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Netflix『アドレセンス』感想 親として社会として子どもを守れるのか?

Netflixで配信中のイギリス発ドラマ『アドレセンス』。

全4話、すべてワンカットで撮影されるという挑戦的な手法が話題の作品ですが、私が一番強く感じたのは「親としての現代の子育ての難しさ」でした。

特に、すべての父親にこそ見てほしいと思います。子どもは純粋無垢な存在ではなく、社会の“よどみ”、悪いものを全部吸い取ってしまうような存在でもある——この作品を見て、思わず大人として大反省大会でした。

映像の演出や演技の素晴らしさにも注目しながら、感想をまとめてみました。


■物語の概要

13歳の少年ジェイミー・ミラーが、同級生の少女ケイティを殺害した容疑で逮捕されるという衝撃的な事件を軸に、警察・家族・心理療法士などさまざまな視点から描かれる全4話のドラマ。
全てワンカットで撮影され、事件の全貌と心の背景に迫る緻密な物語です。

子供に関わる全ての親、教育者などが一度は見るべき作品だと思いました。

■親として考えさせられる

殺人を犯したのは13歳のあどけない少年。
息子が中心ではありますが、本作は父親が大きなテーマにもなっていると感じました。実際、少年の父役で出ているスティーヴン・グレアムが脚本も担当しているそうで、納得の深みです。

第1話では、自宅で寝ている息子が早朝に警察に連行されるシーン。そして、未成年容疑者として取り調べに弁護士と父親が同席するシーン。第4話では、誕生日の日に息子と電話を交わしながら、地元の冷たい視線やいたずらに耐え、妻と自らの過去の子育てを語り合う父親の姿が描かれます。

私は思いました。「これ、夫が見たらトラウマになるんじゃないか」と。
うちにも6歳の息子がいます。すでに「この子、何を考えてるんだろう?」とわからない瞬間がある。親として怖くて仕方がありません。
 

■子育ての難しさ、インターネットの怖さ

ジェイミーが罪を犯す動機には、スマホでのネット情報や学校での人間関係、若者同士にしか通じないスラングや絵文字によるコミュニケーションなど、現代特有の環境が深く関わっています。

第4話での父親のセリフが印象的です。「ネットを開けばポルノばかり。子ども部屋にいれば安全だと思っていた。でも違った。子どもをどう守ればいいんだ」と。

スマホを持たせなければ仲間外れにされる。でも持たせれば有害情報にさらされる。こんな環境で「普通に」育てることの難しさを突きつけられました。この作品を見るだけでも、現代の子どもたちが置かれている環境の過酷さを知るきっかけになります。
 

■マノスフィアの深層

監督は、リサーチ中にインターネットで拡散する「マノスフィア」の思想の深さに衝撃を受けたそうです。これは、女性嫌悪や反フェミニズムを掲げる男性優位的なオンライン思想で、インセルやマッチョ信仰の若者たちに大きな影響を与えています。

「10代のころの自分も、あの考え方に惹かれていたかもしれません。ジェイミーのように完全に飲み込まれることはなかっただろうけれど、共鳴する部分は確かにあったと思います」とソーンは語る。そのとき彼は、この物語を描くべきだと確信した。

WIRED「Netflix「アドレセンス」のクリエイターが語る“マノスフィア”の深層」より

4話での父親の回想──息子に男らしさを育てようとサッカーやボクシングを習わせたが、本当はキッチンで絵を描くのが好きだった。そうした回想に、小さな“芽”がすでにあったことを観客に示します。

うちも剣道習わせ始めたところ!!!!!!!爆

2話では警官の息子が父である警官にインスタや学校の本当の意味を教えてくれます。ここで、「大人だけでは解決できなかった」動機の端が見えてきます。

さらに3話では、少年がネットの影響で被害者のケイティを「触れたのに触らなかっただけマシ」と答えたり軽いノリで殺してしまう怖さと少年の境遇に想いを馳せて女性心理療法士が涙するシーンにあわられていました。
あまりに自然に描かれるこれがリアルだ。
1カットでも社会を見事に映し出した構成のうまさと映像世界に唸りました。
 

■これは「舞台」だ──ワンカット撮影の臨場感

本作は、ワンカットで全てのシーンを撮影されています。
事前の計画性と役者の演技力、観客は常にその様子を見守り舞台の方が次々変わっていく。  「これは舞台だ」と感じました。

役者もすべて一本勝負の本気の演技。
当然、人物の表情を長く写しているので心情描写が複雑で丁寧。
これが本作の「ああ無情」みたいな世界感をうまく表現していてよかったです。緻密な撮影計画が必要で製作陣の根気を感じましたし、多くのスタッフが裏で動いているんだろうなと感じさせました。

自宅逮捕から警察署までのシーン、学生がうごめく学校のシーンと逃げた学生を追う警官のシーン、学校から俯瞰する視点から学校のすぐ近くの殺害現場までのドローンシーン、1部屋の中を対峙する2人のシーン…

全てが1カットで裏にはたくさんの「走るスタッフ」がいたと思うと皆の忍者のような足捌きが気になるところです(そこちゃうやろ!)
 

■13歳のあどけなさと演技

主役のジェイミーを演じたオーウェン・クーパーくん。
ちょうど子供と大人の狭間の体格や表情、行動が素晴らしい演技でした。彼はこれが初めての映像作品らしく、他の撮影方法を知らなかったからできた面もあるとのこと。

確かに、映像は引きと寄り、いくつもカメラが狙い、何テイクも繰り返すのが通常。 役者の演技も何回も、時には音声だけ収録したりするパズルのような方法で作品を作り上げていくものです。
しかし、事前の計画と迫真の演技でここまで表現できる世界が素晴らしいと思いました。 この手法だからこそ生きた彼の瑞々しい演技と作品だと感じました。ありがとう!出会ってくれてありがとう!

彼が素晴らしい俳優であることは確かだが、どうやら、彼が名演技を見せた1つの理由は、これが彼にとって初めての映像作品における演技だったため、ワンカット撮影の他に撮影方法を知らなかったということらしい。
撮影陣は彼に指示するが、彼は何のメモも取ることなく、その通りに演じて見せたという。「彼の素朴さはまさに超能力でした」とルイスは言う。 

ForbesJAPAN
「Netflixドラマ『アドレセンス』は、はたして本当に「ワンカット撮影」なのか?」
より


■まとめ

大人が、子どもを守らなければならない。
でも、実際のところ、大人も自分のことで精一杯だったりする。

そんな悲しい現実を突きつけながら、それでも「映像を作る」という行為によって、社会に問いを投げかけられた。人間の愚かさと希望が同時に描かれていて、目を背けたくなるけれど、目を背けてはいけない作品でした。

私もまた、自分の子どもとの向き合い方を深く考え直すきっかけになりました。

最後に、うちには娘もいるし私自身女性です。
少年の母親の無力さ、お姉ちゃんや被害女生徒の無念さもジワジワと感じているし、日々ネットポルノに触れたり日本の小児性愛主義みたいなのを見聞きしたりして心から怒っています。大人のおじさんたち、ちょっとしっかりしようよ、と正直思います。大人が襟を正さないといけない。


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別府 綾(べっちゃん) / 3児ママ映像ディレクター 記事がお役に立てましたらサポートお願いします🙇‍♀️ いただいたサポートは主に映画館で映画を見たり書籍購入など次の活動や記事に活かされます

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