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隅田川沿い全27橋を渡り歩いた私の“推し橋”5選【隅田川さんぽ】

それぞれの理由でその造形/構造を成して誕生し、地域や利用者とともに長い歴史を刻んでいく『橋』。
違う個性が光る姿かたちはどれも魅力に富んでいますし、橋の上から見渡す開けた景色も気持ちいいものです。

そんな視覚的な楽しさもさることながら、橋を歩いて渡ることは、徒歩好きにとってちょっと特別な意味を持つと思っています。


過去私が歩いた中で最長の『来島海峡大橋』は、しまなみ海道を代表する3連吊橋で全長約4.1kmと大迫力。
歩いても終わりが見えないくらい長い橋で瀬戸内海の島を渡る達成感はひとしおですが、ちいさな河川に架かる橋でもそれは変わりません。

道路を舞台にして自らの脚でつないだ達成感を得るなら、例えば「国道○号線制覇」のような根気のいるチャレンジが必要だったりもします。

ですが、それが橋の場合、数百メートル先の対岸に渡るだけでも、不思議と別世界に一歩足を踏み入れたかのような新鮮なときめきを得られるんです。
これは私だけでしょうか。

なので、橋渡りは散歩のなかでもハイライト的な楽しみであり、渡らずにはいられないんです。
そこに橋があるならば。




『橋の博物館』を渡り歩こう


東京の下町を流れる隅田川。
全長約23.5kmの河川には、なんと30本以上(うち、徒歩で渡れるのは27本)もの橋梁が架かり『隅田川橋梁群』と総称されています。

それらは世界的に見ても珍しいくらい多種多様なかたちをしており、『橋の博物館』と呼ばれるほど。

なお、現在のかたちになったのは関東大震災の復興が契機で、それ以前はいずれも同じ構造の鉄橋が架設されていました。
しかし、同時期に老朽化・壊れてしまうリスクを防ぐ、この機会にさまざまな構造の橋にチャレンジして日本の橋技術向上を図る…といった目的があり、大きな変化を遂げたのです。

工数や費用を度外視してでもあえて同じ構造にしなかった橋々には、ひとつひとつに歴史や当時の最先端技術が詰まっていて見どころ満載です。


先日、隅田川沿いを歩き、徒歩で渡れる27橋をすべて渡り歩いてきました

Garminログより

【コースの簡易説明】
・下流(新橋駅スタート)から上流(東十条駅ゴール)に向けて進みました。
 下流側のほうが華やかな橋が多いため、見どころを後半に残しておきたい方は逆ルートがおススメです。

かならず各橋を歩いて渡ることを必須としました。

川沿いを通行できず、迂回が必要な場所もあります
私は隅田川テラスを歩いたり遠回りしたり、(道間違いを含む)寄り道するなど結構自由にコースどりしましたが、なるべく隅田川沿いを歩くとおそらく28~30km程度の距離になるかと思います。

短い間隔でどれも主役級の橋が並ぶ、橋好きにとっては贅沢すぎる散歩コース。
実際に歩いた私の経験に基づく、橋好き 兼 徒歩好きによる“歩きたくなる推し橋5選”を語らせてください!



推し橋5選


評価基準について

当初はデザイン・歴史・知名度・総合的景観・歩きごこちといった観点から5段階評価してランクづけしよう…と考えましたが、
冷静に数値化していると、推し”なのに自分の感情よりも大衆向けの回答に寄せてしまいがちでした。

そのため、直感を重視してシンプルに“自分が歩きたくなる橋”を5つチョイスしています。


ちなみに、私が橋に一番心惹かれるのはそのバランスのよさです。

橋そのものの構造美と機能美、造形美のどれが欠けても成り立たず、土木構造物としての耐久性の高さ(強さ)と装飾の繊細さ、さらに周囲の自然景観との調和まで深く考えて設計されていること。
主張しすぎず、でも人々の生活をたしかに下支えする役割を果たしながら、ずっとそこに在り続ける。

一見相反するかのように見える要素が絶妙なバランスのうえに成り立ち、それらが自分の中でピタリと噛み合った瞬間に「あ、好きだな」と感じます。そして、美しいとも。
これは構造物一般に言えることかもしれませんが、橋という歩けるものなら、徒歩好きにとってはなお最高ですよね。

そんな、抽象的な美的感覚を前提としたチョイスです(?)


【1】築地大橋 

★近未来的な外観が目を引く、隅田川橋梁群の中で最も新しい橋

【基本情報】
竣工  :2018年
橋長   : 245m
橋梁形式:双弦アーチ
備考  :
・築地市場移転後の環状2号線の一部として、隅田川で最も下流に位置する新しい橋梁
横繋ぎ材のない双弦アーチ形式は、日本に前例のない新しい構造である

【推しポイント】
・特徴的でスタイリッシュな構造は特に夜景との相性が良く、ライトアップの近未来感が格好いい
・周辺の高層ビル群との景観的調和がとれている
・東京エクストリームウォーク100のコース終盤に含まれていて、ウォーカー的には勝者の道"というイメージで気分が盛り上がる
(ただし、私は築地大橋を通るコースの回にまだ参加したことがない…)

■昼景

■夜景

ぐっと印象が変わって格好いい!

