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世界を目指していた少年は、平凡な夢にたどり着いた。

人も夢もうつろいやすい。

どこにでもいる少年みたいに、夢を積み重ねていた。

保育園では、流行っていたアニメの主役じゃないキャラクターになりたかった。

小学校では、当時みんなが憧れていた野球選手。

でも日曜日まで野球漬けになりたいわけじゃなかった。
放課後や昼休みに友達と遊ぶくらいで、充分楽しかったのかもしれない。

卒業文集には、なぜか「世界を目指す」と書いていた気がする。

何を目指していたのかは、自分でもよく分からない。

中学から高校くらいまでは、ノストラダムスの予言なんかを少し本気で信じていて、世の中そのものを疑っていた時期もあった。

そのくせ、頭の中の大半は「あの子と付き合いたい」とか、「メール返ってこないかな」とか、そんなことばかりだった。

たまに変なスイッチが入ることもあった。

「世界中を橋で繋げて、その上で音楽フェスをしたい」

そんな突拍子もないことを半分冗談で口走って、周りに少し引かれていた。

今思えば、あの頃の願いはどれも本気で、どれも一瞬だった。

短絡的だった願いはいくつか叶ったのかもしれない。

欲望みたいな夢は、誰かを傷つけていたのかもしれないとも思う。

でも年齢を重ねるほど、不思議と夢は小さく現実的なものになる。

世界を変えたいとか、誰かになりたいとか、そういうものじゃなくて。

ちゃんと眠れることとか。
気を遣わず笑える時間とか。
好きなことに夢中になってることとか。

日々の平凡なことが、一番難しいような気もしている。

だから今の夢を聞かれたら、昔みたいに大きなことは言えない。

ただ、穏やかに生きていたいと思う。

それだけで充分贅沢なのかもしれない。

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