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週末美術館 “ひとを描く” とその他 - ARTIZON MUSEUM

1. 先週末の話

最近、仕事の都合で茨城県に引っ越してきた。だがまだ土地に不慣れなこともあり、休日は東京まで出て過ごすことが多い。
この日、する事が思いつかず何気なくふらっと秋葉原行きのつくばエクスプレスに乗り、その車内でどこか都内の美術館に行こうと決めた。もう白昼夢のような気持ちである。
そうして、思い付きで東京駅前にある『アーティゾン美術館 』(ARTIZON MUSEUM) に行くことにした。


2. アーティゾン美術館

2.1. 美術館について

ブリヂストンの創業者石橋正二郎のコレクションを元に、1952年にブリヂストン美術館が開館される。

館内に設置された石橋正二郎の胸像

その後2020年、『ART』(アート)と『HORIZON』(ホライゾン)を組み合わせた造語として『ARTIZON』の美術館として生まれ変わる。アーティゾン美術館の紹介文によると、「この名前には時代を切り拓くアートの地平を多くの人に感じ取ってもらいたいという意志が込められています」と書かれている。

アーティゾン美術館前の風景

2.2. その他の館内

館内の非展示スペースはこんな感じである。
開放的で、明るい。東京駅ということもあり、平面ではなく、高さ方向にスペースを広げようという思想がうかがえる。これは三菱一号館美術館や SOMPO 美術館にも言えることである。

展示スペースのエントランス - 下から
展示スペースのエントランス - 上から
館内から見た景色


3. 展覧会

3.1. 開催中の展覧会

現在、この美術館では、

  1. ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

  2. ひとを描く

  3. 石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 マティスのアトリエ

の3つの展覧会が開かれており、一枚のチケットで全てを観覧することが出来る。これらは石橋財団の豊富なコレクションであるため、多くが写真撮影可能である。これはとてもうれしい。だがもちろん実物を観るのが一番良い。僕の中で絵画を撮った写真は備忘録と同じなのだ。

3.2. ジャム・セッション……

ジャムセッション……エントランス

「アバンギャルドだ!」
以上、ではない。パリ国立近代美術館や金沢21世紀美術館に行った経験から考えると、この手の現代アートは面白い作品の場合、後でじわじわとやって来る。そしてふとした瞬間に「あれ、また観たいな」と思ったりすると、自然と印象に残っていることになる。という訳で、今回はまずただの『出逢い』である。もし、印象に残るようであれば毛利悠子の作品を追いかけてみたいと思う。ま、これくらいで良いかな。

3.3. ひとを描く

この展示会は、紀元前から紀元頃に生まれた絵、それらは陶器の装飾やフレスコととして描かれているのだが、から始まり、近代の巨匠が描いた人物像を展示している。

『ひとを描く』の入り口付近の展示

その中でいくつか僕が気に入った絵を紹介する。
まずはピカソ。ピカソといえばキュビズムやシュルレアリズムの絵が有名だが、このように正統派の絵もたくさん描いている。

パブロ・ピカソ『腕を組んですわるサルタンバンク』

しかし活動拠点をパリに移し、様々な経験を積み、多くのアーティストの影響を受けるにつれ、自身のスタイルというものを確立していく。
下記の4枚は全てパリのピカソ美術館で展示されている絵だ。このように左上から、右、左下、右下に移るにつれてステレオタイプのピカソ像が構築されていく。
僕がこの写真を撮った当時、この4枚をまとめて『ピカソフィルター』と言ってインスタグラムに載せた記憶がある。

ピカソフィルター(パリのピカソ美術館で観た牛の絵)

続いてルノワール。ルノワールの絵に関しては、この展示会ではもう一枚の『すわるジョルジョット・シャルパンティエ嬢』を前面に押し出しているが、こちらもとても美しい。展示会の内容によっては十二分に主役を張れる絵だと思う。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『少女』

そしてこの展示会の絵でもう一枚紹介するのはベルナール・ビュッフェ。今回、僕はこの人の名前をはじめて見た。ルノワールの柔らかい線を見た直後だからか、この尖った線は自分の心に鋭く突き刺さった。これは良い。どことなく映画監督のティム・バートン(ナイトメア・ビフォア・クリスマスやコープス・ブライドの監督)の描く絵を彷彿とさせる。しかも調べてみると、彼をフィーチャーした美術館が日本にある。これは今年中にそこを訪れてみる必要があるだろう。と、僕はこの日最大の収穫を得たのであった。

ベルナール・ビュッフェ『アナベル夫人像』

3.4. 石橋財団コレクション選

このコレクション選にはマティスの特設コーナーが設けられていた。コレには新しいコレクションが追加されていたこともその理由にあげられるのだろう。

このマティス、僕のお気に入りの山田五郎の Youtube チャンネル 『大人の教養講座』でも詳しく説明されている。

また僕は昨年からコペンハーゲン国立美術館 (SMK)、国立西洋美術館の常設展とマティスの絵を観る機会があった。そして、このスペースで僕が最も興味を持った展示は彼の絵ではなく、アンリ・カルティエ・ブレッソンが撮ったマティスのアトリエだった。これは自分が写真好きで、しかも焦点深度が深く、その場の雰囲気を撮影することに長けたブレッソンだ。これは僕が写真を撮る時に心掛けているというか、目指している撮影方法である。そういう訳で、この写真に僕の目は釘付けになった。

アンリ・カルティエ・ブレッソンが撮ったマティス

ここにはアンリ・ルソーの絵も一枚展示されていた。アンリ・ルソー、一言で表現するなら「へたうま」。遠近感もなければ、構図もまとまっていない。そして対象、特に人物が雑である。線があんまりふらついていないことを除けば、幼児の描いた絵と言っても納得されるような出来だ。
だが、彼のファンは多い。特に巨匠と言われた画家(ピカソやブラックなど)は彼の絵に魅了されたらしい。散々に酷評したが、現代においては彼の絵は「個性」として、受け入れられても全くおかしくない。ひょっとしたら100年くらい生まれるのが早すぎたかもしれない。ま、そんなに遅く彼が生まれていたら、自由奔放に生きていられなかったかもしれないけどね。

アンリ・ルソー『イヴリー河岸』

この展示会で見た印象的な絵として、最後に紹介するのは坂本繁二郎の一枚。
たしか三菱一号館美術館で見た気がする。淡い線とパステル調の色彩。面白い。いづれもう少し詳しく調べて見たい。

坂本繁二郎『放牧三馬』


4. 終わりに

4.1. パウル・クレー

各展示に、何枚かパウル・クレーの絵が混じっていた。
正直なところ僕はパウル・クレーの良さを理解できているわけではない。だが、以前スイスのベルンにあるパウル・クレー美術館を訪れ、それ以外にも各地でパウル・クレーの絵を観てきたことから、シンプルな線から構成された複雑な構成、色彩感覚が近代的(現代ではない)と感じる。バウ・ハウスで教鞭を采っていたことも納得する。彼の絵についてはもっとたくさん観て、その良さを見つけたいと思う。

パウル・クレー『数学的なヴィジョン』
パウル・クレー『平和な村』

4.2. 最後に

今回紹介した絵は、展示会の顔となっている絵 (パンフレットで紹介される絵) は避けた。それらの絵は実際に観て、各人が評価してもらいたい。


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