Webサイトを新しくしたのに、なぜ何も変わらないのか。
「Webサイトが古くなってきたので、そろそろリニューアルしたいんです」
企業の方から、よくいただく相談の一つです。
スマートフォンで見づらい。
デザインが古い。
情報も数年前のまま。
競合他社のサイトと比べると見劣りする。
たしかに、それならリニューアルした方がいいかもしれません。
ただ、私たちはWebサイトの相談を受けたとき、すぐにデザインやページ構成の話を始めることはあまりありません。
その前に、いくつか確認したいことがあります。
「これから、どんなお客様を増やしたいですか?」
「そのお客様は、なぜ御社を選ぶのでしょうか?」
「いま営業では、どんな話をすると受注につながっていますか?」
「Webサイトを見た人に、その後どう行動してほしいですか?」
こうした話をしていくと、最初は「Webサイトの問題」だと思っていたものが、実は違うところにあることがあります。
Webサイトを新しくしても成果が変わらない会社では、Webサイトより上流の設計が曖昧なことが少なくありません。
Webサイトだけを考えても、良いWebサイトはつくれない
Webサイトのリニューアルを考えるとき、多くの場合は制作会社に相談します。
すると、
「デザインを今風にしましょう」
「SEOを強化しましょう」
「導線を改善しましょう」
「CMSを入れて更新しやすくしましょう」
といった話になります。
どれも間違いではありません。
制作会社はWebサイトをつくる会社なので、Webサイトについて提案するのは当然です。
ただ、少し考えてみてください。
そもそも、
誰に見てもらいたいのか。
その人に、何を伝えたいのか。
なぜ競合ではなく自社を選んでほしいのか。
ここが決まっていない状態で、本当にWebサイトの構成を決められるでしょうか。
見た目はきれいになる。
ページも整理される。
写真も新しくなる。
それでも問い合わせは増えない。
営業の商談も変わらない。
数年後には、
「やっぱりWebサイトが良くないのではないか」
と、また作り直す。
そんなことが起きてしまいます。
問題は、Webサイトのデザインではなかったのかもしれません。
Webサイトは「事業戦略と営業」を市場に実装する場所
私たちは、BtoB企業のWebサイトを考えるとき、次の3層で整理しています。
事業戦略 → 営業設計 → Webサイト
まず一番最初に考えるのが、事業戦略です。
誰に対して、何を提供し、なぜ自社が選ばれるのか。
次にあるのが、営業設計です。
その顧客とどこで出会い、何を伝え、どのように相談や商談につなげるのか。
そして、その一番最後にWebサイトです。
つまりWebサイトは、
事業戦略と営業設計を、顧客が自分で理解できる形に実装する場所
だと考えています。
順番が逆になると、うまくいきません。
Webサイトを作ってから、
「さて、誰に見てもらおうか」
「何を売ろうか」
「どう問い合わせにつなげようか」
と考えるのでは遅いのです。

「会社案内」を作ってしまうと、問い合わせは生まれにくい
BtoB企業のWebサイトを見ると、
会社概要。
沿革。
設備紹介。
製品一覧。
採用情報。
お問い合わせ。
という構成をよく見かけます。
もちろん、必要な情報です。
ただ、これは企業側が「伝えたい情報」を並べた会社案内になりやすい。
一方、お客様が知りたいのは、
「自分たちのこの課題を解決できるのか?」
「他社との違いは何なのか?」
「この会社なら相談しても大丈夫なのか?」
ということです。
つまり、会社側の情報を並べるだけではなく、
顧客の課題から逆算して情報を設計する必要があります。
第2話では、
技術価値 → 顧客価値 → 選択理由
という話を書きました。
どれだけ優れた技術があっても、その技術が顧客にとってどんな価値になるのかまで翻訳しなければ、選ばれる理由にはなりません。
Webサイトは、その「翻訳した価値」を顧客へ届ける場所です。
だから、価値の整理ができていない状態でWebサイトだけ作り直しても、掲載される内容は結局、
「高品質」
「短納期」
「豊富な実績」
「お客様第一」
のような、どこかで見た言葉になってしまいます。
問題は「情報がない」ことではなく、「並び方」にあることも多い
Webサイト改善の相談を受けていると、
「サイトに情報が足りない」
と思われていたものの、実際には必要な情報自体はすでに存在しているケースがあります。
営業資料に書いてある。
社長はいつも商談で話している。
営業担当者はお客様からよく聞かれている。
長年のお客様は、自社の良さを理解してくれている。
つまり、会社の中には材料がある。
問題は、それが、
顧客が知りたい順番で整理されていない。
あるいは、
顧客が理解できる言葉に翻訳されていない。
ことです。
だから私たちは、Webサイトを考えるときに、いきなりページ構成を作るよりも先に、
「お客様は何に困っているのか」
「そのとき営業は何を説明しているのか」
「どの話をすると、お客様の反応が変わるのか」
を聞いていきます。
そこに、本当にWebサイトへ載せるべき情報が眠っているからです。
Webサイトは、営業の勝ちパターンを再現するもの
BtoB企業では、今でも営業担当者の力が非常に重要です。
だからこそ、Webサイトを営業と切り離して考えるべきではありません。
優秀な営業担当者が、どんな順番で話しているのか。
どんな質問をしているのか。
どんな事例を紹介しているのか。
何を伝えたときに、お客様が安心するのか。
そうした営業現場で培われてきた勝ちパターンを、Webサイトにも実装する。
これがBtoB企業のWeb活用では重要です。
Webサイトを、営業と別のものとして考えない。
Webサイトを、営業の前工程として考える。
そうすると役割が変わります。
「会社を紹介するサイト」から、
「見込み客が商談前に、自社を理解してくれるサイト」
になるからです。
営業担当者が初回商談で毎回30分かけて説明していたことを、Webサイトを見た段階である程度理解してもらえる。
そうなれば、商談ではもっと深い話から始められます。
これも立派な営業生産性向上です。
リニューアルの前に、3つだけ話してみてください
もし今、
「そろそろWebサイトをリニューアルしよう」
という話が社内で出ているなら、制作会社へ見積もりを依頼する前に、一度だけ社内でこの3つを話してみてください。
1.これから、どんな顧客を増やしたいのか
既存顧客ではなく、これから増やしたい会社像を考えます。
2.その顧客は、なぜ自社を選ぶのか
自社の言いたい強みではなく、お客様から見た「選ぶ理由」を考えます。
3.Webサイトを見たあと、どう営業・受注につなげたいのか
問い合わせなのか、資料請求なのか、商談なのか。
営業プロセスまでつなげて考えます。
もし、この3つについて経営・営業・マーケティングで答えが違うなら。
そのズレを整理することが、Webサイトリニューアルの本当のスタートかもしれません。
Webサイトは最後につくる
もちろん、古いWebサイトを放置していいという話ではありません。
スマートフォンへの対応も必要ですし、デザインも大切です。
SEOも、導線設計も、更新性も重要です。
でも、それらはすべて手段です。
先に必要なのは、
誰に選ばれたいのか。
なぜ選ばれるのか。
どうやって営業につなげるのか。
その構造を決めること。
そのうえでWebサイトをつくる。
事業戦略 → 営業設計 → Webサイト。
この順番で考えると、Webサイトは単なる「会社案内」ではなくなります。
会社の強みや営業の勝ちパターンを、市場へ届け続ける仕組みになる。
「Webサイトを作る」ことを目的にするのではなく、
選ばれる会社の仕組みをつくる。
その結果として、Webサイトがある。
私たちは、その順番を大切にしています。

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