黒帯伝説④ハロウィンで✧♡
弘前の中心街を歩いていた。
土手町は唯一の愉しみだった中三(ジュンク堂本店もあった)デパートが閉まり、老舗和菓子の開運堂が閉店し、と、どんどん寂しくなる一方。
我々が歩いているのは、前回のはばきぬぎであるかつ亭に行った後の腹ごなしで、夜の宴会に向けてのおかず探し。義兄の希望で、町はずれの肉屋さんに向かっている。さっき、とんかつ食べたのに、きっと彼はまた揚げ物を買うだろうという私の予言はあたりそうだ。
すると、ある場所で、湯気の立ちのぼるスープをふるまっていた。静かな街を盛り立てようという若い店主の意気込みだろうか?
「いかがですか」
と声をかけられたが、とんかつでお腹いっぱいの我々w
結構です、と通り過ぎる。
なぜ、今、スープ?と不思議に思うが、そうか、ハロウィンが近い休日だったかと気が付く。
向こうから、遠目でも、派手な格好の一群が歩いてきた。
髪の色から肌の色、洋服の色まで統一して、黄色い人や、赤い人、ピンクの人、緑色の人、青い人、と6~7人の女の子の集団である。
東京ならいざしらず、静かな弘前の町に不似合いな一群。
なんかヤバい人たちが向こうからくる( ゚Д゚)
私は、警戒感を強め、下方に目を逸らせてすれ違った。
すれ違いざま、黒帯が彼らに何か言った。
そのとき、彼らがわあっと華やいで、嬉しそうにわいのわいのと振り返ってポーズを決め、沸き立った。黒帯に向かって何か言っているが、何と言ったのかは聞き取れない。しかし、黒帯のかけた言葉に反応してとても喜んでいることが、凄く伝わってきた。
「今、君、なんて言った?」と私。
「ビジュ、いいじゃん!って言ったのよ」
と黒帯。
そういえば彼らも「ありがとう!」とか「ビジュ、いいでしょ?」とか言っていた気もする。
そして、目を逸らしていた私に比べ、黒帯のしたことは、なんと彼らを喜ばせたのだろうと感心した。
人を喜ばせるって、こういうことか!
「だって、頑張って、オシャレして扮装して歩いてきたんだよ。何か言われたそうな顔してるって思ってさ」
令和の若者に、さっと言葉を投げかけ、喜ばせるとは。

只者でない✧♡
