今すぐ始めろ――メールアドレスは「畑」である【連載 MailMarketing AtoZ 第一章】
こんにちは、ブラストメールの滝口です。
前職は出版社のEC担当で、オンラインで本を売る仕事をしていました。
今はその経験を活かしながら、BtoBのマーケターとして自分自身もメールマーケティングを実践する毎日です。たいした実績はありませんが、現場のリアルは人一倍知っているつもりです。
この記事を書こうと思ったのは、メールマーケティングに関する「よくある悩み」が、いつも同じところで詰まっていると気づいたからです。
「メルマガって効果あるんですか?」
「始めたいけど、何から手をつければいいかわからない」
「一応やってるんですけど、開封率が上がらなくて」
「コンテンツのネタが毎回思いつかなくて、気づいたら3ヶ月更新してない」
「配信解除が怖くて、なかなか送れないんですよね」
これ、全部よく聞く話です。というか、私自身も通ってきた道です。
悩みの種類は人それぞれですが、根っこにあるのはだいたい同じで、「メールマーケティングの本質を体系的に理解できていない」ということだと思っています。
断片的な情報はネットにいくらでも落ちていますが、「結局どういう順番で、何を、どうやればいいのか」がまとまって書いてあるものが意外と少ない。
だからこのマガジンでは、全10章でメールマーケティングのイロハをぜんぶ詰め込んでみることにしました。
リストの集め方から始まって、ちゃんと届けるための技術、開封率を上げる件名の作り方、コンテンツのネタ切れ対策、システムの選び方、法律の話、BIMIやGmailアノテーションといった最新トレンドまで。
「これ一冊読めばひとまず全部わかる」というものを目指しました。
「なんの権威でもないお前に何がかけるんだ」と思われるかもしれません。
逆です。
なんの権威でもないから、現場目線の話が書けると思いました。
難しい理論より、明日から使える話を。
自分でやってみた経験と、27,000社以上の活用を見てきたベンダー目線のデータを混ぜながら、できるだけ現場の言葉で書いています。
「ふつうのマーケター」が「ふつうのマーケター」に向けて書いた、メールマーケティングの実践ガイドです。よろしくお願いします。
なお本マガジンはnote創作大賞2026、ビジネス部門に応募しようと思っています。
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第1節 メールマーケティングを「まだ始めていない人」へ
突然ですが、あなたは今、お客さんのメールアドレスを持っていますか?
「持っている」という方、素晴らしいです。
ただ、その名簿は今も活かされていますか?
引き出しの中で眠っていませんか?
「持っていない」という方、これは本当にもったいないです。
まずはメール施策をまだ行っていない人向けに「今すぎ始めるべき理由」を解説していきます。
1-1:なぜ今日始めないと損をするのか
なぜならメールアドレスというのは、集めれば集めるほど資産になっていくものだからです。
今日集めたアドレスは、1年後に送るメールにも使えます。
3年後も、5年後も、使えます。
SNSのフォロワーのように、プラットフォームが変わっても消えない。
リスクのある施策でコストをかけて取ったリードと違って、一度集めたリストはあなたの手元に残り続けます。
逆に言えば、今日始めない人は、今日一日分の資産を積み上げる機会を失っている。
メールリストというのは、とにかく早く始めた人間が勝つ仕組みになっているのです。
私が勤めるラクスライトクラウドという会社は、ブラストメールという老舗のメール配信システムのベンダーです。
10年以上前から、失注顧客のリストに対してコツコツとメルマガを配信し続けてきました。
最初はたいした数ではありませんでした。
でも、オンラインセミナーの台頭やホワイトペーパーの施策などを組み合わせながら積み上げ続けた結果、今では10万件近いリード情報を保有しています。
現在、受注も込みの高い有効リードのうち約10%は、このメール経由で創出されています。
10年という時間は、確かに長い。
でも、あの頃始めていなければ、この10万件は存在しなかった。
始める最適なタイミングは、10年前でした。でも、次に最適なタイミングは、今日です。
1:2 メールアドレスは「腐らない」資産である
マーケティングの世界には、様々な「資産」があります。
