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【第1回】インディゲームを創るなら、レトロゲームから学ぼう! 宮路洋一


『Beep21』で宮路洋一氏の新連載コラム「インディゲームを創るなら、レトロゲームから学ぼう!」がスタート! ゲーム業界黎明期れいめいきから40数年以上、最前線で活躍し続けている宮路氏が、現代の若きゲームクリエイターたちに贈るゲーム制作の温故知新の熱いメッセージ!! 
当時の知られざるエピソードを振り返りつつ、新たなゲーム作りのヒントをお届けしていきます。ぜひご覧ください!

◆宮路洋一氏のインタビュー記事もあわせてご覧ください!

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【第1回】インディーゲームのアイデアは、歴史の中に眠っている。 なぜ『テグザー』や『シルフィード』は生まれたのか?  伝説のプロデューサーが語る「レトロゲームに学ぶべき理由」

こんにちは! ゲーム アーツ創業者で、現在は株式会社ジークゲームズの代表を務める宮路です。かれこれ40年以上、ゲーム業界の黎明れいめい期からプロデューサーとして走り続けています。
さて、昨今は世界中でインディーゲームが盛り上がっていますね。素晴らしいことです。しかし、タイトルが爆発的に増えた結果、「面白いのに、誰にも遊んでもらえない…」そんな作品が増えているのも事実ではないでしょうか。
どうすれば、自分の作りたいものを作り、ファンに熱狂してもらえるのか?
この連載では、そんな悩めるクリエイターの皆さんに、プロデューサーの視点から一つの答えを提示したいと思います。それは「すべてのヒントは、レトロゲームにある」ということです。

1.なぜ、“制約”が名作を生んだのか? レトロゲームはアイデアの宝庫だ

私がゲーム制作を始めた1980年代は、正直に言って幸せな時代でした。まだ作り手もタイトルも少なく、ゲームは作れば注目してもらえたからです。
しかし、今とは比べ物にならない厳しい”制約”がありました。

(初期のPCゲームの制約:PET2001
キャラクター表示はたった8×8ドットの組み合わせ(PCG使用時)
使えるメモリはわずか8KB

けれど、私は断言します。この”制約”があったからこそ、数々の名作が生まれたのだと。今のインディーゲーム開発と当時の最大の違いは、「ゲームの根幹となる面白さのルール(ゲームロジック)」を考えることが、ゲームデザインのすべてだったという点です。制約がない今の環境は、ともするとロジックが複雑になりすぎて、本当に面白い部分が埋もれてしまいがちです。その点、当時のゲームはアイデア一発勝負。だからこそ、その中心には「純粋な面白さの核」が輝いています。

レトロゲームから学ぶことには、こんなメリットもあります。

  1. アイデアの源泉になる:シンプルで強力なゲームロジックを発見できる。

  2. ファンに届きやすい:当時のファンが「あのゲームに影響を受けているな」と興味を持ってくれる。斬新すぎて誰にも理解されない、という悲劇を避けられる。

さあ、ここからは具体的なタイトルを挙げながら、アイデアの源泉を掘り起こしていきましょう!

2.衝撃を生んだ大ヒット作。 『メジャーハボック』がなければ『テグザー』も『シルフィード』もなかった

1983年にアタリが放ったメジャーハボック
当時、渋谷のゲームセンターでこのゲームをプレイした私たちゲーム アーツのメンバーは、文字通り衝撃を受けました。
この衝撃がなければ、後に五代響が生み出した大ヒット作THEXDER(テグザー)』も、そしてシルフィードも生まれることはなかったでしょう。
『メジャーハボック』は、線画だけで立体を表現する「ベクタースキャン」という独特のグラフィックで、2つのパートから構成されていました。

パート1: 3Dシューティングで敵の基地へ向かう
パート2: 基地内部を探索し、爆弾を仕掛けて脱出する

独特の浮遊感がある操作は、慣れるまで非常に難しい。しかし、練習して乗りこなせるようになっていく過程が、一つ目の快感でした。そして二つ目の快感が、迷路のような基地をどう攻略するかというパズル要素。
「アクションの快感」と「パズルを解く思考」。
この二つを融合させた革新的なゲームデザインは、現代のインディーゲーム開発者にとっても、最高の教科書になるはずです。

3.“面白さ”が先か、“見た目”が先か? 『シルフィード』誕生秘話

弟の宮路武が「当時最先端だったポリゴン技術で、新しいシューティングを作りたい!」と言い出したのが『シルフィード』開発のきっかけでした。
もちろん、そこには『メジャーハボック』からの影響がありました。あの画面の奥から敵が迫ってくる感覚を、もっと進化させられないか?と考えたのです。
しかし、これは単なる「見た目のインパクト」を狙っただけではありません。そこには、ゲームの面白さを成立させるための、極めてロジカルな理由があったのです。
当時のPCモニターは横長で、ゲームセンターの縦画面シューティングをそのまま移植すると、自機と敵の距離が近すぎて、弾を“避ける”楽しみが生まれません。これはシューティングゲームにとって致命的な問題でした。 
そこで生まれたのが、「画面を3Dにして奥に寝かせることで、敵との距離を稼ぐ」というアイデアです。

©1986 GAME ARTS 「シルフィード」
©1986 GAME ARTS 「シルフィード」

【シューティングゲームの本質】
シューティングの面白さは「撃つこと」だと思われがちですが、本質は「避けること」に集約されます。大量の敵や弾幕を、絶妙な操作で切り抜ける快感。そのために「避ける時間と空間」の設計が何よりも重要なのです。
つまり『シルフィード』は、
「カッコいいポリゴン表現がしたい」から始まったのではなく、「どうすればPCで“避ける”のが面白いシューティングを作れるか?」というゲームロジックの課題解決から、ポリゴンの採用や3Dの画面構成がデザインされたのです。
表現に制約がない現代は、どうしても「どう見せるか」が優先されがちです。だからこそ、インディーゲームを作る皆さんには、「プレイヤーに何を体験させたいのか?」というゲームロジックから設計を始めることの重要性を、ぜひ知ってほしいと思います。

▼『シルフィード』のコンセプト整理
⑴【核となる体験】:大量の弾幕を避けつつ、敵を破壊する快感。
⑵【課題解決】:ポリゴンで画面に奥行きを持たせ、PCの横長画面でも「避ける楽しさ」を担保する。
⑶【結果としての魅力】:当時主流だった2Dとは全く違う、立体的で迫力のあるビジュアルが生まれた。

4.技術が“体験”を進化させる。メガCD版『シルフィード』が見せた未来

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