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PNMJ がいでん


じいちゃんが浮足だっている。

俺は存分にしらけている。


お気に入りのスニーカーを玄関にだして

これみよがしの見本か?と胸で毒づく。


チラチラと俺をみるじいちゃんのにやけた顔に


薄目で一瞥をくれると、更にじいちゃんは


いやらしい顔をしている。


いやさ、俺もさ、まさかねー、そんなさ、


この年になってデートに誘われるなんてさ、


しかもねー、つむぎにねー。とペラペラと


話し出した。


知っています。聞き飽きました。


明日、じいちゃんはつむぎさんとデートに行く。


らしい。


しかも、つむぎさんから

甚平さんにどうしても会って欲しい人がいると


言われたらしい。


俺は二重に傷ついている。


じいちゃんがデートに誘われたことがひとつ。


つむぎさんがじいちゃんに会わせたい大事な人が


いるということでふたつ。


そしてなぜか、つむぎさんの口からその話を


聞いたわけではないことも、無性に腹だたしい。


なんなんだ、俺。 何、怒ってんだよ、俺。


話は1週間前に遡る。にこちゃんが前から


観たがっていた映画に、お店を休みにして


連れて行った。


にこちゃん孝行をしようと、ランチをして


映画を観て、にこちゃんが欲しいと言ったので


パンフレットを買い、カフェでパフェを食べて


帰ってきた。


俺の頭の中では、にこちゃんを大事にすることは


じいちゃんも喜ぶはずという公式があったが、


なんと喜びの計算式とは星の数ほどあると知る。


じいちゃんは、猛烈に嫉妬した。


まず、にこちゃんとデートがずるい。


映画を隣で見るなんてずるい。


プレゼントしてずるい。


パフェを奢るなんて下心があるにちがいない。


にこちゃんのあんな機嫌の良いスマイルを


独り占めするなんてどういうつもりだよ。と


捲し立てた。


どういうつもり? 祖母孝行だよ。と答えると


孫だと思って、調子にのっているな。と


謎の圧力までかけてくる始末。


にこちゃんを大好きなことはわかるが、


脱線がひどいし、嫉妬の的外れも甚だしい。


というわけで、にこちゃんも、呆れていた。


バカにつける薬がちょうど切れているから、

放置という名前の治療でいこう。と賢明な診断を

くだし、しばらくは野放しにしておいた。


数日後、店から戻ったじいちゃんが、満面の笑みでこう言った。


明後日さ、つむぎに誘われたからさ。


えっ?どこに?


山梨。富士山が見えるとこでデート。


えっ?2人で?


そう。2人っきりでー。でも、あれだぞ、
つむぎがどうしても甚さんにあってほしい
大事な人がいるんだと。俺、なんか親父みたいだろ。


頭が真っ白になった。急にもやがかかる。


いや、けむりか。もしかしてこの今心に渦巻く


けむりの真ん中に嫉妬の炎があるのなら、


自分がじいちゃんのDNAがありすぎて、引く。


というわけで、燻されて煙くさい俺は


その日以来、店では明るく振る舞うものの


どこかきな臭かった。


俺の店、PNMJはもうすぐ1歳になる。

よちよち歩きな経営状態だが、それでも


常連さんに愛されて支えられて今に至る。


昨日、まるたろうとまるたろうのママが来た。

まるたろうは柴犬で、飼い主のママと一緒にお散歩の途中でお店に寄ってくれる。


俺はまるたろうママ、略してママと呼んでいる。


ママは言った。


こないだつむちゃんに会ったのよ。甚さんの店で。なんか真剣に相談してたのよ。どうする、
りょうちゃん?つむちゃんにいい人いたら?


