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家族が突然倒れた。まず最初に何をする?

【救急車を呼ぶ前に、あなたにできること】

さっきまで普通に話していた家族が、突然目の前で倒れた。
名前を呼んでも返事がない。
こんな状況になったら、冷静でいられる人のほうが少ないと思います。

「救急車を呼ばなきゃ」
「何が起きたの?」
「動かしていいの?」
「心臓マッサージって、もう始めるの?」

いろいろなことが一気に頭に浮かぶかもしれません。
でも、最初から病気の原因を当てる必要はありません。
大切なのは、

①反応を確認する
②119番通報する
③呼吸を確認する

④必要なら胸骨圧迫を始める

この流れです。

今回は、家族や身近な人が突然倒れたときに「まず何をすればいいのか」を、一般の方向けに説明します。


① まず、周囲が安全か確認する

倒れている人を見つけると、すぐに駆け寄りたくなります。
でも、その前に一つだけ確認してください。

「自分が近づいても安全か?」

たとえば道路上、火災、感電の危険がある場所などでは、助けに行った人まで負傷してしまう可能性があります。
自分の安全を確保したうえで、傷病者に近づきます。


② 肩をたたきながら、声をかける

倒れている人の両肩をやさしくたたきながら、

「大丈夫ですか?」
「わかりますか?」

と3回くらい声を段々と大きくしながら声をかけます。
反応がなければ、緊急性が高い状態として行動します。
ここで大切なのは、原因を考え続けないことです。

「寝ているだけかも」
「貧血かな?」
「少し待てば起きるかも」

そう考えている間にも、時間は経過します。
呼びかけても反応がない場合は、119番通報につなげてください。


③ 119番通報する


周囲に人がいる場合は、

「あなたは119番してください」

と具体的にお願いします。
その人が来ている服装などを指定して、

「青のコートを着ているあなた、119番通報してください」

などとお願いすれば、「自分が頼まれたんだ」といういしきを持ってもらえてスムーズかもしれません。
AEDがありそうな場所なら、

「あなたはAEDを持ってきてください」

と別の人に依頼します。
一人しかいない場合は、自分で119番通報します。
スマートフォンならスピーカー機能を使えば、通信指令員と話しながら傷病者の対応をすることもできます。

「何をすればいいかわからない」

そんなときも、119番の通信指令員から必要な応急手当について口頭で指導を受けられます。
完璧に説明しようとしなくて大丈夫です。

「家族が突然倒れました。呼びかけても反応がありません」

まずは、それを伝えてください。


④ 呼吸を確認する


次に重要なのが「普段どおりの呼吸をしているか」です。
胸やお腹の動きを見て、10秒以内で確認します。
ここで注意してほしいことがあります。
心停止直後には、

「しゃくりあげるような呼吸」
「途切れ途切れの呼吸」
「口をパクパクするような呼吸」

が見られることがあります。

これは死戦期呼吸と呼ばれ、正常な呼吸ではありません。

「呼吸しているから心停止ではない」と判断してしまうと、胸骨圧迫の開始が遅れる可能性があります。
普段どおりの呼吸がない、または判断に迷う場合は、心停止として胸骨圧迫を開始します。


⑤ 普段どおりの呼吸がなければ、胸骨圧迫


胸の真ん中に手を置き、胸骨圧迫を始めます。
成人の場合の目安は、

・胸の真ん中
・約5cm沈む強さ
・1分間に100〜120回
・圧迫するたびに胸を元の位置まで戻す

です。

「肋骨が折れたらどうしよう」

と心配になる人もいると思います。
しかし、心停止している人にとって最優先なのは、脳や心臓などに血液を送り続けることです。
怖くても、まず胸骨圧迫を続けてください。


⑥ AEDが届いたら、電源を入れる


AEDが到着したら、まず電源を入れます。
あとはAEDの音声案内に従ってください。
電極パッドを表示どおり胸に貼ると、AEDが心電図を解析し、電気ショックが必要かどうかを判断します。

「自分が間違ってショックしてしまうのでは?」

と心配する必要はありません。
AEDは、電気ショックが必要な心電図かどうかを機器が解析します。

電気ショック後、または「ショックは不要です」と指示された後は、AEDの案内に従って胸骨圧迫を再開します。



「倒れた=すぐ胸骨圧迫」ではありません。

ここは大切です。
人が倒れる原因は心停止だけではありません。
失神、脳卒中、けいれん、低血糖など、さまざまな原因があります。

そのため、

倒れた

反応を確認

反応がない

119番・AED

呼吸を確認

普段どおりの呼吸がない/判断できない

胸骨圧迫


という流れを覚えておいてください。



「普段通りの呼吸がある場合は?」

反応がなくても、普段どおりの呼吸をしている場合があります。
この場合は、呼吸の状態を継続して観察しながら救急隊を待ちます。
嘔吐などによる窒息の危険がある場合には、可能であれば傷病者を横向きにする「回復体位」も選択肢になります。
ただし、状態は変化する可能性があります。
「さっき呼吸していたから大丈夫」ではなく、救急隊が到着するまで呼吸を繰り返し確認してください。
普段どおりの呼吸がなくなった、または判断できなくなった場合は、胸骨圧迫を開始します。



救急隊が来るまでに、余裕があれば、胸骨圧迫などの応急手当が必要な場合は、そちらが最優先です。

そのうえで家族など別の人が動けるなら、

・玄関の鍵を開ける
・救急隊を誘導する
・お薬手帳や服用している薬を準備する
・持病やアレルギーを確認する
・倒れた時刻や最後に普段どおりだった時刻を確認する

といった準備も役立ちます。

特に、「いつ倒れたのか」「最後に普段どおりだったのは何時か」は重要な情報になることがあります。
ただし、これらの準備のために119番通報や胸骨圧迫を遅らせてはいけません。



「何の病気か」を考えるより、まず行動することが大切です。

突然家族が倒れたとき、

「脳梗塞?」
「心筋梗塞?」
「くも膜下出血?」

と原因を考えてしまうかもしれません。

もちろん原因を突き止めることは、その後の治療では重要です。
でも、その場に居合わせた人が最初にするべきことは、診断ではありません。

反応はあるか。
普段どおりの呼吸はあるか。
119番通報はしたか。
必要なら胸骨圧迫を始めたか。

まずはここです。



(最後に)

家族が突然倒れたとき、怖くない人はいないと思います。
だからこそ、すべてを覚えようとしなくても構いません。
まず覚えてほしいのは、

「反応がなければ119番。普段どおりの呼吸がなければ胸骨圧迫。」

そして、迷ったら119番の通信指令員の指示を聞いてください。
救急隊が到着するまでの数分間、その場にいるあなたの行動が、その人の命につながることがあります。

この記事を読んだ今、一度だけでも、

「もし家族が目の前で倒れたら、自分はどう動くか」

をイメージしてみてください。
いざというとき、そのイメージが最初の一歩につながるかもしれません。



※この記事は、総務省消防庁「応急手当WEB講習」および日本蘇生協議会(JRC)の蘇生ガイドライン等を参考に、一般の方向けにまとめたものです。実際の緊急時には119番通報を行い、通信指令員や救急隊の指示に従ってください。

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