〜心に響いた「空」〜
なぜか、小さい頃から空が大好きだった。
青い空を見上げ、流れる雲を眺めながら、「いつかあの雲の上に乗って遊びたい」と、ドラえもんのような世界を本気で想像していた。
そんな私が「空」と聞いて思い出す一冊がある。
リチャード・バック著
『イリュージョン』
飛行機乗りの二人が各地を飛びながら、人生や自由、この世界の本質について語り合う物語だ。
中でも、ずっと忘れられない大好きな会話がある。
「空はいつだって完璧さ」
「一秒ごとに変化しているのに完璧だって、そう思うか?」
「ああ、海もそうだ、完璧だ」
「完璧であるためには、一秒ごとに変化しなくてはならない」
同じ空は一度としてない。雲も光も色も、一秒ごとに変わっていく。それでも、どの瞬間も美しい。
人もきっと同じなのかもしれない。変わり続けながら、その時々の自分を生きていけばいい。
鴨長明の『方丈記』の冒頭、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」を彷彿とさせる。
『イリュージョン』は、私にとって「大人のための童話」のような名作だ。何度も読み返した村上龍氏訳の版が、現在は絶版になっていることは、とても残念。現代にこそ、世に広まってほしい名著と思う。
確か、この本を読んだ20代前半の頃、本書に出てきたこの言葉も強く心に響いた。
「この世はすべて自分の意識が創っているものなんだ」
著者のリチャード・バックは後年、こんな言葉を残している。
あっちこっち叩いているうちに、どこかのドアがポンと開くと思うんだね。
その開いたドアが、自分のいちばん求めている、愛するものへの道だと、とりあえず信じるんだよ。
そこへ入る、またドアが全部閉まっている。
必死になって叩くと、またひとつだけドアが開く。
人生って、本当にそんなものなのかもしれない。
最初から正しいドアなんて分からない。
だから、気になったドアを叩いてみる。開いたら入ってみる。
違うと思ったら、また次のドアを探せばいい。
今でもこの本を開くたび、若い頃には分からなかった言葉が、今の自分には深く響くことがある。
同じ本なのに、読む年齢によって見える世界が変わる。それも本の面白さだと思う。
人生も空と同じように、変わり続けていく。
忙しい日々の中でも、ふと空を見上げられるようなゆとりのある人間になりたいと願う。
今日、あなたが見上げた空は、どんな空でしたか?
そしてこれまでの人生で、あなたは、どんな忘れられない空に出会いましたか?
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