#228 ANSWER〜GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE〜@京セラドーム大阪 ライブレポ
あの京セラドーム大阪での祝宴からそろそろ2ヶ月が経とうとしている。
ライブの余韻の浸り方は人それぞれ、色々あると思う。例えばその日のセットリストをプレイリストに組んで追体験する人もいるだろうし、特に印象に残った曲を何度も聴き返したい…そういう人もいる。個人的にはこれらのタイプとは逆のパターンで、アーティストの圧巻のライブを生で体験したら暫くはそのアーティストの曲を聴きたくない。あの日会場で浴びた同じアーティスト、同じ曲から自分の耳の記憶を上書きしたくないのだ。大体1ヶ月ほどは我ながらよく徹底している。例えばメンバーのラジオを聴く時も曲の部分は飛ばすほどに。
その分、あの日の記憶から遺る感想に、自分にとって「GLAYとはなんぞや?」なるものの答えを自分なりに考えてみようとした。答えを探そうと考えて考えてみた結果、その答えはその文字そのままなのかもしれない。「GLAYは答えをくれるバンド」──あの夜は今、自分の中でそう溶けている。
ライブから少し日付は経ってしまったが、この7月31日…即ちGLAYの日に合わせて、2025年6月8日に京セラドーム大阪で行われた「GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE」のライブレポなるものを書いていきたいと思う。
【GLAY30周年記念特集ということで様々な記事をまとめております。是非に!】
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【オリジナルアルバム出してみました!だいぶGLAYさんの影響を受けたもの多々……聴いてみてくださいませ。】
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GLAYの京セラドーム大阪は見たことなかった。俺がGLAYのライブに行けるようになった時には出禁にされてたので。20年以上にも及ぶ悲願ですわ。#GLAY#GLAY京セラドーム#GLAYEXPO pic.twitter.com/RjxS4G5D56
— RK-3 (@blueblack_gblue) June 8, 2025
という訳で入場。
今回のドーム公演は東京ドームでも行われたが、東京ドームとはステージセットが大きく変更されてセンターステージ型となっていた。
GLAY、デビュー30周年イヤーを京セラドーム大阪で完走! TERU「叶う夢ばかりじゃないが、僕らは確実に一個一個夢を叶えてきた」【オフィシャルレポート】https://t.co/nq1odYa082#GLAY #glay京セラドーム pic.twitter.com/jh5YTf1Iva
— ぴあ 音楽編集部 (@OngakuPia) June 16, 2025
尾田栄一郎氏のキービジュアルをモチーフにしたセットは中央のステージから四方向に矢印が向く。個人的にメインステージがなく、センターステージオンリーのライブは初めてだったので不思議な感じ。一応それぞれの方向にメンバーが1人メインポジションとして据えられており、私の座席はJIRO側のスタンド上段(三塁側)。
ちなみにメンバーは写真手前側の矢印の方向のところから入退場していたので、矢印が微妙に「入口/出口こちらになります」みたいなシュールな感じになっていたという…。
さて、コミカルなオープニング映像を経て1曲目である。
このライブは常々「ベスト選曲」「あんまり知らない人でも楽しんで帰れる選曲」と公言されていた。その言葉通り「京セラドーム!熱く行こうぜー!」のTERUの雄叫びから続けてファンなら"次に来る音"が一発でわかる決め台詞「COME ON!! TOSHIー!!!!」が木霊する。空間に打ち込まれていくようなドラムから放たれるはいきなりの『誘惑』。もはやいきなり出てくる最強打者、1番大谷翔平みたいなもん。一発目の誘惑にはそれだけのパワーがある。当然、ライブは基本的にアリーナだとか近い位置から見たいものだが、この曲に関してはむしろスタンドの上の方から、誰もが知るサビで渦巻く人の波を見ることが一番気持ちいいのかもしれないとも思ったりする。ホイップクリームのような見慣れた天井と同じ視界に入る夢にまで見た光景にただただ心を満たしていた。
