【薬剤師が解説】ナイアシンアミドとビタミンC、どう選ぶ?美容液を選ぶ前に知りたい違い
「ナイアシンアミドとビタミンC、結局どちらを選べばいい?」
「毛穴も乾燥も気になるけれど、美容液を何本も増やしたくない」
美容液を探していると、よく見かけるこの2つの成分。名前は知っていても、違いを説明するのは意外と難しいですよね。
今回は、ドラッグストアで働く薬剤師が、成分の特徴と製品選びのポイントを初心者向けに解説します。
※本記事は成分に関する一般的な情報です。特定の商品を推薦したり、効果・安全性を保証したりするものではありません。
1.最初に結論
ナイアシンアミドとビタミンCは、「どちらが上か」ではなく、目的と製品の特徴で選ぶことが大切です。
選ぶときは、次の3つを確認しましょう。
• 何のために使いたいか
• 化粧品か、医薬部外品か
• 肌に合う使用感と使い方か
同じ成分を含んでいても、濃度、ほかの配合成分、製剤のつくりによって製品の性質は異なります。
成分名だけで「毛穴にはこちら」「敏感肌なら必ずこちら」と決めることはできません。
2.ナイアシンアミドとは?
ナイアシンアミドは、ビタミンB3の一種です。「ニコチン酸アミド」と呼ばれることもあります。
スキンケア製品では、保湿や整肌を目的とする配合成分として使われます。
また、ナイアシンアミドを有効成分とする医薬部外品には、美白やシワ改善の効能が承認された製品があります。
ここで大切なのは、ナイアシンアミドが入っているすべての製品に、その効能が認められているわけではないことです。
同じ成分名でも、化粧品の配合成分なのか、医薬部外品の有効成分なのかを分けて確認しましょう。
※ここでいう美白は、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐことです。できているシミを消したり、肌本来の色を白くしたりする意味ではありません。
3.ビタミンCとは?
ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれるビタミンです。
スキンケア製品では、アスコルビン酸そのものを配合したものと、「ビタミンC誘導体」を配合したものがあります。
ビタミンCと誘導体は同じではない
ビタミンC誘導体は、ビタミンCの構造を一部変えた成分の総称です。
安定性や水・油へのなじみやすさなどを調整する目的で、さまざまな種類が開発されています。
そのため、「ビタミンC配合」という言葉だけでは、使われている成分を十分に判断できません。
また、誘導体ならすべて低刺激、アスコルビン酸なら必ず高性能、というわけでもありません。
アスコルビン酸の皮膚への移行を調べた基礎研究でも、濃度だけでなく製剤のpHが影響しています。ただし、この研究条件をそのまま市販製品の優劣やおすすめ濃度に置き換えることはできません。参考:Pinnellらの研究
医薬部外品としての使われ方もある
ビタミンCやその誘導体の一部は、美白有効成分として医薬部外品に使用されています。
ただし、すべてのビタミンC誘導体配合製品が、美白の効能を認められた製品というわけではありません。
購入時は「医薬部外品」の表示と、その製品に記載された効能を確認してください。
4.2つの成分を比べてみよう
① 成分の種類
・ナイアシンアミド
ビタミンB3の一種です。
・ビタミンC・ビタミンC誘導体
ビタミンCそのものに当たるアスコルビン酸と、その構造を一部変えた誘導体があります。
② 製品を選ぶときに確認したいこと
・ナイアシンアミド
化粧品の配合成分として使われているのか、医薬部外品の有効成分として使われているのかを確認します。
・ビタミンC・ビタミンC誘導体
アスコルビン酸なのか、どの誘導体なのかを確認します。あわせて、化粧品か医薬部外品かも見てみましょう。
③ 医薬部外品としての効能の例
・ナイアシンアミド
有効成分として配合され、美白やシワ改善の効能が承認された製品があります。
・ビタミンC・ビタミンC誘導体
ビタミンCや一部の誘導体を有効成分として配合し、美白の効能が承認された製品があります。
※効能は製品ごとに異なります。同じ成分を含むすべての製品に、これらの効能が認められているわけではありません。
※ここでいう美白は、メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐことです。
④ 肌への刺激について
どちらも、成分名だけで刺激の出やすさは判断できません。
成分の種類や濃度、ほかの配合成分、製品全体のつくり、使う人の肌の状態によって異なります。
「ナイアシンアミドなら必ず低刺激」「ビタミンC誘導体なら刺激が出ない」とは限りません。
⑤ 選ぶときの共通ポイント
どちらを選ぶ場合も、次の3つを確認しましょう。
・製品に表示されている効能や配合目的
・続けやすい使用感
・使用方法と注意事項
成分名だけで優劣を決めず、目的と製品の特徴を合わせて考えることが大切です。
5.悩み別にどう選ぶ?
