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恋愛小説ドーパミン中毒

こんばんは。加治木です。
最近Talesに書く話が途中で止まっています。というのも三角関係の結論がまだ決まっていないからです。どちらを選ぶかは決まっているのですが、選ばれなかった方がどうなるのかを決めかねているという感じです。
おそらくは選ぶ方と選ばれない方の属性が似通っているというのが一番の問題で、たぶん自分には「人物を書く」という能力が圧倒的に不足しているんだろうなと思っています。なので再構築中です。

というわけで恋愛小説の名手島本理生の「あなたの愛人の名は」を読んだ。その感想です。

恋愛小説ドーパミン中毒

ちなみに私は現在たぶん「恋愛小説ドーパミン中毒 ※造語」に陥っている。
セロトニンが不足しているので、恋愛小説や韓国の漫画を読んでむりやりドーパミンを出している状態のことです。素人考えですが。
なのでいつになく恋愛小説を読む速度は上がっていますが、一方で「ナラタージュ」が読めないなど、どういうわけか昔は読めたのに今は読めない本が出てきてしまっている状態です。

なので本をものすごく薄くしか読めていないかもしれない。ということは書いておきます。
一穂ミチの「ツミデミック」に泣きそうになったのに今読み返すとたった一日前に何を考えていたのか思い出せない。そんな感じです。

あなたの愛人の名前は

「あなたの愛人の名前は」は6つの話からなる短編集で
「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は同じ場面を男女別の視点から描いているお話です。

同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心をそれぞれの視点から描いた1対の作品。

「あなたの愛人の名前は」島本理生 のAmazonの解説より

表題作の「あなたの愛人の名前は」の主人公は浅野さんの妹です。
いまこのタイトルを書いて初めて気づいたのだけど、「あなたは知らない」の主人公は女性(瞳さん)で、「俺だけが知らない」の主人公は男性(浅野さん)なので、このタイトルは要するに、浅野さんは何も知らないという同じことを言っているのか?と一瞬考えましたね。多分違いますが。

「あなたは知らない」

「あなた」は瞳さんの婚約者の方を指している気がする。この人は瞳さんという人を見ていなかったというかわかりあえていなかったという描写にぺ時を割かれていう。瞳さんの話を聞いていないというか。
本田孝好の『MISSING』の「瑠璃」に死んだ女性の本質をお前はちゃんと見ていたのか?みたいなことを言うシーンがあってそれを言われる側の男のイメージ。自分の世界に彼女を同化させたがるが、彼女が同化したいかどうかを問わない男。だからこそこの男は何も知らないのだ。
主人公にとって浅野さんは、自分と同じものを美しいと思う男で、相性も良くて、だからこそ婚約中にも拘わらずのめり込んでいるのに、彼の愛を確かめるのが怖いから言えなくて、孤独に抱え込んでしまう。

「俺だけが知らない」

これは「俺」は浅野さんでいいと思います。
ただ、浅野さんだけが何を知らなかったのか?が今のところうまくつかめていません。普通に読むと瞳さんのことを知らない(意外と背が高いひとなのだと気づいたけど今更確かめようがない、みたいなセリフがある)。でもたぶん婚約者も大して瞳さんのことを知らないし、「だけ」とわざわざ強調されているところが引っかかっています。
浅野さんが、瞳さんと最後にホテルにいったときに、瞳さんと自分の父親の浮気相手が似ていることに気づくシーンがあるのですが、これが何を意味しているのかがいまいち解釈できていない。でも瞳さんという存在はどうやら浅野さんにとっては「永遠のモラトリアム」みたいな存在だったという記述があります。
だから最後のシーンでモラトリアムが突然終わったことを知って心臓が凍ってしまう。

「ファーストラヴ」と「イノセント」を踏まえると、この話のコンセプトは、西川美和「永い言い訳」と同じなのではとはちょっと思いました。
つまり瞳さんと別れてから、瞳さんを愛し始めた、という話。だとすると瞳さんを本当は愛していたことを浅野さんだけが知らない?ということでしょうか。
でもそうだとしたら誰も知らないか…。

「あなたの愛人の名前は」

でも瞳さんと別れたことで浅野さんはモラトリアムから抜け出して、同じくモラトリアムの中にいたという妹をちゃんと助けに行き(いや手切れ金を渡して縁をきったのか…)妹ちゃんもモラトリアムを抜け出すというのが「あなたの愛人の名前は」ですね。
そしてその中に浅野さんが、瞳さんを「メレンゲ」に似ているとして思い出しているようなシーンがあります。

焼く前の生地は繊細だけど、焼けたあとはしっかりしている。

うーん。どういうことなのかやっぱりわからないな。
でもこれは「俺だけが知っていればいいこと」とあるので瞳さんのことかと思ったけど案外妹や自分のことなのかもしれない。

ちなみに作品の時系列はこんな感じでした。
「イノセント」2014年
「あなたの愛人の名前は」2016年
「ファーストラヴ」2017年

「イノセント」の宮田は浅野さんの進化系とおもっていたけど順番だけみるとちょっと違うのかもしれませんね。

でも私この浅野さんすごい好きで、できれば瞳さんと再会してほしいと思いました。でもよく考えたら読み返せなかったけれど、ナラタージュの葉山先生もこういうタイプなのかもなぁ・・・。

加治木


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