【2】勝鬨橋かちどきばし

★総合評価ナンバーワン!美しく歴史の重み感じる国指定重要文化財

【基本情報】
竣工  :1940年
橋長   : 246m
橋梁形式:シカゴ型二葉式跳開橋
備考  :
・隅田川橋梁群の清洲橋・永代橋とともに国指定重要文化財に指定されている
・現在は稼働しないが、日本で現存する数少ない可動橋(跳開橋)
・かつて計画されていた東京万博のアクセス路として作られた

【推しポイント】
・今は開かない可動橋に宿る歴史とロマンに惹かれる
・上品な白色とレトロで繊細な装飾が美しく、惚れ惚れとする
・左岸側に佇むピコリーノとともに映す構図が好き(川岸にピコリーノがいるのは、隅田川橋梁群の中で唯一)
(・長寿命化工事が続いており、養生シートで覆われていない全体像を拝める日が楽しみ)

■昼景

ピコリーノとともに

■夜景

ピコリーノとともに②
暖色系のライトが上品で引き立つ
可動橋時代の名残の信号機
橋のたもとにある『かちどき橋の資料館』では、隅田川の橋について理解を深められる

【3】中央大橋

★特にライトアップされた夜の雰囲気がたまらない、開放的な斜張橋しゃちょうきょう

【基本情報】
竣工  :1993年
橋長   : 210.7m
橋梁形式: 2径間連続鋼斜張橋
備考  :
・兜をイメージしたデザインのモダンな斜張橋
・隅田川とセーヌ川が友好河川を提携したことに関連し、パリ市から贈られたブロンズ像がある
・さまざまな作品のロケ地に使われている

【推しポイント】
・歩行時、斜張橋のケーブルに包まれる迫力と一種の安心感のようなものを味わえる
暖色系のカクテル光にやさしく照らされる夜は、隅田川橋梁群の中で最も落ち着いてムーディーな雰囲気が漂う
・歩道が広く開放的で、都会的景観をじっくりと楽しめる
主塔とケーブルのあいだから東京スカイツリーを覗き見るのがマイベストショット

■昼景

間に東京スカイツリー

■夜景


【4】白鬚橋しらひげばし

★造形美ナンバーワン!流麗なフォルムをずっと眺めていたくなる橋

【基本情報】
竣工  :1931年
橋長   : 167.6m
橋梁形式:下路式ブレースドリブドタイドアーチ橋
備考  :
・橋名は東岸にある『白鬚神社』にちなむ
・隅田川最古の橋『千住大橋』が架設される以前は、江戸と北関東や奥州を結ぶ、隅田川で最大の渡河点だった

【推しポイント】
・特に美観を考慮して選ばれた構造で、ゆったりと流れるような曲線のシルエットが優美。好き!この一点だけでもめちゃくちゃ推したい
・勝鬨橋と同様に、鉄橋の重厚感と繊細さがうまく共存している
・橋の上からは、東京スカイツリーの姿を障害物なく見通せる

■昼景

このシルエットが美しい…!

■夜景

橋のシルエットが引き立つライトアップ
橋の上から東京スカイツリーを望む

【5】豊島橋

★他4橋とは趣向が少し異なるが、シンプルながらもさまざまな景観が楽しめる橋

【基本情報】
竣工  :2001年
橋長   : 106.7m
橋梁形式:単純下路式鋼ローゼ桁橋
備考  :
・北区と足立区をつなぎ、橋名は北区側の地名『豊島』(地域をおさめた豊島氏の発祥地である)にちなむ
・今回の5選の中では、唯一上流側に位置する

【推しポイント】
・橋自体のつくりはシンプルだが、隅田川と併走する首都高、両岸に広がる住宅街のまちなみとのコントラスト、つまり全体的景観がよい
(橋の上から富士山が見えることもあるそう)
華やかな下流側とはまた異なる、ベッドタウンのあたたかみを感じる
・周辺の川沿いも静かで道幅が広く、散歩やランニングに適している

■夜景

(昼景も後日追加します)


まとめ

見事なまでに白基調の橋が並びました。好みがわかりやすい…w
これは橋そのものに与えられる洗練された美しさと、青空とのコントラストが映えやすい点に惹かれるのだと思います。

本来なら「華やかな浅草エリアの橋は外せないだろう」と思ったのですが、それらはやはり観光客などで賑わっています。
自分が歩きたくなる”という選抜の趣旨に沿うと、人通りが少なめで落ち着いて歩ける点もプラス評価になるため、このようなチョイスになりました。


もっと!選抜外の橋と推しポイント


● 吾妻橋よりは人が少なく、浅草の景色を楽しめる『駒形橋』
浅草枠では一番選抜入りに近かった。橋上下の3連アーチが美しい。


『小台橋』から荒川遊園地のライトアップを望む夜


● 1594年に架橋された隅田川最古の橋千住大橋せんじゅおおはしと、その下にひっそりと架かる『千住小橋

千住大橋
千住小橋

● 名前が最も美しいと感じるのは言問橋ことといばし
言問”という名称は、在原業平が詠んだ「名にし負はば いざこと問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」という歌にちなむ、とも言われる。
また、言問橋の直線的なデザインは『清洲橋きよすばし』と対比されることがある。

ゆるやかな弧線に膨らんでいるが、隅田川の新しい六大橋のうちで、清洲橋が曲線の美しさとすれば、言問橋は直線の美しさなのだ。清洲は女だ、言問は男だ。

小説『浅草紅団』(川端康成)
言問橋
清洲橋



おわりに


ほんとうは隅田川橋梁群の全橋をご紹介したいくらいですが、今回は推し橋5つ+αに絞って取り上げてみました。
川や橋の美しい景色を楽しむのはもちろん、隅田川沿いを歩くだけで都内観光や食べ歩きを楽しむこともできる楽しいエリアです。

どれかひとつでもピンとくるものがあれば、魅力的な橋とともにぶらり下町さんぽを楽しんでみてください!


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