乾燥が気になる
まず確認したいのは、美容成分よりも保湿のしやすさです。
ナイアシンアミドやビタミンCの有無だけでなく、乳液やクリームなどの使用感、洗顔後のつっぱり、使った後の乾燥感を見て選びましょう。
乾燥している肌に、新しい美容液を無理に追加する必要はありません。
毛穴や皮脂が気になる
ナイアシンアミドには、特定の処方で皮脂量を評価した人での研究があります。参考:Draelosらの研究
ただし、これは「ナイアシンアミド入りなら、どの製品でも皮脂が減る」「毛穴が閉じる」という意味ではありません。
毛穴の見え方には、詰まり、皮脂、乾燥、肌の形状など複数の要因が関係します。
今回紹介する2成分だけで、毛穴の悩みに対する優劣は決められません。まずは洗いすぎやこすりすぎを避け、肌の状態に合うケアを考えましょう。
シミ・そばかすの予防を目的にしたい
「成分が入っているか」だけでなく、美白の効能が承認された医薬部外品かを確認します。
ナイアシンアミドを使った製品も、ビタミンC関連成分を使った製品もあります。パッケージに記載された効能を読みましょう。
なお、美白ケアは日焼け止めの代わりにはなりません。日中の紫外線対策も続けてください。
シワが気になる
シワ改善を目的に製品を選ぶ場合は、その効能を持つ医薬部外品か確認しましょう。
化粧品で使われる「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現と、医薬部外品の「シワ改善」は同じ意味ではありません。
成分名だけでなく、製品に何と表示されているかが重要です。参考:厚生労働省「化粧品の効能の範囲」
赤みやヒリつきが気になる
赤みやヒリつきがあるときは、新しい成分を選ぶ前に、現在のケアを見直しましょう。
「ナイアシンアミドなら刺激が出ない」「ビタミンCなら赤みに対応できる」とは断定できません。
使用後に異常が出た製品は中止し、症状が続く場合は皮膚科に相談してください。
6.濃度が高いほどよい?
高濃度であることだけでは、自分に合う製品かどうかは判断できません。
成分の働きや刺激感には、濃度のほかに、成分の種類、pH、ほかの配合成分なども関係します。
特にビタミンCとその誘導体は種類が異なるため、表示された「○%」だけを横並びにして比べるのは難しい場合があります。
初めて使うときは、高濃度という表示だけで選ばず、使用方法や注意事項、継続しやすい使用感を確認しましょう。
7.一緒に使ってもいい?
成分名だけを理由に、ナイアシンアミドとビタミンCを「必ず併用禁止」と決めつけることはできません。
一方で、別々の製品を重ねた場合の使い心地や刺激の出方は、製品と肌の状態によって異なります。
両方使いたい場合は、次の点を意識してください。
• まずは一方だけを取り入れる
• 肌の状態を確認してから、もう一方を検討する
• 製品に併用上の注意があれば、それを優先する
• 手のひらで混ぜず、それぞれの使用方法に従う
• ヒリつきや赤みを、効いている証拠と考えない
同じ時間に重ねることにこだわらず、朝と夜に分ける方法もあります。ただし、時間を分ければ刺激が出ないという保証はありません。
8.初心者向けの朝・夜の例
基本は「洗顔・保湿・日中の紫外線対策」です。美容液は必要に応じて加えます。
朝
1. やさしく洗顔する
2. 美容液を使う場合は、製品の表示に従って使用する
3. 肌に合った乳液やクリームなどで保湿する
4. 日焼け止めを塗る
夜
1. メイクや日焼け止めを、製品に合った方法で落とす
2. 必要に応じて洗顔する
3. 美容液を使う場合は、製品の表示に従って使用する
4. 肌に合った保湿剤を使用する
製品によって使用順序が異なるため、この順番よりもメーカーの説明を優先してください。
両方の成分を使う必要はありません。1本で無理なく続けられるなら、それも十分な選び方です。
9.まとめ
• ナイアシンアミドはビタミンB3の一種
• ビタミンCには、アスコルビン酸そのものと誘導体がある
• 成分名だけで製品の効果や刺激性は決められない
• 美白やシワ改善が目的なら、医薬部外品の効能表示を確認する
• 毛穴や皮脂の悩みだけで、2成分の優劣は決められない
• 高濃度であることと、自分に合うことは別
• 美容液は必須ではなく、洗顔・保湿・紫外線対策が基本
美容液選びで大切なのは、「話題の成分を全部使うこと」ではありません。
何を目的に使いたいのかを決め、製品の表示を確認し、自分の肌に合うかを見ながら取り入れていきましょう。
参考資料
1.厚生労働省「化粧品の効能の範囲の改正について」
化粧品で認められる効能表現や、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現の確認に使用しています。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7518&dataType=1&pageNo=
2.東京都「医薬品等適正広告基準について」
化粧品・医薬部外品の広告表現や、美白表現の範囲についての資料です。
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/kijyun_2
3.Draelos ZD, Matsubara A, Smiles K.(2006)
The effect of 2% niacinamide on facial sebum production.
2%ナイアシンアミド配合製剤と顔の皮脂量について評価した研究です。同じ成分を含むすべての製品で、同じ結果が得られることを示すものではありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16766489/
4.Pinnell SR ら(2001)
Topical L-ascorbic acid: percutaneous absorption studies.
L-アスコルビン酸の皮膚への移行と、製剤条件の関係を調べた基礎研究です。市販美容液の優劣や、個人に適した濃度を直接示すものではありません。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11207686/
※研究は特定の条件や処方で行われています。研究結果を、同じ成分を含むすべての市販製品へ当てはめることはできません。
※本記事は一般的な成分・スキンケア情報であり、病気の診断・治療や、特定の商品・成分の効果や安全性を保証するものではありません。
※化粧品の使用感や肌への適合性には個人差があります。赤み、腫れ、かゆみ、刺激などが出た場合は使用を中止し、症状が強い場合や続く場合は皮膚科へ相談してください。
