星間航路の片隅で - 第1話「消えたシグナル」
銀河を渡る貨物船アルテミス号は、星々の間をゆったりと滑るように航行していた。機関士のリオは、いつものようにエンジンルームで星間推進システムのメンテナンスをしている。
「このイオンエンジンは、荷物を乗せたままでも滑らかに加速できるんだ。電磁場でプラズマを加速させる仕組みさ。簡単に言うと、ロケットのように燃料を燃やすんじゃなくて、イオンを吹き飛ばして推進力を得るんだよ。」
リオはそう言いながら、エンジンの制御パネルをチェックした。静かな宇宙の中、唯一響くのは機械の微かな振動だけだった。
その時、通信機がいつもと違う音を鳴らした。解析装置が謎のシグナルを拾ったのだ。地球から何光年も離れた場所で、パルサーと呼ばれる高速で回転する中性子星の電磁波の中に、規則的な信号が混じっている。
「こんな場所で?このシグナルは…古代文明からのメッセージかもしれない。」
リオは目を見開いた。銀河系の果てに近いその星間空間は、ほとんど無人の領域だ。星と星の間は何光年もの距離がある。彼女は宇宙の広大さと時間のスケールに思いを馳せた。
「もしこれが本当に古代文明からのメッセージなら、僕らの旅は大きく変わるかもしれない。」
星間航路の片隅で、静かに始まった未知との遭遇。それは希望と危険の入り混じった旅の序章だった。
