりやすいとされていて、何かのきっかけで脳の神経が興奮し、炎症性の物質が放出されることで血管の拡張や痛みが引き起こされる、というのが今のところ有力な説です。

同じきっかけがあっても頭痛になる人とならない人がいるのは、この脳の過敏さ自体に、遺伝や体質による差があるからだと考えられています。
ありがたいことに、僕自身は偏頭痛を経験したことがないのですが、僕が運営する整体院には偏頭痛を訴える方は一定数いらっしゃいます。
ただ、ご自身が「偏頭痛です」とおっしゃっていても、実際は緊張性の頭痛の傾向が強い場合もあります。
詳しく判別したい方は、医療機関を受診されることをおすすめします。

偏頭痛のきっかけになりやすいものとして知られているのは、気圧や気温の変化、寝不足や寝すぎ、空腹、強い光や音、チョコレートやチーズ、赤ワインなどの特定の食べ物、そしてストレスです。「これさえ避ければ大丈夫」というものではなく、人によってきっかけは様々です。

もし心当たりがあるなら、頭痛が出た日に「その日何をしていたか」を軽くメモしてみてください。自分だけのパターンが見えてくると、避けられるきっかけも見つかりやすくなります。

そしてもう一つ、目の奥をえぐられるような激しい痛みが、一定期間だけ毎日決まった時間に繰り返し起こる「群発頭痛」というタイプもあります。かなり稀なタイプで、10万人あたり数十人〜数百人程度とされていますが、僕の周りにも「この症状が出る日は仕事にならないので、あらかじめ伝えている」という方がいます。
もし心当たりがあるなら、これは今日お話しする内容とは別物なので、こちらも専門の医療機関に相談することをおすすめします。

緊張性の頭痛のひとつ、眼精疲労による頭痛

最近、目の周りが疲労して、目がかすんだり、まぶたが重かったり、疲労を感じたりしている方は、長時間のパソコンやスマホ、ゲームなどで目を酷使している自覚がある方も多いと思います。

眼科を受診すると、いろいろなアドバイスをもらえるかもしれません。
「20分に1回、20秒だけ遠くを見てください」
「意識的にまばたきを増やしてください」
「目を温めて、毛様体筋の緊張をほぐしましょう」
「乾燥するなら目薬を」
「画面までの距離は50〜60cmに、明るさは部屋と揃えて」。

これらはどれも理にかなっていて、実際に効果のあるアドバイスです。

それでも、こうしたケアを一通り試したはずなのに、同じような目の疲れや、そこから来る頭痛が繰り返される方がいます。
特に、眼精疲労からくる頭痛は、目の周りをケアするだけでは、変わらないかもしれません。整体の現場からは、少し違う角度が見えてきます。

 頭が、硬い

眼精疲労を訴える方の頭を触ると、あることに気づきます。それが何なのか、実際にあった例を通してお話しします。

40代の男性で、職業はITエンジニア。1日10時間以上、ほぼずっとパソコン作業をしている方でした。慢性的な眼精疲労と、それに伴う頭痛が5年ほど続いている。ひどいときは、こめかみ、眉間の奥、後頭部あたりがガンガンと痛くなる。

そういうときは、自分で体を動かしてみたり、近くのマッサージで首や肩をグリグリ揉んでもらったりしていたそうです。
でも、その場ではしばらく楽に感じるのですが、すぐにまた同じ症状が出てきてしまう。
これはもう「体質なんだ」と思って諦めていた、という状態でした。

こういう方の場合、僕は頭の状態も必ず確かめます。

見ているのは、
皮膚がどのくらい動くか。
頭を持ち上げたときにどんな重さを感じるか。
そして、頭のどこに硬さがあるか

この3つです。

この方は、頭皮が動きにくく、頭を持ち上げるとずしっと重い。そして、場所によって硬さにもかなり違いがありました。

なぜ、目の疲れが頭全体に広がるのか

目の周りやおでこ、こめかみを覆っている筋肉は、頭のてっぺんを覆う「帽状腱膜」という一枚の膜で、ひとつながりになっています。
だから、目の周りの筋肉がずっと緊張したままだと、その緊張はそこだけにとどまらず、この膜を通じて頭全体に広がっていきます

