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聞いてみた! セガサターン30周年記念アルバム『BURNING RANGERS - SEGASATURN 30th Anniv. Album -』Part1 ─by 佐伯 憲司─


WAVE MASTER/SOUND! SHOCK SERIESよりリリースされたセガサターン30周年記念アルバム第3弾『BURNING RANGERS - SEGASATURN 30th Anniv.Album -』(以下バーニングレンジャー)。CDの発売から約1年がち、2025年11月15日より、各種音楽配信サービスにて配信も開始されたと聞き、このチャンスにぜひお話をおうかがいしたいと思った重要人物がいる。それが現在もセガサウンドチームに籍を置くサウンドクリエイター・幡谷尚史氏だ。

※クリックすると視聴動画を聴くことができます。

WM-0882~3
定価 ¥3,630(税抜価格 ¥3,300)
発売日:2024年11月22日
発売・販売元:株式会社ウェーブマスター
特設ページ:https://wave-master.com/ent/br/

幡谷氏は1990年セガ・エンタープライゼス(当時)に入社。CS開発部に所属し、「ゴールデンアックスII」、「ハイブリッド・フロント」といったメガドライブタイトルのSE(効果音)を含む楽曲制作、「バーチャレーシング デラックス」などのスーパー32Xタイトルでも作・編曲を手掛け、メガCD「ソニック・ザ・ヘッジホッグCD」よりソニックチームのタイトルに関わり、セガサターンでは「NiGHTS into dreams...」(以下NiGHTS)、「Christmas NiGHTS」(以下クリスマスナイツ)などでササキトモコ氏らとコンポーザーとして関わっている。

セガサターン30周年記念アルバム第2弾に収録となったセガサターン版「セガラリー・チャンピオンシップ」(以下セガラリー)では、各ステージリプレイ楽曲をはじめ作・編曲スタッフとして参加し、セガ入社同期の光吉猛修氏とAM(アミューズメント:業務用)/CS(コンシューマー:家庭用)と部署を超えた共演を実現。

その「セガラリー」30周年祝賀盤が発売されたのち、光吉氏がナビゲーター/MCを務めるSEGA SOUND STREET on YouTubeの「セガラリー」特別配信において、楽曲の振り返りとともに、ゲストパフォーマーの目黒将司氏、リ・アレンジャー陣の床井健一氏、福山光晴氏、そしてサックスにて参加したあんず氏とともに、幡谷氏に関しても深掘りされていたのが印象的だった。特にサウンドメンバーのルーツからどんなジャンルを通ってクリエイターになったのか、といったあたりに、細かいところはさておき、近い年代の筆者はジャンルの理解度は違えども、次々飛び出してくるキーワードに親近感を持った。

30周年祝賀盤第3弾に収録されたセガサターン「バーニングレンジャー」において、幡谷氏はサウンドディレクターとしてクレジットされており、本作のサウンドにおける重要な要素を決め、ニューヨークでのレコーディングを行うなど、「NiGHTS」に続き、サウンド面の質を高めてきた。

その後も「サンバDEアミーゴ」や「スペースチャンネル5」、「ROOMMANIA#203」といったセガ家庭用ゲームに新たな風を吹き込んだタイトルを手掛け、ニンテンドーDS「きみのためなら死ねる」、「赤ちゃんはどこからくるの?」ではタイトル名を冠した主題歌でセガマニアに強烈なインパクトを残してきた。

また、「ROOMMANIA#203」に端を発するササキトモコ氏のユニット「セラニポージ」では、ライブなどにサポートメンバーとして参加。「セラニポージ」は2024年にヴァイナル盤がリリースされるなど、再ブレイクを果たしたことも記憶に新しい。

そんな幡谷氏に筆者は、別媒体になるが「Radio DC」(インターネットラジオ「ラジオDC」からCD化された小ネタ満載のCD)から「セラニポージ」の時期、何度も取材をさせていただき、記事にさせていただいた。ただ、セガサターンの時代は『セガサターンマガジン』(以下サタマガ)をはじめ寄稿していた媒体では、別タイトルの担当であったことから、当時の幡谷氏について直接お話を伺うことはなかった。

配信をきっかけに改めて「バーニングレンジャー」30周年祝賀盤のナンバーを聴き、ライナーノーツを見ていると、興味深い記述がいくつも書かれていて、「あの当時の幡谷氏のエピソードなどをお伺いさせていただきたい!」 という思いがいてきた。