2曲目は『嫉妬』。不穏なSEから始まるロックナンバーは、誘惑が名刺がわりのそれなら嫉妬はファンが推すタイプのロックナンバー。かつて鬼龍院翔が「親に紹介できるヴィジュアル系」と評したように爽やかなイメージが強そうなGLAYの周年が『誘惑』『嫉妬』という艶やかなロックナンバーから始まるというのも魅惑的な流れである。
思い返せば、自分が初めて行ったライブの1局目、初めて聞いた生のGLAYも誘惑だった。あの時は小学1年生。それが28歳にもなりましたか。そして嫉妬は2001年に発売されたONE LOVEの核となった楽曲であり、自分にとっては初めての"GLAYの新曲"だった。時代が変われども、作品はいつもその輪郭をそれぞれの思い出のままで持ち続けているのだと改めて思う。
そして同時に、嫉妬は24年前に行われた大阪ドームでのライブでキーとなった楽曲だった。嫉妬は元々人気曲だしそういう背景がなくてもセトリに入っていた可能性は十分にあるから深読みしすぎかもしれないが、出禁を喰らったあの日から、出禁が解けた今日を結ぶ曲としての意味合いが強かったようにも思う。
最初のMCに入る。
東京ドーム公演の際、TAKUROは「今までファンがGLAYを守ってくれたからここまで来た」という主旨のMCからファンに対して「今日から皆GLAYだ!!」というMCを行った事がファンの間で話題になった。それを踏まえての事だろう。最初のMCでTERUが「GLAYのみなさんようこそ!!」と叫ぶ。
…ドーム内が微妙にポカンとした空気に包まれる。私は東京ドームでのTAKUROのMCを知っていたので主旨を把握できたが、冷静に考えればTAKUROのMCを把握していないとTERUが何を言っているのかさっぱりわからない。一緒に行った人はその辺りの情報を入れていなかったので案の定「???」の顔をしている。厳密に言えば、大阪公演だけ訪れたファンはTAKUROからまだGLAYと言われてないのでGLAYじゃない。某誌のライブレポに至っては「少々奇怪な挨拶」とまで書く始末。グラマラスなロックナンバーの流れでこのMCをできてしまう辺りも如何にも「我らがGLAY」である。
このMCからは『生きてく強さ』『グロリアス』という王道も王道な流れが続く。生きてく強さに関しては相変わらずTAKURO独壇場。「ズィロウチャンッッッッ」はもはや歌詞だと思ってる。そして2編に分けて行われたメドレーの前半戦では『シキナ』『STREET LIFE』『Missing You』『都忘れ』『MIRROR』とファン投票でも上位に入った人気曲が並んだ。メドレーゆえにそれぞれの楽曲は一部をカットするアレンジが加えられていたので「この曲はAメロこそ聴きてえんだがなあ…」と思った部分もあるにはあったが、Missing Youに関してはTAKUROとJIROのイントロのアンサンブル→TAKUROのコーラスからそのままサビに入るアレンジがすこぶるカッコよかった。リミックスCDとか出すなら是非あの形で入れて欲しい。このメドレーパート、特にSTREET LIFEとMIRRORには必ずしも幸せばかりの30年ではない道を歩いてここまで来た事が滲み出ていたし、都忘れを含めたこの3曲は周年だからこそ染み渡る歌なのだろう。
ここからはある種の"企画ゾーン"。JIRO曰くこのゾーンの前後のTERUの負担が大きい事も加味したそうだが、HISASHIとJIROのユニット曲『BLACK MONEY』とTAKUROのアレンジ段階のデモ曲『NEVER-ENDING LOVE』、サポートピアニストの村山☆潤によるピアノソロと映像の上映が行われた。30周年記念のドームライブでボーカル以外が全員メインボーカルやるというのも中々である。
BLACK MONEYは段々「周年にやる歌」みたいなポジションに落ち着きつつあるが、今回は間奏のアレンジが微妙に変わっていたのもまた面白い。そしてTAKUROによるNEVER-ENDING LOVEである。GLAYやファンへの熱情を余すところなく伝え(東京公演のMC全文。大筋の内容は同じです)、その言葉から弾き語られた未完成の楽曲は理屈より魂に訴えかけてくるものがあった。他のメンバー3人を「憧れ」と讃え「リーダーとして群れを守らないとって凄い強がっていたけど、全然守れていなくて」とMCでTAKUROは謙遜するが、奇しくもこの一曲目、HISASHIとJIROによるBLACK MONEYという自由極まれりな楽曲をドームでやっている姿こそ、その場所を作り、守ってきた男がいる事の証明だったと思う。BLACK MONEY→NEVER-ENDING LOVEの流れを見ながらしみじみと感じたりもする。
