第9回 竹内文書における奴奈川姫②
前回は竹内文書において「奴奈川姫」がどのように書かれているのか
を調べ始めましたが、多くの研究者が竹内文書において「越姫」あるいは「高志姫」と書かかれる存在が奴奈川姫であろうという理解をしているという事までまとめました。
その過程で「糸魚川~直江津の港」という情報がAIからもたらされましたが、正直に言うとちょっと情報としては怪しいかなと感じています。
AIが誇大解釈または、私に沿った誤情報を作ってしまった可能性があるのではないかと感じています。
ただ、地元民としてその可能性があるとしたら、エキサイティングですが、確認のできない文献の考察をAIとしていく難しさを感じているところです。
ですが、ここは私が自分の目で確認した情報として、地元歴史家の2冊の本で、奴奈川姫を妻に娶りたいと越の国へ(上越エリア)にやってきた大国主命が上陸した場所は、直江津(居多ケ浜)であろうと書かれています。別々の著者ですが、その二人は実際にその点について話をして同意見だったとも書いてありました。
これは外から入ってくる場所として、直江津の海岸沿いが機能していた可能性も全くないわけではないかも…とちょっと強引?に思っています。
親鸞聖人が配流になって上陸した地も「居多ケ浜」と言われています。潮の流れなど、直江津に漂着するというのは地理的にもあり得るのかもしれません。
そんなわけで、なるべく間違った情報にならないように、今後も注意を払いながら書いていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
では今回は、「越姫」が竹内文書の世界観の中でどのように描かれているのかを整理します。
まず、越姫を理解するためには、竹内文書が描く「越の国」の位置づけを理解しておく必要があります。 竹内文書の本文では、越の国は次のような“中心地”として描かれます。
① 越の国=天神の御座所(中心地)
・天神が最初に降り立った地
・皇祖皇太神宮が置かれた地
・神宝の授受が行われる地
・五色人が来訪する地
つまり、竹内文書の世界観では、
天皇の権威が最も強く働く場所=越の国 という構造が本文に存在します。
② その中心に位置づけられるのが「越姫」
越姫は、天神皇統の姫として越の国に登場し、
本文の構造から「天皇の代理者候補」として理解されます。
この前提を軸に、研究者たちは越姫の役割や性格を読み解いてきました。
《竹内文書の世界観から導き出される越姫の姿》
天神皇統の姫(皇女)
竹内文書の世界観では、 地方の有力者=天皇から分かれた皇子・皇女 という設定が徹底しています。越姫も例外ではなく、
天神皇統の姫、天孫の血を引く皇統の分家として越の国に遣わされた…という扱いが、本文の構造から導かれます。
越の国(天神の御座所)の巫女王
神宝(翡翠・霊金・鏡)の守護者
外交儀礼の長(五色人を迎える)
天皇の代理として儀礼を司る
この2~5までの「越姫」のとらえ方は、以下の要素によって解釈されているそうです。
越の国は“天神の中心地=霊的中心” として描かれ、本文では、鏡・剣・玉・霊金などの神宝が 越の国で扱われる描写が多い。神宝は天皇の権威そのものなので、 その儀礼を司る者は 巫女的役割 を担うことになる。
越姫は
・ 天神皇統の姫
・ 越の国の中心にいる存在 として描かれる。
つまり、 天神の中心地にいる皇女=巫女王の候補 という構造が本文に存在する。
また、これも竹内巨麿の口述においての越姫の説明という情報がありますがこれも、確認ができないため、参考程度ということで紹介します。
・ 越姫は神宝をもって海外の来訪者を迎える」
・ 越姫は越国王家の姫に奉る御称
・ 神宝の儀礼を司る者
つまり越姫=神宝(翡翠・霊金・鏡)を扱う巫女王という理解と考えられているようです。
また、翡翠(ヒスイ)は日本最古の霊的権威の象徴であり、 竹内文書の世界観ではその中心地が越の国に置かれている。 越姫はその中心で神宝(翡翠)を扱う巫女王として描かれるため、 「越姫=霊的権威の象徴を司る存在」という解釈が成立する。
越国王家の姫に与えられる称号(世襲)
奴奈川姫はその“神代の一代”と解釈される
6、7は前回ご紹介した通り、竹内文書の世界観では日本神話に登場する神々が「世襲制」で代々受け継がれていったと考えられています。それが、「越姫」にも当てはまると考えられています。
《出雲(大国主)との政治的同盟》
ここについては、「世襲制」という点でも少し触れていますが、私たちがよく知る大国主命と結婚した奴奈川姫と思われる存在は代々、越国王家の姫に与えられる称号の“神代の一代”と解釈されるといいます。
そして竹内文書において、「越姫」の統治者としての側面も書かれています。
● 越の国の統治者