また、後頭部には、頭皮の感覚を伝える神経(大後頭神経)が、首の筋肉を貫通するように走っています。この首周辺の筋肉が緊張し続けると、神経が圧迫されて、ズキンとした痛みを引き起こすことがあります。

目を一点に固定し続ける。
まばたきが減る。
呼吸が浅くなる。
首が前に出て、頭が前に突き出た状態が何時間も続く

こうした姿勢が、目の周りの筋肉の緊張を続かせ、それが膜を通じて頭全体に広がっていく。首や肩、頭のまわりがこうして固まっていくことが、目の疲れや頭痛にもつながっていると、考えています。

ここで、ずっと気になっていることがあります

同じようにパソコン作業をしている方でも、頭や首の硬さの出方には個人差があります。

理由は2つあると考えています。

1つは、仕事内容による脳の使われ方の違いです。1日中ひとことも話さずパソコンと向き合っている人と、パソコンを使いながら毎日お客さんと会話し、提案を組み立てている人とでは、脳の使われ方そのものが違います。

相手の反応を見ながら言葉を選んだり、どう伝えれば納得してもらえるかを考えたりする作業には、言葉を組み立てる部分(言語野)や、相手の気持ちを読み取る部分など、黙々と画面に向き合う作業とは違う脳の領域が関わることが分かっています。

もう1つは、作業環境の違いです。
ノートパソコンは画面とキーボードが一体になっているため、画面を目の高さまで上げると腕がきつくなり、結局画面を見下ろす姿勢になりがちです。
この姿勢が続くと、首が慢性的に前に出た状態が定着しやすくなります。

一方デスクトップで外部モニターを使っている方は、画面の高さを独立して調整できるぶん、この負担を避けやすい傾向があります。
また、モニターを複数台使っている方は、画面を見るたびに首を左右に振る動きが加わるので、左右非対称に筋肉が使われやすくなります。

ただ、こうして脳の使われ方や姿勢が違うからといって、それが頭の硬さの出方の違いとして表れているかどうかは、まだ証明されていません。
ここから先は、17年間、人の身体を触ってきた整体師としての臨床仮説です。
実際に頭を触っていると、仕事の内容や作業環境によって、硬さの出方に何か傾向があるように感じることが多いんです。

僕は、この違いを無視せずに頭を診るようにしています。
実際に触って、動かして、施術したあとにどう変わるのか。そこで変化が出るかどうかまで含めて、その方の身体を見ています。

目には触れずに、頭を緩める

本当は、ここまでの話(帽状腱膜を通じて緊張が頭全体に広がるという話)だけでも、記事としては十分書けるんです。

でも実際に僕がこの方に対して最初に行ったのは、頭蓋骨の調整でした。
これは眼精疲労に限った話ではなく、症状を問わず、僕がいつも最初に行っていることです。

頭蓋骨は、
前頭骨、頭頂骨、後頭骨、側頭骨、蝶形骨、篩骨といった、いくつかの骨が組み合わさってできています。

子どもの頃、これらの骨は全部バラバラで、柔らかい膜で繋がった”つぎはぎ”のような状態です。
骨自体は成長とともに大人のサイズになっていき、つなぎ目の部分は、何十年もかけてゆっくりと骨に置き換わっていきます。
中には、完全には骨化しきらない境目も残ります。

骨化した部分には、縫合という縫い目のような境目が残ります。ここまでは頭頂骨、ここからは前頭骨、という分かれ目です。
この縫い目は大人になるとかなり強固に固定されている、とされてはいますが、外から受けた衝撃を吸収する役割があることも研究で分かっていて、一枚の骨よりも、縫合線があることで衝撃をうまく逃がせる構造になっています

この、頭蓋骨の縫合に実はわずかな動きがあるのではないか?
今から100年以上前、あるオステオパシー医が唱えたこの考え方は、解剖学の教科書とは真っ向から対立するものでした。
それでも、この見方は途絶えることなく受け継がれ、今もクラニオセイクラルという手技として、世界中の施術者に教えられています。
僕もその一人として、この「あそびがある」という考え方を大事にしています。
この動きが乏しくなると、頭の周りの緊張がほどけにくくなり、体へのストレスが強くなる一つの要因になるのではないか、と考えています。

例えば、朝起きてすぐ、ウォーミングアップもせずに100m走のタイムを測らないですよね?