SEOで積み上げたコンテンツも、SNSで育てたフォロワーも、広告で獲得した認知も、すべて資産と呼ばれます。
しかし、これらには共通の弱点があります。
それは「管理者がいる」ということです。
Googleがアルゴリズムを変えれば、昨日まで1位だったページが一夜にして圏外に飛びます。
実際にこういった経験をした方は、マーケターであれば一度や二度ではないと思います。
私自身、広告の管理画面から出てくる「最適化のアドバイス」に乗っかって、余計なお金を使ったことが何度あったかわかりません。(これは本当にめちゃくちゃ悔しい。)
Instagramのリーチが突然激減したという話もよく聞きます。
昨日まで1万インプレッションあったのに、アルゴリズムの変更で急に2,000になった。
あるいは、アカウントが突然凍結されて、数年かけて育てたフォロワーが一瞬でゼロになった。
これは決して他人事ではありません。
また、弊社のようなメルマガのサービスに問い合わせてくる人の中には、LINE公式アカウントで配信コストが合わなくなったという話も最近よく耳にします。
リーチできる人数が増えれば増えるほど、通数課金の費用が膨らんでいく。
マーケティングが成功しているはずなのに、なぜかコストだけが上がっていく不思議な構造です。
では、メールアドレスはどうでしょうか。
あなたが集めたメールアドレスのリストは、どのプラットフォームも管理していません。
Googleも、Metaも、LINEも、そのリストには一切関与できません。
あなたのサーバー、あるいはメール配信システムの中に、あなたの資産として静かに存在し続けます。
アルゴリズムは関係ない。凍結もない。通数課金もない。
メールアドレスは腐りません。
古くなることはありますが、それは使いながら整理すればいい。集めたリストは、どこにも消えずにあなたの手元に残り続けます。
これが、メールリストが「資産」と呼ばれる所以です。
1:3 SNSフォロワーとメールリストの決定的な違い
ここで一度、整理しておきたいと思います。
SNSのフォロワーとメールリスト、どちらも「顧客との接点」という意味では同じように見えます。しかし、この二つには決定的な違いがあります。
それは「所有権」の問題です。
SNSのフォロワーは、あなたのものではありません。
正確に言えば、そのプラットフォーム上でのフォロワーであり、プラットフォームが存続している間だけ、あなたはそのフォロワーにアクセスできます。
プラットフォームが方針を変えた瞬間、あるいはアカウントが何らかの理由で制限を受けた瞬間、その接点はあなたの手から消えます。
一方、メールリストは違います。
メールアドレスという情報そのものを、あなたが管理しています。
特定のプラットフォームに依存していない。だから、何年経っても、どんな外部環境の変化が起きても、そのリストはあなたの手元にあり続けます。
もう一つ、重要な違いがあります。
それは「届き方」の違いです。
SNSの投稿は、タイムラインというフィルターを通過しなければ読者に届きません。
アルゴリズムが「この投稿は価値がある」と判断しなければ、フォロワーのタイムラインに表示されない。
つまり、どれだけ良いコンテンツを作っても、アルゴリズムに評価されなければ存在しないも同然です。
メールは違います。
迷惑メールに判定されさえしなければ、送ったメールは受信フォルダに届きます。
Googleの気分には左右されない。Metaの方針には影響されない。
(厳密にいえばプロモーションタブに入るのはコントロールできませんが)
あなたが送ったメールは、読者の受信トレイに着地します。
読むか読まないかは読者が決めますが、少なくとも届く。
これが、メールというチャネルの揺るぎない強みです。
SNSをやめろとは言いません。
ただ、SNSだけに頼るのは危うい。メールリストという、あなた自身が所有できる資産を、並行して育てていくことが、長期的に安定したマーケティングの基盤になります。
第2節 「準備が整ってから」は永遠に来ない
「メールマーケティングを始めたい」と思いながら、なかなか始められない人には、だいたい共通した理由があります。
「もう少しリストが集まってから」
「テンプレートを整えてから」
「コンテンツの方向性を決めてから」
「デザインをちゃんとしてから」
気持ちはよくわかります。
何かを始めるときに、完璧な状態で臨みたいと思うのは、ごく自然な感覚です。