当時の「越の国(高志)」は、現在の北陸から東北におよぶ広い文化圏を指していたと考える研究者もおり、彼女はその中心地である頸城(くびき)周辺を統治する存在として、また霊的権威の象徴である翡翠を司り、神宝を扱う非常に権威のある巫女女王のような存在として描かれています
このようなことから、古代日本の信仰や交易に大きな影響力を持っていた越の国の統治者として、越姫の姿は集約されていきます。
大国主命との婚姻のストーリーの中に以下のような点から「強大な女性指導者」の姿が見えるとされます。
婚姻の目的…翡翠の流通や金属・製鉄技術を含む資源・技術面での結びつきを伴った、政治的同盟。
建御名方命の出生…二人の間に生まれた建御名方命(タケミナカタ)は、出雲の武力と越の祭祀を併せ持つ強力な皇子として扱われる。
拠点の維持…伝承では、婚姻後も奴奈川姫は越の地に留まり、その地位を保ち続けたとされる。
これらも踏まえると、竹内文書的な解釈では、大国主命との婚姻はロマンスというよりも、「出雲と越の政治的・経済的合流」として考察されます。
《奴奈川姫の「固有性」》
竹内文書には数多くの「〇〇姫」が登場しますが、その多くはその多くが、系譜上の名前として流れるだけで、個別のエピソードや固有の行動が描かれないようです。しかし、奴奈川姫(越姫)に関しては、出雲との交渉や、父祖の具体的な名前(意支都久振など)といった、「その土地に根ざした固有のディテール」が他の姫と比べて明らかに濃いとされます。
もしこれが単なる「越の国全体を格上げしよう」という意図だけで構成された物語であれば、越の国の他の地域の姫たちも、同じような密度で描かれていてもよさそうです。 しかし実際には、奴奈川姫の記述密度だけが突出しているように見えるというのです。
こうした偏りを踏まえると、竹内文書の背後には、 このエリアに特に強い奴奈川姫(越姫)伝承が元々存在しており、それを無視できなかった可能性 があるようにも思われます。
《竹内文書における「越姫」の位置づけのまとめ》
・皇女
・天孫の血を引く高貴な存在
・翡翠をはじめとした神宝を司るシャーマン
・越の国を統治する強い権威を持つ統治者
・海外から来訪する五色人を迎える役割を持つ外交儀礼の長
・出雲との政治的同盟の中心人物
これをAIに図解化してもらいました。
【天界・神界】
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● 高皇産霊神(タカミムスビ)
└─ 天神時代の最高神格。創造・統治の根源。
● 天神(アマツカミ)
├─ オキツヒメ(奥津系)
└─ ヘツヒメ(辺津系)
※越姫の父祖と語根が一致する神々
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【皇統・天孫系】
● スメラミコト(天皇)
└─ 皇子・皇女を各地へ派遣して統治させる
↓
【越姫(こしひめ)】
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【越姫の領域(本文の構造から導かれる解釈)】
★ 越姫(=奴奈川姫と考えられる存在)
├─ 天神の御子の血を引く皇女
├─ 翡翠など神宝を司るシャーマン
├─ 越の国(高志)の権威ある統治者
├─ 五色人を迎える外交儀礼の長
└─ 出雲との政治的同盟の中心人物
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【地上世界(日本列島)】
● 越の国(高志)
├─ 翡翠の聖地(青海・姫川)
├─ 国際港(糸魚川〜直江津?ここは微妙な解釈です。)
└─ 五色人が来訪する“海の玄関口”
● 出雲(大国主命)
├─ 技術・軍事・冶金の中心
└─ 越姫との婚姻で政治的合流
↓
★ 建御名方命(タケミナカタ)
└─ 越×出雲の統合を象徴する皇子
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【世界との接点】
● 五色人(海外からの来訪者)
├─ 海路で越の国に到着
├─ 越姫が外交儀礼を司る
└─ 神宝(翡翠)を介した儀礼的交流
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というわけで、古事記などによって伝わってきた
「地方の権力ある女王」という奴奈川姫とはスケールの違う位置づけが
竹内文書においてされていることが分かりました。
これについても、想像を上回る位置づけに驚くばかりです。
また前回、触れたとおり、竹内文書の世界観では「越姫」に限らず様々な神名が「称号」であり、代々適任者によって世襲されてきたもの…つまり誰か1人を指していないという前提があります。だとしたら竹内文書においての「越姫」の始点はどこにあるのでしょうか。
それを次回探っていきます。
ではまた次回の講釈で。