30年を振り返る特別ムービーが流れた後は大型バラードゾーン。『軌跡の果て』『つづれ織り〜so far and yet so close〜』『pure soul』と畳み掛けてくる。特に『軌跡の果て』は圧巻そのものだった。もしこの世に"絶唱"なるものがあるとすればそれはこの事を言うのだろう。30年の軌跡を見て、その輝かしく美しい映像とはある種対照的な苦味と葛藤…。それはもう、稚拙な文字では表現し難いものでさえあった。
『軌跡の果て』『つづれ織り〜so far and yet so close〜』『pure soul』という大バラード3連発を終えると、荘厳な雰囲気からは少し砕けた後半戦に入る。
FM802の生中継も入った状態で繰り出されたメドレー後半はまさしくヒットパレード。『BE WITH YOU』『ここではない、どこかへ』『とまどい』『SPECIAL THANKS』『春を愛する人』が一気に畳み掛けてくる。ピアノを弾くTAKUROも拝む事ができた。個人的には、このライブのセトリはベストアルバム発売に際して行われたファン投票をベースにすると思っていたので、ここではないどこかへの鋭いHISASHIのギターリフが鳴り響いた時には予想外かつ痺れた。ヒット曲の割にはレア曲だったりするので…。そしてなんと言っても春を愛する人の大団円感は実に素晴らしい。独断と偏見が許されるならば、日本で最も美しい歌詞は『春を愛する人』と『大きな玉ねぎの下で』だと思っている。何気にJIRO氏、結構こっちの華道にぶんぶん来てくれるの嬉しい。
ここからがアップテンポな後半戦らしいゾーン。初披露となる曲を除けばこのライブでは唯一近々の楽曲として演奏された『BRIGHTEN UP』を皮切りに、ライブではお馴染みの『彼女の"Modern..."』からファン投票で後期1位を獲得した『疾走れ!ミライ』に続く。
おそらくこのライブがややミドルテンポな楽曲中心だったり『SHUTTER SPEEDSのテーマ』辺りが外れたのは京セラドームの問題もあったと思うので、もしかしたらモダン外れるんじゃないか…?と思ったりもしたが、ビジョンの両脇にブラウン管テレビから過去の映像も流れる演出を含めて良かった。なんやかんや言っても、何度GLAYのライブに行って何度聴いても、やっぱりGLAYのライブに行った感じが一番するのは彼女の"Modern..."な気はする。
そして最後には大団円の『SOUL LOVE』である。突き抜けるような爽やかさ。「新しい日々の始まり〜」からこの曲は始まるが、全てのシーンのオープニングに映えるようなこの曲で本編が終わるというのもまた良い。20周年の『生きてく強さ』にせよ、ある種アニバーサリーのテーマのような楽曲で締まるのも乙である。SOUL LOVEの大合唱で本編は終了。アンコールへ向かう。
この日はTERUの誕生日とあり、アンコールはメンバーと共にケーキがTAKUROに運ばれて堂々入場。TERUは昨年話題になった「ハッピーバースデー俺〜」の珍曲に「ビッグになりたい!」と叫ぶわタカアンドトシのギャグまで混ぜ込むわでやりたい放題。しかしながら思ってた以上にTAKUROケーキを運ぶ距離が長すぎるのと、通路からステージまで段差と坂道があって最後は数人がかりの作業に。あるよね、ああいうの…「せーの!」みたいな…。そういえば何気にTERUバースデーと稲葉浩志バースデーに行った私。
誕生日ケーキの火を消したところからはメンバーのMCが(音楽ナタリーに全文記載)。サポートの村山氏の話は、彼の場合はある種リスナーからスタートした人間だったりする訳で……GLAYのメンバーと共に歩んだというよりは追いかけていったような人な訳で、それも踏まえて沁みるMCでしたね。
JIROさん「幸せですか?」

HISASHIさんのご唱和くださいの難易度ベリーハードっぷりと、メッセージVTRを送ってくれた小田和正さんの「GLAYの諸君」「真面目な連中」の大御所っぷり。TAKUROの号令で上映されたGLAY×HYDEの映像中に完全にピクニック状態のJIRO。JIROさんラジオで「大阪はファンミみたいな感じになる」って仰ってましたけどアンコールの楽曲前のやりたい放題っぷりは完全にファンミでした。
そこから始まる『悲願』の荘厳さ、ドラマティック感との落差よ…。悲願もなんというか、あの曲は照明を落として暗い会場に少しの明かりを灯した状態で聴くのにすごくマッチした曲でしたね。
その悲願が終わり、TAKURO御大が一言。
TAKURO「もし知ってる人がいたら……一緒に歌ってください」
ワイ「!?!?そんなレア曲、ここで急にやるんか!?」
TERU「柔らーかな…風がー吹く……」
知らんわけあるかいや!!!!
