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営業を始めたら、自分の数字を持ったほうがいい

私は、学生時代から数学があまり得意ではありません。
学生時代を振り返っても、数学が好きだった記憶はほとんどありません。むしろ成績は下の方です。
ただ、不思議なことに、仕事で数字を見ることは昔から好きでした。
売上はいくらなのか。目標まであといくらなのか。アポイントを何件取れば、何件くらいの引き合いにつながるのか。そのうち何件くらい受注できるのか。
こういう数字を見ながら仕事をすることは、むしろ楽しかったように思います。今この立場になったら小難しい数字をたくさんみることになっていますが
わりと得意なほうです。

そこで、営業を始めたばかりの方には伝えたいことがあります。
営業をするなら、数字から逃げないほうがいい。
数字は、会社に報告するためだけのものではありません。
自分がどこにいて、どこに向かっているのか。そして、自分がどれだけ成長したのか。
それを知るための、定量的な道しるべにもなるからです。


数字がなければ、地図を持たずに歩いているようなもの

営業には、何らかの目標があります。
売上、売上総利益、受注数、案件数、訪問数、アポイント数、コール数などなど。
会社や仕事によって見る数字は違いますが、何かしらの数字を追いながら仕事をすることになると思います。
そこに数字がなければ、自分がどこまで進んでいるのかが分かりません。

私の感覚では、地図を持たずに歩いているようなものです。

数字を見ずに一生懸命仕事をして、「頑張ったので評価してほしい」と言われても、評価する側からすると、「何を?」となってしまいます。
もちろん、仕事は数字だけで評価できるものではありません。
数字に表れない頑張りもありますし、周囲への貢献もあります。
ただ、自分がどこに向かっていて、今どこまで来ているのか。
それを客観的に確認するために、数字はやはり必要だと思います。

大きな数字は、小さく分ければいい

とはいえ、数字がプレッシャーになる気持ちもよく分かります。
目標500万円に対して、まだ200万円。
「あと300万円」と考えれば、当然焦ります。
早くそこにたどり着きたいですからね。もしかしたら上司からの圧があることもあるでしょう。
でも、そんなときこそ、大きな数字のまま考えないほうがいいと思っています。
あと300万円必要で、平均単価が100万円なら、あと3件。
3件受注するために10件の商談が必要なら、その10件をどうつくるのか。
残りの営業日は何日なのか。

今週は何をするのか。
今日は何をするのか。

そこまで小さくしていけば、「あと300万円どうしよう」という漠然とした不安が、具体的な行動に変わっていきます。
数字に強いとは、難しい計算ができることではなく、数字を分解して、自分の行動に変えられること。
数学の勉強が苦手な私は、そう思っています。

私の数字管理の原点は「アポ1」だった

私が営業を始めた頃、自分の成果をよくメモしていました。
アポイントが1件取れたら、カレンダーに書く。
商談に発展した引き合いがあれば、それも書く。
訪問した件数も、受注したことも残す。受注金額の売上や売上総利益も書く。
今振り返れば、これが私にとって数字を意識して仕事をする原点だったのだと思います。
当時は、細かく営業分析をしようと思っていたわけではありません。
単純に、自分の行動を自分で管理するのが楽しかったのです。

昨日までできなかったことが、今日できるようになる。目標数値に到達するプロセスを書くことで自分の現在地が知れる。
それって、普通に嬉しいじゃないですか。

どんなに嬉しいことでも、人は時間が経てば忘れます。
だったらメモするしかない。
そんな感覚でした。

毎日続けていると、昨日との比較ができるようになります。
さらに積み上がっていけば、自分が何件くらいアポイントを取れば商談に発展する引き合いにつながるのか、そこからどのくらい受注できるのかも見えてきます。
最初は成果が出たことが嬉しくて残していただけの数字が、いつの間にか自分自身の営業成果を知るための資産になっていました。

「アポ1」から、見る数字は変わっていった

最初は、自分自身の行動を知るための小さな数字でした。
それがメンバーを持つようになると、チームの数字を見るようになりました。
さらに立場が変われば、予算と実績を見ながら、その先の着地や見通しまで考えるようになります。
また事業全体の予算を全部作るようになります。
見る数字の大きさも、範囲も、昔とはずいぶん変わりました。
でも、やっていることの根っこは、あまり変わっていないように思います。

