【第3巻】読むビートルズ
第3章|終幕と永遠
1969年1月2日。
ロンドン郊外のツイッケナム撮影所には、冷たい冬の光が差し込んでいた。朝から機材の搬入が続き、広大なスタジオにはカメラと照明が並ぶ。
ビートルズはここで新しいアルバムのためのリハーサルを開始しようとしていた。
だが、空気は張り詰めていた。
このプロジェクトには、ひとつの大きな賭けがあったからだ。
「原点回帰」Get Back。

30th January 1969
(Photo by Evening Standard/Hulton Archive/Getty Images)
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崩壊の序曲

ライブ活動をやめて2年以上。
もう一度初心に立ち返り、観客の前でシンプルなロックンロールを演奏する。そのための準備として、スタジオでリハーサルを重ね、最終的には生中継ライブで新曲を披露するという壮大な計画だった。
しかし、
この「原点回帰」は、
結果的にバンドの終焉を告げる序曲となる。
ツイッケナム撮影所でのセッションは、映画監督マイケル・リンゼイ=ホッグによるドキュメンタリー撮影と並行して進められた。そのため、4人は常にカメラに囲まれ、自由に演奏できる空気ではなかった。
しかも撮影所は寒く、音響環境も悪かった。
初日から、ポール・マッカートニーの焦りは明らかだった。

新しい方向性を模索しつつ、バンドをもう一度まとめ上げたい。その想いが、時に他のメンバーへの過干渉として表れていた。
ジョージ・ハリスンは苛立ちを隠さなかった。
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