【第7話】 日本を出て初めて知った世界🇫🇷
———
この日本で——
一週間の休みを取ることは、簡単じゃなかった。
たとえそれが、
くじで当たった海外旅行だったとしても。
男女問わず、友人に声をかけた。
でも——
誰も来れなかった。
一週間。
それだけの時間を、
自由に動かせる人間はいなかった。
その時、思った。
日本という国は——
思っていたより、自由が少ない。
——
何人に声をかけたか、もう覚えていない。
最終的に一緒に行くことになったのは——
別府のワンコインライブで出会った、
PAをやっている若い兄ちゃんだった。
正直、
一緒に海外に行くような関係ではなかった。
それでも——
行くしかなかった。
——
福岡の国際空港。
初めての海外。
しかも——車椅子で。
オランダ・アムステルダム経由。
フランス・パリ。
シャルル・ド・ゴール空港まで、約16時間。
長かったのか、
短かったのか、
もうよく覚えていない。
ただ——
“日本を出る”という実感だけがあった。
——
日本円を両替したユーロ。
その現金が、
現実を少しずつ変えていく。
——
フランスに着いた。
ヨーロッパに入るのに、
日本のパスポートはあまりにも簡単だった。
拍子抜けするほど、あっさりと。
——
空港の出口。
名前を掲げた、日本人スタッフが立っていた。
ホテルまでの車の中で、
いくつも注意を受けた。
危ない場所。
騙してくる連中。
日本とは違う現実。
——
朝、日本を出たはずなのに——
フランスに着いたのも、同じ日付だった。
身体は眠いのに、
外は明るい。
時間の感覚が、狂っていた。
——
英語なんて、まったく分からない。
それでも——
ホテルでは、身振り手振りでどうにかなった。
言葉がなくても、
なんとかなる。
そんな感覚が、少しだけ芽生えた。
——
ホテルの近くのスーパーで、
サンドイッチと飲み物を買った。
身体は限界だった。
でも——
眠るだけで終わらせるのは、
もったいなかった。
——
夕方。
少しだけ休んで、外に出た。
向かったのは——
シャンゼリゼ通り。
名前だけは知っていた場所。
でも、実際に立ってみると——
まったく別物だった。
空気も、人も、すべてが違う。
——
レストランに入った。
英語なんて分からない。
フランス語は、もっと分からない。
それでも——
身振り手振りで、注文をした。
正直、何を頼んだのかも分からなかった。
でも——
通じた。
それだけで、十分だった。
——
食事を終えて、そのまま歩いた。
目の前に現れたのは——
凱旋門。
写真で見たことのある景色。
でも——
実際に目の前に立つと、
言葉が出なかった。
——
日本とは違う世界が、
そこにあった。
——
まだ、この時は知らなかった。
この“違い”が、
自分の中の何かを変えていくことを。
——
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