ひー。ママまでそんなこと言わないで。と心の
火災報知器をビンビン鳴らしながら、


つむぎさんが幸せならそれで嬉しいです。


と、にこりとしたつもりだった。


そう言った俺の目をみて

りょうちゃんの嘘がつけないとこ、好きよ。

と言って、ゆっくり 近く を飲み干して帰っていった。慈しみ深い眼差しに、泣きそうになる。


ふー。取り繕うどころか本心がもれている。


当日。俺は店をいつも通り開店させた。


じいちゃんのスニーカーにうんこをつけたいと


思うぐらいに、心は煙っていたが、


やらないぐらいには大人で自分に安堵した。


その日は、休日に関わらず人が沢山来た。


俺が煙を忘れるほどに。


クララさんもともさんも、おたまさんも
毎度!っと元気にやってきた。

あやしもさんも、いちごさんも、かすみさんも、
来たよーと覗いて、握手を頼んでくれた。

うみちゃんとかえでさんが一緒に来たし

みどりさんも、あっちんさんも遠くから来てくれた。

ぽなちゃんは、草活動の途中でより、体内にも草が必要だとやってきて、俺を笑わせた。

ほのパパさんは、家族でお揃いのスニーカーでやってきた。幸せが胸にしみる。

モンローちゃんは仕事の途中だと言って、遠いを
一気飲みした。

ぼたんさんも、くなんさんも、そらさんも、せいこさんも久しぶりと、笑顔をみせてくれた。

けいこさんも、はんなさんも、まゆきちさんも忙しいのに、寄り道したのよと話していた。

ますみさんは、迷っちゃうから二つ買うねと、両手にジュースをもち、娘さんの下に走っていった。

夕方になり、コッシーさんやノックさんは仕事帰りに、

インフォさんは、出張帰りにお子さんと妻さんに

おみやげにとテイクアウトを頼んでくれた。

サンパパさんは妻さんとのイチャイチャのきっかけに

不純な動機でテイクアウトしていった。

この時、気づいた。あっ、今日、店の誕生日だ。

だからみんな、おめでとうの代わりに
飲みにきてくれたのか。入れ替わり立ち替わり。

ジュースに集中させるために、ごちそうさま、
またくるねを置いていったんだ。

全員優しいとか、恵まれすぎだな、俺。


店じまいの頃、くまさんが来た。


りょうちゃん、これ。紙包を俺に差し出した。


1歳おめでとう。カードにはそう書いてあり、


中にはイラストがあった。額に入っていた。

お店に飾ってよ!どう?

くまさんは、自分のイラストを存分に謙遜しながら、笑いながら話をした。

うっ。なんてこと。

つむぎさんが笑ってるじゃないか…

俺に向かって、笑ってるじゃないか…。

泣いていた。静かに放水し、心は鎮火していた。


やだ、りょうちゃん、どうした?えっ?えー?

くまさんが予期せぬ事態に狼狽し、

おろおろしたその時。


ただいまー!!つむぎさんとじいちゃんが帰ってきた。

くま、お前、りょうたをいじめたな?と

じいちゃんに突っ込まれ、全力で首をふる

くまさん。

つむぎさんは、その様子に怯まず、

俺の前にやってきた。

りょうた、お店、1周年おめでとう。

これ、ハイ、プレゼント。

パンフレットだった。

あおきえん。何これ?

親戚できたよ。遠いだよ。

つむぎがたまたま出会って、その農園の果物に

惚れて、りょうたのジュースにまた新しい魅力が

出るはずだって。


りょうたにサプライズで遠いの材料になる

親戚をプレゼントしたいって。

俺の店で真剣に語りやがってさ。

営業妨害するわけよ。身振り手振りでじいちゃんは話す。

それで、その農園の人や果物にあってほしい。

甚さんの目と舌と心で確かめてほしい。ってさ、

で、行ってきて、間違いなしだったよ。

契約してきたぞ。よくお願いしてきた。

新しい親戚だ。素晴らしい親戚だ。

なんだよー、もうなんなんだよー。

俺は半分泣きながら俯きながら

ありがとうつむぎさん、ありがとうじいちゃん

と言った。

なんでか、くまさんも涙ぐんでいる。

よし、俺。 しっかりしよう。1歳だから

泣かないで、つかまり立ちは卒業しよう。


つむぎさん、親戚をありがとう。

あおきえんさんのフルーツを使った

新しい遠いの名前は 家族 にしようと思う。

いつか、ちゃんとジュースができたら

招待して飲んでもらおう。そう思っている。

つきましては、つむぎさん。

俺とじいちゃんと、家族に

なってくれませんか? 

一緒に生きてもらえませんか?

つむぎさんは、笑った。

じいちゃんは、お前、プロポーズに巻き込んだなと狼狽えた。

くまさんは、ぱっと表情を輝かせた。

親戚紹介するほどの仲ですからねー。と

つむぎさん。

下心しかありませんからね。喜んで〜!!

そこからは、じいちゃんの掛け声で

万歳三唱をした。

今後、この色気も雰囲気もないプロポーズをいじられながら俺は生きていくだろう。


なんて幸せだろう。


俺の店が1歳になった日は、こうして

俺がまた新たな一歩を大事な人と踏み出す日に

上書きされたんだ。

#スピンオフ
#PNMJに心を寄せてくださったみなさんへ







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おだんご お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。