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RNAシリーズ3-1 miRNAってなんだろう? - 別々の研究が重なる瞬間、新しい発見が生まれる -

こんにちは、ビビです。 
月刊サイエンマガジンは書かせていただいているのですが、こちらのシリーズについてはなかなか進まなくてご無沙汰してしまいました。調べながらまとめているので、ちょっぴり時間がかかってしまうのですよね。でも調べるの好きなので、とても心地よい時間です。本日もスコーンと紅茶を堪能しています🫖

今回はRNAでもマイクロなRNAについてです。サイエントークでは、messenger RNAからのタンパク質翻訳を妨げるものとして紹介されました。この小さなRNAは適切な時期に現れて、必要無くなったタンパク質を排除するための的確な技術です。一つ一つのメカニズムを見るためによく設計されているなと生物の進化に驚くばかりです。

今回もレンさん、エマさんのトークを書き起こしつつ、この分野で研究されていることなどもご紹介できればと思います。


🧬micro RNAってどんなRNAなの?

今回の主役は、micro RNA(miRNA)です。2024年のノーベル賞を受賞した研究でもあり、聴いたことあるな?と思った方も多いかもしれません。

セントラルドグマ(RNAシリーズ1-1)で出てくるmessenger RNA(mRNA)とは異なり、タンパク質を翻訳するための鋳型とはならないnon-cording RNA(タンパク質の設計図がコードされていないRNA)の一つです。他のRNAと比べても短めで、20塩基前後の長さです。”micro = ちっちゃい” ですね。
通常、mRNAは一本鎖の状態でリボソームという工場で配列に従ってタンパク質を合成します。ところが、二本鎖になるとリボソームにハマらなくなり、合成できなくなります。miRNAは、相補的な配列を持つmRNAに結合することで2本鎖となり、タンパク質への翻訳を阻止します。
相補的な配列とはなんでしょう。 RNAはA(アデニン)、 U(ウラシル)、G(グアニン)、C(シトシン)で構成されており、AとU、GとCの組み合わせで結合します。つまり対になった並びを持つ特定のmRNAにくっつくことでタンパク質の生産を抑えるのです。

相補的に結合して2本鎖になると、リボソームにハマらなくなり
タンパク質の合成ができなくなる

🧬miRNAは線虫で初めて発見された!

miRNAは線虫(C. elegans)の研究の中で初めて発見されました。これが2024年のノーベル生理学・医学賞を受賞したビクター・アンブロス博士とゲイリー・ラブカン博士の研究です。
生物分野において、線虫は重要な研究対象の一つです。1個体で1000個ほどの細胞しかなく、どの細胞がどの組織になるかも解明されていて、体が透明で観察しやすいので、様々な研究が行われています。

線虫は脱皮を4回行ってから成虫になります。ところが、とある遺伝子に変異があると、ずっと脱皮を繰り返して成虫になることができません。アンブロス博士はこの原因遺伝子がlin-4であることを発見しました。逆に、ラブカン博士の研究は、幼虫期をスキップして成虫になってしまうというものでした。こちらの原因遺伝子はlin-14であることが解明されました。

発見当時は、この2つの遺伝子は全く関連がないものと考えられていたのですが、二人の研究者のディスカッションの中で、お互いの研究対象のRNAに相補性がある=くっつくことが分かったのです。line-14はタンパク質に翻訳されるmRNAで、lin-4がそれに結合して翻訳を阻害するmiRNAだったのですね。
mRNAであるline-14は幼虫期に必要なタンパク質に翻訳されて脱皮を繰り返します。そして適切な時期にmiRNAであるline-4が転写され、LIN-14タンパク質の翻訳を阻止して成虫になるという見事な手法です。
もし、line-14に変異があれば、幼虫を維持するためのタンパク質が正確に作れないのでうまく機能せず、いきなり成虫になってしまいます。反対に、line-4に変異が起こり、正しくline-14にくっつくことができなければ、line-14の翻訳を永遠に止めることができず、成虫になれないのです。

別々に研究を進めてきた二人の研究者が意見を交換することで一気に謎を解明した興味深いお話です。私としては必要な時期にline-4を転写を開始するメカニズムも気になるところです。こちらは、さらなる研究を待つ必要がありそうですが☺️

🧬ちょっと気になる素数ゼミの話

2024年にアメリカで素数ゼミの大量発生が話題になりました。素数ゼミは、17年ゼミと13年ゼミが知られており、成虫になるためにそれぞれの年数がかかるという気長なセミです。17と13は素数なので、それを掛け合わせた年数の時のみ一緒に発生=大量発生になるのです。それ以外は出会うことがないので、交雑が起こりにくいのが興味深いですね。サイエンスポットでもこの素数セミの謎について紹介されました。

このセミ達は幼虫の期間がとても長いわけですが、成虫への変化のタイミングを決めているのは「体重」のようです。臨界体重と呼ぶそうです。腹部の膨らみや足の伸長を神経等が感知しているとの説があるらしいのですが、個体差もあるので1年、2年の誤差が出てしまい、早く羽化しちゃう個体も増えそうです。それを防ぐために、生物はマイルストーンを設定したようです。

17も13も、「4の倍数+1」です。4年ずつであれば、正確にカウントしやすいのではないかというのが、京都大学の研究者の考えです。実際に、4年早く羽化してしまうケースも意外とあるそうで、この研究を支持する根拠にもなっています。1年前の4の倍数の年に眼の色が白から赤に変わることを含めて成虫になる準備を整え、もう一冬越えるという意味での素数なのではと。

この研究では、生体内で具体的な変化がどのようなシステムで生じているかには言及していませんが、もしかしたら、この成虫への変態の際にもmiRNAが関わっている部分があるかもしれませんね。こんな風に考えると次の論文が待ち遠しくなります。

🧬次回は……

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。まだまだ新しい分野ですが、研究成果も集まってきているようです。次回は、実際にどんなmiRNAが見つかっているのかを見ていきたいと思います!

読んでいただいてわかりにくかったところなどあれば、サイエントークのリスナーサイト(LINEサイエンチャット、サイエントークラボ)でご質問いただいても興味深い議論ができるかも。皆さんのご意見など伺えれば嬉しいです。

このお話は、ポッドキャストをもとに書かせていただいています。レンさんとエマさんの楽しいトークをぜひ聴いてみてください😆

サイエントーク & サイエンスポット
サイエンスポットは英語版もあります!

関連資料他
1. 産総研マガジン 2024年ノーベル生理学・医学賞 マイクロRNAと転写後遺伝子制御における役割の発見
2. RNAシリーズ1-1 セントラルドグマと非コードRNA
3. 九州大学附属図書館線虫 C. elegans ~約1ミリのモデル生物で切り拓く生命科学~: 線虫C. elegansとは?
4. 17年ゼミはどう羽化のタイミングを決めているのか?―野外調査による4年ゲート仮説の検証―


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