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「のりしろ」がある会社はなぜ強いのか 鎌倉紅谷に見る余白の経営

現場で仕事を見ていると、少し不思議な場面に出会うことがあります。

細かく決められているのに、なぜか止まる仕事。
逆に、少し曖昧なのに、なぜか回り続ける仕事。

どちらも同じように真面目にやっているのに、結果が違う。

この差は、能力では説明しきれません。

むしろ、どこまで決めて、どこを残しているか。
その設計の違いにあるように見えます。

クルミっ子で有名は、株式会社 鎌倉紅谷の採用対談を読んで、この違和感の正体が少し見えました。



決めすぎた仕事は、なぜ現場で止まるのか

仕事を安定させようとすると、多くの組織は「決める」方向に進みます。

手順を細かく定義する。
判断基準を統一する。
例外を減らす。

これは一見すると正しい設計です。

誰がやっても同じ結果になる。
品質が安定する。

しかし、現場では別の現象が起きます。

少し条件が変わると止まる。
想定外に弱い。
判断が上に上がる。

結果として、動きが鈍くなる。

これは能力の問題ではありません。

設計の問題です。

すべてを決めてしまうと、現場は考えなくなります。

考えない状態は効率的に見えますが、応用が効かない。

応用が効かない状態で変化が起きると、止まるしかなくなる。

鎌倉紅谷の考え方は、この逆です。

すべてを決めきらない。
あえて余白を残す。

その余白が、現場に思考を残す。

思考が残ることで、状況に応じた判断が生まれる。

この構造があると、現場は止まりにくくなります。

のりしろとは、この「思考の余白」です。


のりしろは「まごころ」を動かす仕組み

この鎌倉紅谷の採用対談で印象的なのは、「まごころ」という言葉の扱い方です。

この言葉は、細かく定義されていません。

数値化もされていない。
評価基準として明文化されすぎてもいない。

だからこそ、現場で考える必要がある。

この場面でのまごころとは何か。
どうすれば相手に喜ばれるのか。

その都度、自分で判断する。

もしこれがすべてルール化されていたらどうなるか。

迷いは減ります。
判断も速くなる。

しかし、その代わりに思考が止まります。

思考が止まると、まごころは形だけになる。

株式会社 鎌倉紅谷は、その状態を避けているように見えます。

あえて定義しきらない。
あえて考えさせる。

これが、のりしろです。

のりしろは曖昧さではありません。

考えさせるための設計です。

この設計があることで、価値観が現場で生き続ける。

ここに、この会社の強さの一つがあるように見えます。


のりしろがある組織では、情報が流れる

余白がある現場では、もう一つの変化が起きます。

情報が流れ始める。

決めきられた組織では、情報は固定されます。

やることが決まっているため、新しい情報を取りにいく必要がない。

結果として、知識は更新されにくい。

一方で「のりしろ思考」があると、人は考えます。

このやり方でいいのか。
他に方法はないのか。

問いが生まれる。

問いが生まれると、人は情報を取りにいく。

さらに、その情報を共有するようになる。

このやり方はうまくいった。
これは現場で詰まった。

こうしたやり取りが増えることで、知見が蓄積されていく。

鎌倉紅谷のように、価値観ベースで動いている組織では、この循環が自然に生まれる。

正解が一つではないからこそ、対話が必要になる。

対話が増えることで、現場同士がつながる。

結果として、組織全体の解像度が上がる。

この状態は、マニュアルでは作れません。

余白があるからこそ生まれる構造です。


一見非効率だが、長期では合理的になる

のりしろを残す設計は、短期では非効率に見えます。

判断に時間がかかる。
人によってやり方が変わる。

結果が揃うまで時間がかかる。

しかし、長期では逆転します。

現場が自走するようになる。
応用力がつく。
変化に強くなる。

対談の中では、経営の役割を「土壌づくり」と表現していました。

顧客や利益を直接コントロールするのではなく、良い循環が生まれる環境を整える。

これは、まさにのりしろの発想です。

すべてを管理するのではなく、育つ余地を残す。

その結果として、顧客、従業員、利益が循環する。

短期の効率ではなく、長期の構造を見ている。

この視点があると、設計は大きく変わります。


どこまで決めて、どこを残すか

仕事の差は、能力ではなく設計で決まる。

そう感じる場面が増えています。

すべてを決めれば、短期は安定する。
しかし、変化に弱くなる。

余白を残せば、最初は揺れる。
しかし、強くなる。

鎌倉紅谷の取り組みは、この後者です。

のりしろを残す。
考える余地を残す。

その結果として、まごころが現場で動き続ける。

営業でも同じです。

売り方を固定するのではなく、
相手に合わせて考える余白を持つ。

その積み重ねが、関係をつくる。

関係ができると、情報が流れる。
情報が流れると、判断が変わる。

判断が変わると、結果が変わる。

この連鎖は、決めすぎた設計では生まれません。

余白があるからこそ、生まれます。

だから重要なのは、何を決めるかではない。

どこまで決めるかです。

そして同時に、どこを残すかです。

このバランスが、そのまま成果の差になる。

そう考えると、仕事の本質は効率ではなく設計なのかもしれません。


本記事は、以下の対談に感銘を受けて作成しました。
ありがとうございます。


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