今どこにいるのか。
目標までどれくらいあるのか。
このまま進めば、どこに着地するのか。
そのために、今何をするのか。

振り返ってみると、若い頃にカレンダーへ「アポ1」と書いていたことも、今の予実管理や見通しを考えることも、自分の中では一本につながっています。
だからこそ、営業を始めた頃から自分の数字を見る癖をつけておくことには、意味があると思っています。

数字は、会社に管理されるためだけのものではない

営業の数字というと、会社や上司から管理されるためのものだと感じる人もいるかもしれません。
確かに、会社が数字を管理することは必要です。
でも、数字の価値はそれだけではないと思っています。

数字は、会社に管理されるためだけのものではありません。
自分が自分を知るためのものでもあると思っています。

私は昔から日記も書いてきました。
知識をメモすることもありますが、自分にとって意味があったのは、それ以上に自分が何をしたか、そのとき何を考えたかを残すことでした。
知識は仕事をしていれば、その記録の中にも自然と入ってきます。
でも、自分が何をして、何ができるようになって、何を感じていたのかは、自分で残さなければ忘れてしまいます。
数字も同じです。
自分の行動を数字で残しておけば、感覚ではなく事実として自分を見ることができます。
そして、その積み重ねが自分自身を理解するための材料になっていきます。

小さな数字を積み上げる人は、やはり強い

私は、一発で大きな成果を出す人よりも、コツコツと数字を積み上げられる人のほうが、長い目で見ると強いと思っています。
もちろん、大きな成果を出すことは素晴らしいことです。
ただ、仕事は一回で終わるものではありません。
サブスクリプションのビジネスも似ています。
一つひとつは小さな契約でも、それが積み上がっていけば、やがて大きな数字になります。
経験も同じだと思います。
今日一つできるようになった。
明日また一つできるようになった。
一日だけを見れば、大した変化ではないかもしれません。
でも、それを何年も続ければ、できることは大きく増えていきます。
そして、コツコツ数字を積み上げられる人は、上司から見ても信頼しやすい。
なぜなら、数字が読みやすいからです。
「この人なら、来月もこれくらいやってくれるだろう」
そう思ってもらえることは、仕事をするうえで大きな信頼だと思います。
行き当たりばったりで突然大きな成果を出すことも素晴らしいです。
ただ、安定して積み上げられる人には、また別の強さがあります。
私自身はずっとそう信じてやり続け今があります。

営業を始めたら、まず自分の数字を持ってみる

営業を始めたばかりの頃は、大きな成果を早く出したいと思うこともあるでしょう。
周囲の数字を見て焦ることもあると思います。
でも、最初から大きな数字ばかりを追いかけなくてもいいと思います。
まずは、自分の数字を知る。
大きな数字を小さく分ける。
今日やることまで落とす。
そして、それをコツコツ積み上げる。
できれば、その数字を残しておく。
最初は「アポ1」くらいでもいいと思います。
大事なのは、立派な管理表をつくることではありません。

自分が何をして、何ができるようになっているのかを、自分自身で把握することです。

1か月後、半年後、1年後に振り返ったとき、以前の自分よりできることが増えていることに気づくはずです。
私自身、営業を始めた頃に何気なく残していた小さな数字が、後になって大きな資産になりました。
そして、その頃から数字を見る癖があったことは、今の仕事にもつながっていると思います。
今では見る数字も、その数字から考えることも、当時とはかなり変わりました。
そして経験を重ねるほど、数字を分解して積み上げるだけでは足りないことも感じています。
立場が変われば、見るべき数字も変わります。
経験が増えれば、数字の見方も変えていかなければならない。

昔の成功体験だけで仕事をするわけにもいきません。

だから、営業を始めたばかりの方には、まず数字から逃げず、自分の数字を積み上げてほしいと思います。
そして私自身も、これまでの経験だけに頼らず、数字の見方や考え方をアップデートしていかなければなりません。

結局、仕事は一生勉強なのだと思います。


執筆:松村 健太
BCC株式会社 IT営業アウトソーシングカンパニー カンパニー長

営業組織の運営をはじめ、マーケティングや採用、広報など幅広い業務に携わる。営業や組織づくり、マネジメントについて、現場で感じたことを発信しています。
公式サイトはこちら →

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