そこでWAVE MASTER/SOUND! SHOCK SERIESのA&R-P 伊藤“モバ”良弘氏にインタビューのお話を持ち掛けたところ、なんと幡谷氏、そして盟友・光吉氏、さらに幡谷氏ご指名でボーナストラックアレンジ2曲を手掛けた水野健治氏が参加という豪華なインタビューの席をもうけていただいたので、その模様を余すところなくお届けしよう。もちろん、伊藤氏にも同席いただいている。

幡谷尚史氏。1990年セガ・エンタープライゼス(当時)に入社。「バーニングレンジャー」ではサウンドディレクターとして、ボーカル曲をメインに作曲・作詞を担当。ゲーム中BGMも「Request For An Immediate Rescue」(キャラクターセレクト)、「Burning-Ship To Take Off」(バーニングシップの突入シーンBGM)などを制作。
光吉猛修氏。1990年セガ・エンタープライゼス(当時)に入社。アーケードで「バーチャファイター」「DAYTONA USA」などを手がけ脚光を浴びる。「Virtua Fighter 2 DANCING SHADOWS.」では歌も歌えるサウンドクリエイターとして名を広める。S.S.T.BAND、B-univ、[H.]など、セガのサウンドユニットではキーボードやボーカル、ベースとしての活動も展開。「maimai」や「CHUNITHM」といった音ゲーにも関わり、その美声をイベントでも披露している。先日、最初の告知から5年ぶりについに35周年記念のディナーショーをセガ大崎本社にて開催した。
水野健治氏。「maimai でらっくす」 、「CHUNITHM」、「オンゲキ」といったアーケード音ゲー、そして家庭用では「ソニックフロンティア」、「龍が如く7外伝 名を消した男」「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」などでサウンドデザイン、楽曲制作として携わる。また、「CHUNITHM 10th Anniversary Live」や「AMUSEMENT MUSIC FES 2025」などでDJとしてステージにも登壇している。

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セサターン30周年記念アルバムに本作が選ばれた理由

──今回、「バーニングレンジャー」がセガサターン30周年記念アルバムのラインナップに並んだ理由というか、企画の経緯というのはどのようなものなのでしょうか?

モバ伊藤 第1弾はセガのIPとなった「サンダーフォースV」でスタートしたんですけれども、次の第2弾に持ってきたのがご存知の通り、アーケード版とセガサターン版共に30周年を記念してリリースした「セガラリー」となります。

──セガサターンはサウンド面でもCD-ROMが供給媒体に採用され、それまで以上にサウンドが注目された結果、30年前もかなりのタイトルがアルバム化されていると記憶しているんですが……?

モバ伊藤 「セガラリー」は光吉・幡谷ら同期コンビが手掛けたタイトルというところで、次に持ってくるのも当然またこのコンビが関係するタイトルで引っ張りたいなっていう思惑おもわくもございまして、「バーニングレンジャー」を選ばせていただいたという次第です。

幡谷 確か同時期に「配信もどんどんしていこう」という話を光吉と一緒にしていまして。かなり廃盤になっているタイトルも多かったですし。セガのものでも今、聴く手段がないということもあって、いくつかのタイトルをこちらでリストアップしていったんです。

モバ伊藤 そうなんです! こちらの思惑とそのリストが合致しまして、つ当時は他社レーベルよりリリースされ、WAVE MASTER盤としてリリースできていないサントラをフィジカル化していこうという背景もございました。「セガラリー」に関しては前回のインタビューでもお話しましたが、当時は東芝EMI/YOUMEX(ユーメックス)、2013年にはAC版のみKING RECORDから出て以降単体でCDが出ていませんでしたし、「バーニングレンジャー」に関しては当時MMV(マーベラス)からゲーム発売直後にCDが出て以来、フルアルバムがリリースされていなかったという背景もございましたので。セガサターン30周年を機に、セガ自身からのオフィシャル版としてのサントラ化に踏み出したというカタチですね。

 光吉・幡谷コンビには、アーケード版&セガサターン版30周年祝賀盤となる『Fighting Vipers - 30th Anniv. Album -』でもご尽力をいただき、先般リリースさせていただきました(2025年11月27日)。

