質は、量の結果だと思っている。
営業を始めたばかりの頃、多くの人が一度は「量をこなすべきか、質を高めるべきか」で悩みます。私はこの問いには、はっきりとした答えがあると思っています。
まずは量です。質というのは、量を積み重ねた結果として自然に生まれるものであって、最初から狙って作れるものではないからです。
もちろん、何も考えずにただ数だけこなせばいいという話ではありません。ただ、どれだけ本を読んでも、研修を受けても、先輩に教えてもらっても、自分で経験しない限り、本当の意味で自分の力にはならないと感じています。
今日は、量と質について、普段考えていることを書いてみようと思います。
教えてもらうだけでは成長しない
営業電話の研修では、話し方や切り返し方を教わりますし、ロールプレイングもしますし、トークスクリプトも用意されます。どれも大切なことですが、それだけで電話が上手くなる人を、私は見たことがありません。結局のところ、自分で電話をかけ続けるしかないのです。
最初は断られますし、思うように話せませんし、失敗もたくさんします。それでも数をこなしていくうちに、不思議と少しずつ見えてくるものがあります。この話し方だと反応がいい、こういう質問をすると相手が話してくれる、この業界のお客様はこういう悩みを抱えていることが多い——そういった感覚は、本や研修では絶対に身につきません。自分で経験した人だけが、手に入れられるものだと思います。
場数が工夫を生み出す
営業訪問も同じです。場数を踏まなければ、お客様の本当の姿は見えてきません。最初のうちはお客様一人ひとりがまったく違って見えるものですが、数を重ねていくと少しずつ共通点が分かってきます。以前こんなお客様がいた、あのときはこんな提案が響いた、じゃあ今回は少し違う切り口で話してみよう——そんな工夫が自然と生まれてきます。
これは、質を上げようと必死に考えたから生まれたものではありません。量を積み重ねた結果として、工夫できるようになっただけなのです。
私が考える成長の順番
私は、成長には順番があると思っています。
量 → 経験 → 工夫 → 質
この順番です。
最初に量があって、量を積むことで経験が増えます。経験が増えると、お客様の反応や仕事のコツが少しずつ見えてきて、すると自然と工夫するようになる。そして、その工夫の積み重ねが質を高めていく。私はそう考えています。
だから新入社員の方々には、止まって考えるよりも、走りながら考えてほしいと思っています。経験がない状態でいくら考え続けても、答えはなかなか見つかりません。まず動いてみる、動いたあとに振り返る、そしてまた動く。その繰り返しこそが、成長につながっていくのだと思います。
営業だけでありませんでして
この考え方は、営業だけに当てはまるものではないと思っています。マーケティングも同じで、最初から読まれる記事を書ける人はいません。何本もコンテンツを作っていく中で、どんなタイトルなら読まれるのか、どんな構成なら最後まで読んでもらえるのかが、だんだん分かってくるものです。
事務の仕事も同じで、毎日繰り返していると、もっと効率のいいやり方を自然と考えるようになります。テンプレートを作ってみたり、ショートカットを覚えたり、仕事の順番を工夫したり。タイピングもわかりやすい例で、毎日パソコンを使っていれば、いつの間にか速く打てるようになりますし、さらに速く打つ方法まで自然と考えるようになります。
どれも、量を積んだからこそ生まれた変化なのだと思います。
ただ、量にも限界があります
ここまで読むと、量は多ければ多いほどいいと思われるかもしれませんが、私はそうも思っていません。量を積めば質は上がりますが、それは永遠には続かないからです。
ある一定のところまでは右肩上がりですが、その先は違います。ある瞬間から、質は少しずつ下がり始めます。判断が雑になったり、集中力が続かなかったり、相手の話が頭に入ってこなかったり、小さなミスが増えたり。これは能力が落ちたわけではなく、単純に「疲れ」が原因だと私は思っています。

少し無理をすることも大切
だからといって、無理をしない方がいいという話でもありません。私は、少しだけ無理をした方がいいと思っています。
営業の目標も同じで、簡単に達成できる目標では、人は工夫をしません。少し背伸びをした目標だからこそ、知恵を使い、成長していくものです。
ただその一方で、自分はどこから質が落ち始めるのかを知っておくことも大切です。限界を知らずに走り続けると、疲れによって本来の力を発揮できなくなってしまいます。逆に、そのポイントを分かっていれば、少し休んで、また以前より高いレベルで挑戦できる。私はそれも、成長の一つの形だと思っています。
おわりに
若いうちは、とにかく量を恐れないことです。量を積めば経験が増え、経験が工夫を生み、工夫が質を高めていく。そして、その質がまた次の成長につながっていきます。だから私は、まずは量だと思っています。
ただ、成長し続けるためには、自分の限界を知ることも必要です。少し背伸びをして挑戦する、質が落ち始めるポイントを知る、しっかり休んで、また挑戦する。この繰り返しこそが、長く成長し続けるための一番の近道なのではないかと思っています。
執筆:松村 健太
BCC株式会社 IT営業アウトソーシングカンパニー カンパニー長
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