そんなHOWEVERの「だがしかしDon't Look Back in Anger計画」を経て『またここであいましょう』、フロートで場内を一周(途中でTERUののマイクが壊れる)して、今やGLAYのライブの締めに最も似合う楽曲『BEAUTIFUL DREAMER』でその祭典は幕を閉じた。
GLAY in 京セラドーム大阪。
— RK-3 (@blueblack_gblue) June 8, 2025
あれは小1の頃、「次の大阪ドームは連れて行ってくれる」という話になっていたら気が付けばインテックス大阪に飛んで話もジャンプ。色んなアーティストを京セラで見たけれど、あの場所で1番見たかったアーティストは別にいることを20年間ずっと胸に抱いて生きてきました。… pic.twitter.com/30xnrg9Ukf
あのライブから家に帰る帰路、そこから再び始まる日常。それらを消化しながら、あの日の記憶から遺る感想に、自分にとって「GLAYとはなんぞや?」なるものの答えを自分なりに考えてみようとした。
その答えはある意味で探したものそのものであって、いわば「答えをくれるバンド」なんだと思う。ファンが望むもの、ファンが触れられない未確定なものに、確かな答えが返ってくる……このドームライブはその最たるものだった。
2005年、結成10周年を記念した5大ドームツアーで大阪ドームのみ開催が叶わずインテックス大阪で代替開催という事態に陥ったそのステージの上で、TERUは「いつか必ず大阪ドームでライブをする」と宣言した。2020年に公演を計画した時にはまだ出禁は解かれなかったが、いつか必ずこの場所でライブをするという答えの為に奔走し、そして20年以上の月日を経てこの日のこの場所に辿り着いた。その為にはドーム側との交渉も勿論だが、そもそもドームライブが成立するだけのバンドを維持し続ける必要がある。それを達成したステージの上で、TERUが「(東京では演奏しなかったけど) 大阪ではどうしても演りたくてセトリに組み込んでもらった」として演奏された『またここであいましょう』には、この世に転がる無数のどんな言葉よりもGLAYからの答えであり、その提示のように思えた。思えば、このライブにはそういう「答え」のような要素がすごく詰まっていた。例えば『またここであいましょう』が大阪ドームの為の答えならば、『SOUL LOVE』が本編最後に組み込まれた事はまさしく2020年から続いた東京ドームへの物語に用意された答えだろう。
何より、GLAYが答えを提示する事はこのライブの演出コンセプトでもあったのかもしれない。TAKUROによる『NEVER-ENDING LOVE』の後に流れたムービーの最後に表示された、2年前の武道館公演でHISASHIが発した「死ぬまでGLAYをやらないか?』という言葉。エンドロールで表示された『永遠にGLAYをやりたいです』の言葉はその大いなる答えだっただろうし、かつて自著『胸懐』で永遠なるものを断固として否定し続けたTAKUROがこのアンサーに辿り着いたその人間ドラマは壮大なものだろう。
GLAYはファンにこの先の活動の答えを用意してくれる。その上で彼らは彼らで、常に「この4人で楽しく活動する事」を何よりも頂点の答えとして活きている。彼らは「有言実行のバンド」と称するが、それは"GLAYというバンド"という生き物が生きていく中で生まれた問いと難題に一つずつ答えを出していきながら、譲れない絶対的な答えを守る為に全てを尽くして日々を生きている。30周年イヤーは他のどの一年よりも、GLAYにとって、過去の課題と伏線と、そして普遍的で尊い絶対的な前提に対する答えを一つずつ提示していく一年だったように思う。この"京セラドーム大阪"での初ライブは、その答えを詰め込んだ物語のような3時間だった。
SAY YOUR DREAMのような物語はそれぞれ誰しもが持ち、そしてその曲の先には新たな歌詞が待っている。これからもGLAYが見せてくれる問いと答えを一つずつ潜っていきながら、そのドラマをまた見ていきたい。この上ないほどに最高のライブだった。