──当時のソニックチームのタイトルとしては「NiGHTS」はゲーム本編がWiiやPS2でリメイクされたタイミングでアルバムがWAVE MASTERさんから改めてリリースされてきましたよね。

かたや「バーニングレンジャー」は「ファンタシースターオンライン」(以下PSO)」や「2」、「ファンタシースターユニバース」といった制作陣が関わられた別タイトルにイベントという形で楽曲が収録されたり、「maimai」や「CHUNITHM」といったアーケードの音ゲーに主題歌「Burning Hearts 〜炎のANGEL〜」(以下Burning Hearts)が収録されて、光吉さんがアーケードのイベントで歌うという、ちょっと違った形で受け継がれてきていて。他社になりますが「PROJECT X ZONE 2: BRAVE NEW WORLD」にも出張したりしていて、今へとつながる道が対照的というか、このアルバムへとつながる道がまた面白いですね。

幡谷 正直、「バーニングレンジャー」はタイトルとしては1回出して終了していたんですけれど、その後の過程で光吉がずっと歌い継いで育ててくれてきたということもあったんですが、楽曲としては、例えば「SONIC TEAM "Power Play" Best Songs from Sonic Team」(1998年11月6日/マーベラスより発売)というベスト盤に収録する際などに都度都度つどつど改めてMIXをやり直したりする機会があったことは事実です。

 最初にリリースしたマーベラスのサントラは、最初のうわーっという勢いをともなって作ったサターンでの楽曲を出し切ったものを収録しました。ですが、例えば、本編のトラックも制作過程においてはニューヨークでオケを差し替えて、英語版と日本語版のボーカルを収録した後、MIXを全部はやり直していないんですね。

そこからこの30年で、機会のあるごとに更新してきたデータというものが結構まってきていたんですよ。レコーディングしたものはすべてデジタルアーカイブとして残しているので、この30周年祝賀盤で「バーニングレンジャー」を振り返るのであれば、まずそういったものをきちっとそろえたうえでアルバムとして楽曲を並べたいなという思いがありましたね。

──なるほど。今回インタビューに向けて、「バーニングレンジャー」のサウンドの大きな柱である3曲「Burning Hearts」、「I Just Smile」、「We Are Burning Rangers」についてひとつひとつ調べていくうち、「バージョン違いってどれだけあるんだ?」と楽しくなってきちゃって。先ほどもちょっとお話に出ましたが、30周年祝賀盤の企画は最初から現在の形でいこう、とすんなり決まったんですか?

幡谷 いわゆる”コンプリート版”ではないってことは確かでしたね。例えば「Burning Hearts」だと、最近で言えば「PSO2」で小野D(小野大輔氏)が歌ってくれたり(『「ファンタシースターオンライン2 エピソード・オラクル」〜アークスシップの炎渦〜』に収録)とか、光吉が独自にベストアルバム(「From Loud 2 Low Too Download Ver. Vol.1」に収録)用に歌い直した原曲キーのトラックだとか、「Radio DC」で床井(健一氏)がリミックスしてくれたものもあるし、とにかくいろんなバージョンがあるんですよ。現在進行形としても、まだまだいろんなトラックが出てくるという気配もあるんですね。

そういった意味でも今回、「バーニングレンジャー」のサントラとしての完全版+DISC2をボーナスディスクとしてまとめる感じがいいな、と思っていたので。

──建て付けとしては、現時点でのベストトラック+ボーナストラックという構成はスムーズにA&R-Pのモバ伊藤さんやサウンドプロデューサーの幡谷さんはじめ関係者間で共有できたという感じですかね。

幡谷 そうですね。

──なるほど。ここでちょっと話は脱線してしまうかもしれないのですが、さきほどちょっと幡谷さんのお話にもあったんですが、セガサウンドチームのデジタルアーカイブというのは、すべてのタイトルが同じような形で残っているわけではないと思うのですが、「バーニングレンジャー」に関してはどのような形で残されているんですか?

