マーケターを名乗る人の多くは「プロモーター」でしかない
こんにちは、ブラストメールのマーケティング担当、滝口です。
私は普段、メール配信システム「ブラストメール」や、姉妹サービスである「ブラストエンジン」のマーケティング、プロモーションを行っています。
日々の業務でも「マーケティング施策の進捗が~」なんて言葉を口にしています。
あと友人に「今何の仕事してるの?」と聞かれた際は「マーケティング」とちょっと自慢気にこたえます。(別に職種に貴賎はあるはずもないのですが横文字でかっこいいから。)
でも、仕事が終わってふと帰り道に歩いているとき、あるいはレポートの数字を睨みながらコーヒーを飲んでいるとき、自分自身にこんな疑問を投げかけたくなる瞬間がありませんか?
「私って、本当に『マーケティング』をやっているんだろうか?」
今回は、世の中の多くの「ふつうのマーケター」が抱えているであろう、この根源的なアイデンティティの揺らぎについて考察してみたいと思います。
私たちが日々向き合っている仕事の正体と、それでも「マーケティングをやっている」という自覚を絶対に捨ててはいけない理由について、少し理論も交えながら徹底的に深掘りしていきます。
私は「マーケター」なのか、それとも「プロモーター」なのか?
「マーケティングとは何か?」 この問いに対して、ピーター・ドラッカーは「セリング(売り込み)を不要にすることだ」と言い、フィリップ・コトラーは「ニーズに応えて利益を上げることだ」と言いました。
教科書を開けば、市場調査から製品開発、価格設定、流通チャネルの開拓まで、ビジネスの根幹に関わる壮大なプロセスが描かれています。
しかし、私たち「ふつうのマーケター」のリアルな日常はどうでしょうか。
今日私がやったことといえば、
・来週配信するメルマガを考えること
・オウンドメディア(note)の新しい記事を投稿すること
・サイトのCVRを上げるために左隣の席のデザイナーとあれこれ相談すること
・会議でリード獲得状況とこの先の見込みについて説明したこと
右隣の席の新米WEB担当は
・リスティング広告の入札単価の調整
・オウンドメディア(自社ブログ)の更新
を一生懸命やっています。
……お気づきでしょうか。
私がやっていること、そして世の中の「マーケター」を名乗る人の多くが日々の業務時間の大半を割いていることは、リード(見込み顧客)を獲得するための「プロモーション(宣伝・販売促進)」でしかないのです。
本質的な意味で言えば、私たちはマーケターというよりも「プロモーター」と呼ぶ方が、実態に合っているのかもしれません。
マーケティングの4Pから見る、私たちのリアルな日常
この「プロモーター化」の現象を、マーケティングの基礎フレームワークである「4P」に当てはめて考えてみましょう。
さすがに今更ではありますが、4Pとは、以下の4つの要素です。
Product(製品): どんな価値を提供するのか?
Price(価格): いくらで提供するのか?
Place(流通): どこで、どうやって提供するのか?
Promotion(販促): どうやって知ってもらい、買ってもらうのか?
