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小さなあなたへ

外界はいつも不思議とザラついていた。
言葉の粒が大きくて、
音は硬くて、
気配は何をするでもなく、ざわざわと乱れていた。

私以外の"人間"は、当たり前のようにそこにいて、
当たり前のように暮らし、
当たり前のように声を発して、
当たり前のように触れ合っていた。

けれど私には、その"当たり前"が理解できなかった。

人々の声は喧騒と化し、
感情はささくれのように粗く、
言葉はガラスのように鋭く、
嘘は濃霧のように人々を隠していた。

私はそれらをそのまま受け取れなくて、
いつも一歩引いた場所から眺めていた。
世界はこんなにも近いのに。
手を伸ばせばすぐ届く距離にあるのに。
どうしても、触れられなかった。
触れることを拒まれていた。

距離層から見る外界は、いくら手を伸ばしても届かない。
手を伸ばした瞬間離れていく。
それはまるでテレビで観劇しているようで。
時にコメディで、時にシリアスに、時にはSF映画で。
人々は感情のままに笑い、怒り、泣き、喧騒を起こし、
飽きることなく、くるくると動き続ける。
そのすべてが、私には異世界の出来事にしか感じられなかった。
いつしか私は、
自分の存在を"人間"というカテゴリから外れた
異分子のように感じていた。

自然の音は好きだ。
風の匂い、いのちの揺れ、草木が静かに呼吸する静けさ。
ただそこにあるという、存在として成り立っている。

でも、"人間"だけは違う。
大きくて、乱暴で、落ち着きがない。
みな同じように自分のことが一番で、
嘘で飾ることが日常で、
周りを蹴落とそうが何とも思わない。
むしろそれが当たり前のことのように生きている。
私にとって"人間"は、濃縮されたノイズの塊だった。

私は、彼らを理解できなかった。
そして私は、
彼らと同じようにいる"私"も理解できなかった。

どうしてこの形なのか。
どうして"人間"として生まれてきてしまったのか。
唯一落ち着ける暗がりにすっぽりとはまり、
私は私という人間を恨み続けた。

外界は私の居場所ではない。

それだけが、幼い私の確かな結論だった。

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