それと似たように、体調整する上で、深く踏み込む前に、緩む準備をさせてあげる段階が必要だと考えています。だから頭蓋骨の調整は、僕にとって最初の一歩だったりします。

目は直接触りません。首をゴリゴリ揉んだりもしません。

頭蓋骨を両手で挟んで、5gほどのごく軽い圧をかけながら、手ではなく、自分の体を使ってゆっくり引っ張るように牽引していきます。
頭蓋骨だけでなく、脊柱管を通っている硬膜全体を、ゆっくり伸ばしていくようなイメージです。
更にゆっくりな呼吸を意識的に行ってもらい、相手の呼吸に牽引するタイミングを合わせにいきます。

呼吸を意識してもらうのには理由があります。脳脊髄液は、脳を衝撃から守るために浮かせている液体で、脳から脊柱管を通って循環しています。
この循環は心臓の拍動だけでなく、呼吸によっても動くことが近年の研究で確認されていて、特に深い呼吸で横隔膜がしっかり動くときほど、流れが活発になることが分かってきました
。この仕組みに働きかけたくて、呼吸に合わせて牽引しています。

体が緩む準備ができると、その先の施術にも入りやすくなります。網膜は、発生の過程で脳の一部が外側に飛び出してできた組織で、視神経も脳の延長です。

だから頭の環境が整うと、この方の場合も、頭が軽くなり、視界も明るくなっていきました。
4回目の施術の時には、頭痛の事はしばらく忘れていた状態にまでなりました。

この調整を行なった直後に目に見える変化でいうと、足の長さが揃ったり、足首などの関節が緩む方もいらっしゃいます。
これは、臨床の現場で僕が繰り返し経験してきた反応です。

ここまでお話したケースはこの方の場合の話です。
同じように目が疲れる方でも、たどる道筋は人それぞれ違います。骨格も仕事もライフスタイルも同じという人はいませんから、「頭が硬ければ原因は頭」と決めつけられるものではありません。
実際に動かしてみて変化が出るかどうかを、複数回かけて確かめていくことになります。

原因の特定には時間がかかりますが、頭のまわりを緩めること自体は、多くの方にとってメリットがあります。

自宅でできることを3つご紹介します。

自宅でできる「頭を緩める」セルフケア


頭はデリケートな部分です。グリグリと激しく揉むのは避けてください。優しく、緩めるイメージで行います。

1. 頭皮の引き上げ

両手で頭の両サイドを持ちます。
息を吸います。吐きながら、スーッと頭の皮膚を上に持ち上げます。足のほうに引っ張るのではなく、頭頂部のほうに皮膚をグーッと持っていく感じです。その状態で、深呼吸をします。寝ながら行うと、力が抜けてやりやすくなります。

2. 側頭部のマッサージ

手のひらの真ん中あたり、母指球と小指球の間くらいを、こめかみに当てます。側頭部を、優しく、優しくマッサージします。

3. 耳の後ろのリンパマッサージ

小指で、耳の後ろを優しく撫でます。これでリンパの流れを促します。

どれも「頭を緩める」というイメージでやってみてください。

夕方になると眼精疲労がひどくなる、頭痛が出る、集中力が落ちる。そういう状態が続いているなら、目だけではなく頭のほうを疑ってみてください。

痛い場所に原因があるとは限らない。これは目に限らず、体のあらゆる場所について言えることだと思っています。

痛みが強いとき、体調がすぐれないときは無理に行わないでください。動かしていて痛みが出る場合は、そこで止めてください。普段と違う強い症状が出た場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

また、見え方そのものの変化(視野が欠ける、急にかすむ、ものが二重に見える等)、目や頭の激しい痛み、吐き気を伴う症状など、普段と違う症状がある場合は、自己判断せず眼科をはじめとする医療機関を受診してください。
目の症状には、体の使い方とは別の原因が隠れていることもあります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

阿久澤真一(あくざわ・しんいち)
整体師として17年、柔道整復師。マレーシア・モントキアラで「阿和ジャパニーズ・ボディワーク」を開業し、11年目になります。多忙なビジネスパーソンを中心に、心と体を本来のニュートラルな状態に整えるコンディショニングを提供しています。

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