教科書的には、これら4つを統合的に設計するのがマーケティングだと言われています。 しかし、現実の企業活動において、一人の担当者がこれらすべてを自在にコントロールできるケースは稀です。
できたばっかりのスタートアップや新プロダクトならあり得るかもしれませんが、そのフェーズの事業でわざわざ「マーケティング統括」みたいなポジションを置くことも珍しいのではないでしょうか。(なぜなら最初の100件ぐらいは泥臭く営業したほうが速いから。)
・「よし、明日から製品の仕様をガラッと変えよう!」(開発部門の管轄) ・「競合に勝つために、来月から基本料金を半額にしよう!」(経営層や事業責任者の管轄)
・「直販をやめて、代理店網をゼロから構築しよう!」(営業やアライアンス部門の管轄)
・・・上記の例は管轄云々の前に不可能だと思いますが、実際そうですよね。
Product(製品)、Price(価格)、Place(流通・商流)を変えるというのは、会社全体を巻き込む巨大なプロジェクトであり、そう頻繁にいじれるものではありません。
結果として、私たちマーケターに与えられた権限と予算の中で、最も機動的に、かつ圧倒的な利用頻度で動かせるのが「Promotion(プロモーション)」になるのです。
広告のクリエイティブを変える。
メルマガの配信ターゲットを絞る。
ホワイトペーパーを新しく作る。
これらはすべてプロモーションの領域です。私たちがプロモーター化してしまうのは、ある意味で組織構造上の必然とも言えます。
4Cで考える「Communication」という私たちの主戦場
企業視点の4Pに対して、顧客視点で捉え直したフレームワークに「4C」があります。
正直同じですが。
Product(製品) ⇒ Customer Value(顧客価値)
Price(価格) ⇒ Cost(顧客が払うコスト)
Place(流通) ⇒ Convenience(利便性)
Promotion(販促) ⇒ Communication(コミュニケーション)
私たちが担っている「プロモーション」は、顧客視点に立てば「コミュニケーション」に変換されます。
企業から一方的に「買ってください!」と宣伝するのではなく、顧客と双方向の対話を行うこと。これこそが、私たちが日々向き合っている主戦場です。
オウンドメディアで読者の悩みに寄り添う記事を発信すること。
SNSで有益な情報を提供すること。
メルマガを通じて一人ひとりのお客様の受信トレイに直接メッセージを届けること。
これらはすべて、顧客とのCommunicationです。
私たちは宣伝マンであると同時に、顧客と企業をつなぐ「対話の窓口」としての役割を担っていると思います。
それでも「マーケティングをやっている」という自覚を捨ててはいけない
「自分は結局、ただのプロモーターに過ぎないんだ」
ある意味ではこれは事実だと思います。
ただ、そう思ってしまうと、仕事の視座は一気に下がってしまいます。
広告のCPA(獲得単価)やメルマガの開封率といった「目先の数字」だけを追いかける、単なる作業者になってしまうからです。
なので、私は強く主張したいです。
どれだけ日々の業務がプロモーションに偏っていたとしても、自身は「マーケティングをやっているんだ」という自覚を絶対に捨ててはいけない。
なぜなら、その自覚こそが、プロモーションを単なる「宣伝」で終わらせず、企業全体の価値向上(ProductやPriceの改善)へとつなげる唯一の架け橋になるからです。
私たちは、開発部門のようにソースコードを書くことはできません。
経営陣のように価格を一存で決めることもできません。
※経営陣も別に一存で決めてはいないと思いますが。
しかし、私たちには他のどの部署にも負けない、最強の武器があります。
それは、「誰よりも市場(マーケット)を見て、誰よりも顧客とコミュニケーションを取っている」という事実です。
個人的には、営業より顧客を理解している状態を日々目指しています。
かなり難易度高いですが、毎日顧客と接触している営業担当と同等かそれ以上に顧客を理解できれば、見えるものや取れる択が大きく変わると思っています。
顧客と一番会話しているのは誰か?現場の声を製品にフィードバックする使命
企業の中で、最も多く顧客との「接点(タッチポイント)」を持っているのは誰でしょうか?
営業担当者でしょうか?