幡谷 セガサターンの立ち上げの頃に本社1号館にデジタルスタジオが作られてからは、そのスタジオに持ち込まれたり、スタジオで収録されたものはある程度、マルチテープで各トラックごとに録音されていたんですね。それを現在は一括してデジタル化して利用可能なアーカイブとして残してあります。「バーニングレンジャー」も主題歌やゲーム中の楽曲もスタジオで作業したものがマルチテープに残っていて、それをデジタルアーカイブしています。

今回のアルバムではそのアーカイブの中から「I Just Smile」1曲の中の別トラックにパメラ(Pamela Driggs)さん、ササキトモコさんそれぞれの声と、同じキーで光吉が歌った3人分のボーカルトラックが残っていたので、水野に「好きにしていいよ」と渡したら、「2024 Remix」と「2024 Duet Remix」と2曲に仕上げてくれたんです。

──そのアーカイブデータはもう完パケ(ゲームに使われる最終版やCDにプレスする最終データ)の形だったんですか?

幡谷 そこからどうやってMIXしたのかは、なかなか今は再現できないんですけれど、その前のデータといいますか、全部最終テイクが残されているっていう感じです。

──「Burning Hearts」でいうとオープニングで使用されていた「Short Track」に入っていた爆発音などもそのアーカイブデータには残っているということですか? 最初がサイレンと爆発音で始まって、イントロのブラスと爆発音が3発タイトに鳴るのがカッコいいトラックですよね。

幡谷 あそこで収録されたトラックのデータはそれぞれ別に残されているという形ですね。

──最終的に使う/使わないはさておき、MIX前のデータがまるっと残っているんですね。

幡谷 楽曲の一部ですけれどね。もちろん内蔵音源の曲とか、手元で完パケまで仕上げたものっていうのはなかなか楽曲担当のその頃の環境を再現できないものもすごく多いので。あとは全部MIXされた2チャンネルのステレオデータっていう場合が多いんですけれども、当時スタジオに持ち込んでおいたものは、そういうデータが残っています。

──むしろ素材に近いもののほうが残っている可能性がありそうですね。

「バーニングレンジャー」のサウンドを振り返る

当時の『セガサターンマガジン』「バーニングレンジャー」サウンドチームインタビューより。※クリックすると拡大して見ることができます。

──脱線ついでに、当時の「バーニングレンジャー」のサウンドチームの成り立ちみたいなところもちょっと振り返ってお話を伺いたいです。

エンディングクレジットを見ると、サウンドメンバーとしては、のちに分社化されて株式会社ウェーブマスターの社長になられた牧野(幸文)さんがサウンドプロデューサー、サウンドディレクターとして幡谷さんがクレジットされていますが、そのほかササキさん、光吉さん、コンポーザーやサウンドエフェクト担当として瀬津丸(勝)さん、熊谷(文恵)さんなどのお名前がありますが、このメンバーはCS開発部のサウンドチーム内から開発開始当初からアサインされたのでしょうか?

幡谷 「NiGHTS」、「クリスマスナイツ」の後に立ち上がったタイトルで、当時、ドリームキャストの立ち上げの準備もそろそろ始まっていたようなタイミングですね。

──そんな時期ですよね。セガサターンとしては晩年のタイトル。

幡谷 新しいタイトルが立ち上がってすぐは、とりあえずサウンド担当1名がアサインされて、ある程度のプロトタイプが出来上がるまでの実験に付き合うことになります。そういう意味で僕からプロジェクトにアサインされたんですね。まずそこでやっていたのは音声のナビゲーションシステムの試作がメインでした。

そこに付き合いながらゲームとしてある程度成り立ってきた段階で、僕が主題歌の方にとりかかって、ササキ、光吉に協力をお願いしつつ、そこからゲーム中の内蔵音源のBGMやSEの担当として瀬津丸、熊谷という感じでメンバーに加わってもらった感じです。ササキ、光吉は主題歌のために協力をお願いした形です。

──そうすると、ボーカルトラックの制作は瀬津丸さん、熊谷さんが加わってゲーム内BGMの制作と並行して行われていた感じですね。

幡谷 そうですね。

──ライナーノーツの幡谷さんのコメントが時系列で制作ノート的な内容になっていてとても興味深かったんですが、「バーニングレンジャー」では、主題歌、挿入歌、エンディングと3つのボーカル曲を柱にして、火災現場ではサウンドエフェクト(効果音)とナビゲーションの声をメインに、ボス戦などでは内蔵音源BGMというようなサウンドプロダクトをされていますが、そういった構想も試作段階からすでにあったんでしょうか?

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