NO MELON NO LEMON 「EYE」ニューアルバムレビュー
先日NO MELON NO LEMONの3rdアルバム「EYE」がリリースされました。
ツミキの前作よりさらに洗練されたPOPセンスと
みきまりあのより幅広く多色な歌声が合わさりノーメロのオリジナリティが
より強く、高いレベルで確立された一枚になっています。
既存曲、新曲を含む全12曲をここにレビューとして残していきます。
カイカ
開幕のウェットなスネアのフィルが印象的なこの曲は
オルタナティブなサウンドとひらけていくようなコード感が
アルバムの始まりとしてとても効果的な曲になっています。
英語のタイトルが「world」であったり、
歌詞にも”さぁ行こう”や”世界”というワードが散りばめられており
ノーメロの目指す先が明確に映るナンバーになっているのではないでしょうか。
またこの2分ちょいという短い尺も開幕曲としての効果が十分に引き出ているポイントだなと私は思いました。
兎にも角にもアルバムへ突入していく興奮を体現する素晴らしい楽曲です。
2.ミッドナイト・リフレクション
皆様ご存知「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の挿入歌です。
おそらくそこからこの楽曲を、或いはノーメロ自体を知った人も多くいることでしょう。
全体的にかなりポップでキャッチーなメロディと
シンセに包まれるトラック、そしてドラムンベースのビートが非常に印象的です。近年ドラムンベースがこのJPOP界隈にも多く見られ、昨今の一つのブームのように感じます。(例BOW AND ARROW / 米津玄師など)
改めてこの曲を聴くとその完成度、緻密さに圧倒されます。
一つ一つの細かなシンセやSEのクオリティも高く
ボーカルの力を入れるところ、抜くところのセンスも非常に素晴らしく
新たなノーメロの代表曲になること間違い無いでしょう。
3.KILLER MOON
この曲はアルバムのリードトラックとして位置付けさせられている。
前曲ミッドナイトリフレクションとは打って変わってかなり重心が
低い位置にあるようなそんな曲です。
ツミキが従来から影響を受けていると言っていたYMO感漂うシンセと
日本的なロックアンサンブルの融合が象徴的なナンバー。
その様子は2024年にリリースされたPoter Robinsonの「Cheerleader」からのリファレンスを強く感じられます。
そう言ったツミキの血肉のような曲がこのKILLERMOONだと感じています。
また ”世界を撃ち抜こうぜ” "月を追い越そうぜ”と言った
無邪気で開きのある歌詞がみきまりあの可愛い声にぴったりです。
4.ミテミテ
ハイパーポップと言われるビートジャンルにこのポップなメロディ。
みきまりあの言葉一つ一つを細かく刻んでいく歌い方があまりにも素晴らしく、まさにノーメロにしか出せない空気感だなと感じます。
みきまりあのリズム感はもちろん知っていましたが
改めて洗練された歌い回しを感じられ
みきまりあのボーカル技術の高さを浴びることができます。
最後の一節の後ろに流れているリリースカットピアノが
次の曲の始まりの伏線のようになっている構成も面白いです。
5.HALO
こちらも「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」 の挿入歌です。
導入のリリースカットピアノアレンジが
心地よく、ボカロで培われた編曲センスと
ノーメロらしいPOPなメロディが感じられる冒頭です。
全体的に他の曲よりも熱を帯びておらず
Chillであり若干にして無機質な、それでいて美しい温度感の曲です。
そんなトラックにあまりに適した程よく温度感を抜いたボーカルが
とても心地よくみきまりあの歌い回しのセンスを感じられます。
また個人的に”さみしさというスペース”や
”言えない過去や癒えない傷をお揃いの秘密にしたい”というこの歌詞たち。
あまりにも良すぎます…
自分が勝手に感じている厭世的な気持ちに
そっと自然と寄り添ってくれる言葉に救われます。
6.水光接天
こちらはTVアニメ「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱」第一クールエンディング・テーマであり、ノーメロとしては初のアニメタイアップ曲となっております。
美しいピアノの旋律に合わさるバンドアンサンブル。
アニメタイアップということもありどこか平成のアニソン感を感じます。
ただサビの2回し目 ”それは曇天の空を〜”のパートの
言葉を羅列していくメロディーの構成が個人的にはかなりノーメロ味を感じました。
また切なく侘しさ漂うメロディにみきまりあの泣きの歌い方が
非常に効果的で感情に素直に浸らせてくれます。
2人の相性の良さをさらに感じさせる一曲だなと思いました。
7.どうにかなっちゃいそう!