もちろん彼らも直接会話をしていますが、接することができるのは「商談」というフェーズに進んだ一握りの顧客だけです。
では、まだ商談に至っていない潜在顧客、過去に失注してしまった顧客、さらには自社のサービスを知ったばかりの無関心層まで含めて、広くコミュニケーションを図っているのは間違いなく私たちマーケティング担当者です。
私たちは、メルマガを配信し、Webサイトのアクセスを解析し、広告の反応を見ることで、日々何万人もの顧客と擬似的な「対話」をしています。
※「対話」については宇田川元一さんの『他社と働く』がおすすめです。
いつか記事にもしたいです。
「この機能訴求より、この課題解決のメッセージの方がクリックされた」
「この価格帯のキャンペーンを打った時だけ、極端に反応が良かった」
「最近、このキーワードでの検索流入が急増している」
これらの情報は、市場が今何を求めているのか、自社のProductやPriceが市場とどうズレているのかを示す、極めて生々しいデータです。
私たちマーケターの本当の仕事は、リードを獲得して営業にパスして終わりではありません。
この最前線で得た一次情報(顧客のリアクション)を、開発部門や経営陣にフィードバックし、製品や価格の改善に活かすことです。
「この機能、顧客には全然響いていません。こちらの課題解決にシフトしませんか?」
「市場の相場観に対して、今の価格プランは少し壁があるようです。この部分を切り出して別プランにできませんか?」
プロモーションを通じて市場の声を拾い上げ、4P全体に影響を与えていく。
このサイクルを回して初めて、私たちは真の意味で「マーケティングをやっている」と言えるのです。
今日のメルマガの反応は「ただの数字」ではない。
では、その「市場の声」はどうやって拾えばいいのでしょうか。
大掛かりな市場調査やアンケートを実施する予算がなくても、私たちには最高のツールがあります。
それが「メルマガ」です。
以前の記事でも触れましたが、メルマガの素晴らしいところは、送ったその日のうちに「開封率」や「クリック率」という形で結果が返ってくるスピード感です。
しかし、この数字をただ「今日は開封率が15%だった。まあまあだな」と表面的な指標として処理してしまってはもったいない。
開封率やクリック率は、単なる数字ではありません。
「あなたからのメッセージに対する、顧客のリアクション(答え)」なのです。
・Aの機能を紹介したメールより、Bの事例を紹介したメールの方が圧倒的にクリックされた。
⇒ 顧客は機能の豊富さより、自社でどう使えるかのイメージを求めている。
・「効率化」という言葉より「コスト削減」という言葉を使った件名の方が開封された。
⇒ 今の市場は、時間よりお金の課題に対して敏感になっている。
このように、毎回のメルマガ配信を「顧客への小さなアンケート(問いかけ)」だと捉え直してみてください。
以前、『現代人の「HTMLメール疲れ」と、テキストメールの真価』という記事でも書いたように、あえて装飾のないテキストメールで「最近お困りのことはありませんか?」と直接問いかければ、実際に生の声(返信)が返ってくることもあります。
今日のメルマガの反応は、顧客からの貴重なメッセージです。
それを一過性の結果として消費するのではなく、会社の「資産」として蓄積し、次のプロダクト開発や価格戦略へと繋げていきましょう。
プロモーターから、真のマーケターへ
「ブランドリフト」や「第一想起」といった賢そうな言葉を使わなくても、マーケティングの本質は極めてシンプルです。
顧客の解像度を極限まで高め、その課題解決に寄り添い、得られた反応を会社に還元してより良いサービスを作っていくこと。
日々の業務がどれだけプロモーション(リード獲得)に偏っていようと、その根底に「市場の声を拾い、製品にフィードバックする」という意識がある限り、あなたは立派なマーケターです。
私たちは、ただの宣伝マンではありません。
市場と会社をつなぐ、最も重要なコミュニケーションの結節点です。
明日、メルマガの配信ボタンを押すときは、ぜひ「これは市場への問いかけなんだ」と思いながら送ってみてください。レポート画面に表示される数字が、今までとは違った「顧客からの声」に見えてくるはずです。
私たち「ふつうのマーケター」が、本当の意味で会社を変えていく力を持っていると、私は信じています。
メルマガに関する情報の交換のお願い
ここまで長い記事を読んでくださり、本当にありがとうございます。
「うちの会社、開発部門へのフィードバックなんて全然聞いてくれないよ……」
「メルマガの数字、どうやって分析して社内に共有すればいいの?」
「結局、リード獲得の目標に追われてそれどころじゃない!」
そんなリアルなお悩みがございましたら、ぜひ直接お話ししませんか?
私自身、ふつうのマーケターとして現場で悪戦苦闘しながら、社内調整やプロモーション業務に取り組んでいます。
理論だけではない、等身大の実務レベルでの情報交換をしましょう。
もちろん、ツールの営業としてでも結構です。
日程調整はこちら>> ※私とのオンライン面談です。
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