わたしは割と見切り発車タイプの人間なので、あまりこういったことはないのですが、世の中にはきっかけが必要な人は多いですよね。
しかし、そのきっかけは永遠にきません。
先延ばしにする理由はいくらでも作れてしまうからです。
2-1 完璧な初回配信より、荒削りな今日の一通
改めてはっきり言います。
メールマーケティングにおいて、「完璧な準備ができた状態」というのは永遠に来ません。
なぜなら、メールマーケティングは送り始めてからしか学べないことだらけだからです。
どんな件名が開かれるのか、どんなコンテンツがクリックされるのか、どの曜日・時間帯に送ると反応がいいのか。
これらはすべて、実際に送ってみて、結果を見て、次に活かすことで初めてわかることです。
準備している間は、何も学べていません。
荒削りな一通を送ることで、一つ学べます。
それが積み重なって、あなたのメールマーケティングは育っていきます。
完璧な初回配信より、荒削りな今日の一通の方が、圧倒的に価値があります。
2-2 リストは送りながら育てるもの
「リストが少ないから、もう少し集まってから始めよう」という声もよく聞きます。
これも、よく理解できる気持ちです。
10人や20人に向けて送るメルマガに意味があるのか、という疑問は自然です。
でも、考え方を逆にしてみてください。
10人に送り始めた人が1年後に1,000人のリストを持っている一方で、「もう少し集まってから」と思っていた人は1年後も同じ状態でいることが多い。
リストは集まってから送るものではなく、送りながら集まっていくものです。
メルマガを発行しているという事実が、新たな読者を集める磁石になります。
「メルマガやってるので、登録してください」という会話が生まれる。
コンテンツが充実していれば、読者が口コミで広めてくれることもある。
そして、もう一つ重要なことがあります。
小さなリストで試行錯誤しておくことには、大きな価値があります。10人のときに学んだことが、1,000人になったときに活きてくる。
小規模なうちに失敗しておく方が、ダメージが少ないし、学びが深い。
リストが少ないことは、始めない理由にはなりません。少ないリストで始めて、送りながら育てていく。
それがメールマーケティングの正しいスタートの仕方です。
2-3 最初の100件をどう集めるか
では、具体的にどこから始めればいいのか。
ここは読者の状況によって変わりますので、三つに分けてお伝えします。
BtoBビジネスの場合:名刺を掘り起こせ
BtoBの方に一番最初にやってほしいのは、名刺の棚卸しです。
展示会で集めた名刺、商談で交換した名刺、セミナーでもらった名刺。
これらはすべて、潜在的なメール配信先です。
すでに何らかの接点がある人たちなので、全く知らない相手にいきなり送るよりも受け入れてもらいやすい。
デジタル化していない名刺であれば、まず入力するところから始めましょう。
面倒に感じるかもしれませんが、これが今あなたにある最も確実な資産です。
もちろん、特定電子メール法に基づく同意の確認は必要ですが(詳しくは第9章で説明します)、ビジネス上の関係がある相手への情報提供という文脈で、丁寧に案内すれば多くの方に受け入れていただけます。
BtoCウェブの場合:登録導線を今すぐ作れ
ECサイトやウェブサービスを運営している方は、メルマガの登録フォームをサイト内に設置することから始めてください。
ポイントは「設置する場所」です。
サイトのフッターに小さく置いてあるだけでは、ほとんど誰も気づきません。
トップページの目立つ場所、商品ページの下部、購入完了画面など、ユーザーの視線が集まる場所に登録導線を置くことが重要です。
また、登録のハードルを下げる工夫も有効です。
「登録者限定クーポン」
「会員限定情報」
「先行セール案内」など、登録することのメリットが明確に伝わると、登録率は上がります。
BtoC店舗の場合:その場で登録させろ
店舗ビジネスの方に最もお勧めしたいのは、「その場で登録してもらう」という体験設計です。
実際に、ブラストメールを導入していただいている自然派化粧品ブランド・ハウスオブローゼさんは、リスト0件からスタートしています。
やったことはシンプルで、レジの前やウェイティングルームにメルマガ案内のPOPを置き、スタッフがお客さまに口頭で案内する、というものでした。
それだけで、プランアップが必要になるほどの会員数を獲得しています。
お客さまが来店している「その瞬間」は、ブランドへの関心が最も高い瞬間です。その熱量があるうちに登録してもらう。