みきまりあだからこそ成立できたボーカル。
ボカロの系譜を踏まえたツミキリズムともいうべきでしょうか。
二人のアイデンティティが光るノーメロの強さの一つを感じました。
ロックやエモに対しての解像度も高い反面、
こう言ったダンス、ボカロ系のエレクトリックな楽曲も表現できるところ
こそノーメロの一種の強さなのではないでしょうか。
また後半のサックス?ソロパートもダンスビートに重なる部分が
あまり聞き馴染みのなさがとても新鮮で面白かったです。
8.焦熱
この曲はみきまりあ作詞作曲です。
音楽ナタリーのインタビューによると
ラーメンを食べている時のワクワク感、
並んでいる人達の焦燥感を描いているそう。
まさかこんなにかっこいいビート、メロディの上にそんな物語が構成されていたなんて。(笑)
トラックとしては重くどっしりとしたビートと
シンセが連なっています。
2Aなどはグリッチビートが感じられ
ツミキの音楽の引き出しの多さを改めて感じられる1曲になっています。
9.きえない
こちらも3曲目の「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」挿入歌です。
個人的に他の2曲に比べて日常に蔓延る憂い、つまりは日常感を強く感じました。
また”さびしい引力" "地球色の春” "部屋に満ちた宇宙”など
日常の中に生まれる風景や感情をうまく宇宙とリンクさせ聞く人の
心象風景を広げています。ツミキのリリックの個人的に好きな部分が
如実に感じられてとても好きですね。
サウンドとしてはノーメロによく見られるような
バンドアンサンブルのエモバラードと言った感じですが
サビのビートが跳ねていることにより曲全体のグルーブも感じられ
曲としての魅力を引き立たせています。
10.シーグラス
こちらはアルバムに先立ち先行配信された1曲です。
イントロから海を連想させるような音像があり
歌詞にもそれが如実に現れています。
哀愁漂うメロディと切実な歌詞がとても深く愛や寂しさを描きます。
この曲のようにコードを細々と変化させていくことにより感情の起伏を表現したりわびさびを感じさせる歌詞がいわゆる日本でのPOPSのあるべき形なのかなと改めて思わされます。
また2サビ後の深海に落ちていってしまうような
アレンジもとても良く、沈んでしまう精神的な描写を海に上手く落とし込んでいて流石ツミキだなと関心させられるばかりです。
11.きみの惑星
こちらはツミキ作曲、みきまりあ作詞の一曲。
冒頭のイントロがどこか覚えがあるようなピアノバッキングから始まりました。
合唱曲のような始まりはKomm, süsser Tod(甘き死よ来たれ、エヴァ新劇の挿入歌)やLet it be / Beatlesの感触を思い出します。
他にもリフレインがあるかもしれませんが一旦ここで。
またこの曲の一つ大きな特徴として挙げられるには
みきまりあ作詞ということでしょう。
こういった曲のクリエイト部分に彼女が絡んでくることにより
さらにノーメロとしての濃度を上げています。
個人的に彼女の歌詞は細かく言葉を巧みに並べているツミキ詩とは違い
輪郭をなぞるような大きく広く捉える歌詞が特徴的だと感じました。
この曲もそうです。
それにより優しく温かいこの曲により普遍性を与え聞く人の共感性を高めることでより強い聴衆からの支持を得ていると思いました。
12.I THINK
ラストを飾るこの曲は往年のオンビート際立つロックアンセム。
個人的にはアルバムでいっっっっちばん好きです。笑
イントロで掻き鳴らされるギターリフが推進力を加速し
アルバムの最後を駆け抜けるような描写が印象的です。
構成としてはかなりシンプルですが個人的に
一聴した瞬間から2番Aメロのギターフレーズに圧倒されました。
少し余談ですがとても技巧的で別にギタリストがレコーディングしているのかと思いましたがもしかしたらこれもツミキが録音しているのかもしれません。どうであれXにて投稿されていたツミキのギター動画の凄さに驚いたのも確かです。
またツミキ、みきまりあ共同の作詞も魅力の一つです。
”カイカ”同様二人のユニットとしての伝えたいものや景色がより明確に表現されています。
彼らの活動する上での哲学やポリシーのようなものが映し出されています。
このアルバムとして最後を飾るにあまりにふさわしく
言葉も音楽も是非ともライブで浴びたいと思わせるような曲です。
あまりにたくさん綴ってきましたが個人的にはノーメロ史上最高傑作です。
ぜひとも皆様にもたくさん聴いていただきたいです!