後で「ウェブサイトから登録してください」ではなく、「今すぐここで」という設計が、店舗ビジネスでのリスト収集の鉄則です。
第3節 メールアドレスの集め方、今日できること
登録フォームを設置したとしても、それだけでは不十分なことがほとんどです。
ユーザーは思ったよりもフォームに気づきません。
だから、「見つけてもらう」のではなく「自然と目に入る」設計が必要です。
3-1 ウェブサイト・ECサイトでの収集導線
まずは、以下の場所への設置を検討してみてください。
ヘッダーやナビゲーション内への設置は、すべてのページから目に触れるという意味で効果的です。
「メルマガ登録」というシンプルなリンクひとつでも、あるとないとでは大きく違います。
ポップアップも有効な手段です。
サイトに訪問して一定時間が経過したタイミング、あるいはスクロールが一定量進んだタイミングで表示するポップアップは、ユーザーの視線を確実に引きつけます。
ただし、表示のタイミングと頻度には気をつけてください。
訪問直後に出てくるポップアップは、体験を損なうことがあります。
購入完了画面やサンクスページも、絶好の設置場所です。
購入してくれたお客さまは、あなたのブランドへの関心が最も高い状態にいます。「今後もお得な情報をお届けします」という案内を入れるだけで、登録率は大きく変わります。
3-2 SNSからメールリストへの誘導
SNSとメールは、対立するものではありません。
組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合えます。
SNSが得意なのは、新しい人との出会いです。
まだあなたのことを知らない人に、コンテンツを通じてリーチできる。
一方で先ほど述べたように、SNSのフォロワーはあなたの資産ではありません。
だから、SNSで出会った人をメールリストに移行させることが重要です。
プロフィールのリンクにメルマガ登録ページのURLを設置する。投稿の中で「詳細はメルマガで配信します」と案内する。
フォロワー限定のプレゼントをメルマガ登録の特典にする。こうした施策を組み合わせることで、SNSの拡散力とメールの資産性を両立させることができます。
SNSを入口に使い、メールリストに着地させる。この導線を意識するだけで、あなたのマーケティングの強度は大きく変わります。
3-3 リアル接点(店舗・イベント・名刺)からの収集
最後に、オフラインの接点を見落とさないでほしいということをお伝えしたいと思います。
マーケティングのデジタル化が進む中で、「リアルの接点からメールアドレスを集める」という発想が薄れてきている気がします。
でも、リアルの接点は非常に強力なリスト収集の場です。
展示会や勉強会、セミナーなどのイベントに参加したとき、あるいは来場者として来てくれた人は、テーマに関心があってその場にいる人たちです。
関心度が高い分、メルマガの登録率も高くなりやすい。
その場でQRコードを使った登録案内を行うだけで、良質なリストが積み上がっていきます。
店舗の場合は、先ほどの事例の通りです。
スタッフが一言案内するだけで、結果は大きく変わります。
名刺交換も同様です。
もらった名刺をただ管理するだけでなく、「この方にもメルマガをお送りしてよいか」という確認をするだけで、リストは着実に育っていきます。
オンラインとオフライン、どちらの接点も無駄にしない。
それが、メールリストを着実に積み上げていくための基本的な考え方です。
第1章のまとめ
メールアドレスのリストは、プラットフォームに依存しない、あなた自身の資産
SNS・SEO・LINEと違い、アルゴリズムに左右されずに届けられる
始める最適なタイミングは「今日」。完璧な準備を待つ必要はない
リストは集まってから送るのではなく、送りながら育てていくもの
BtoB・BtoC(ウェブ)・BtoC(店舗)それぞれに、今日からできる第一歩がある
無料相談受付中
ここまで、長い記事を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
メールマーケティングに関するリアルなお悩みがございましたら、ぜひ直接お話ししませんか?
私自身、ふつうのマーケターとして現場で悪戦苦闘しながらマーケティングに取り組んでいます。
理論だけではない、実務レベルでの等身大の情報交換したいと思っています。
日程調整はこちら>>
※私とのオンライン面談です。
第2章へ続く
