全国的にグズつく朝、私はまあまあ順調です。
9月3日、木曜日の朝。
カーテンを開ける。
曇り。
天気予報を見る。
雨。
東京も雨。
大阪も雨。
北のほうも、
西のほうも、
なんだか雨。
「全国的にグズつくでしょう」
だそうだ。
全国的に。
なんか、すごい。
私ひとりがグズついているわけではない。
そう思ったら、
ちょっと元気が出た。
よし。
今日は傘を持っていこう。
玄関まで行く。
傘、よし。
スマホ、よし。
鍵、よし。
バッグ、よし。
今日は完璧だ。
靴を履く。
ドアを開ける。
……あ。
ゴミ。
今日はゴミの日だった。
靴を脱ぐ。
ゴミを持つ。
また靴を履く。
今度こそ出発。
外へ出ると、
細かい雨が降っていた。
傘を開く。
なんとなく、
ちょっと楽しい。
雨の日は、
晴れの日より持ち物がひとつ増える。
それだけで、
ちゃんとしている人になった気がする。
駅へ向かって歩く。
水たまりを避ける。
ひとつ避ける。
ふたつ避ける。
三つ目で踏む。
まあいい。
今日は全国的にグズついている。
私も、
空も、
だいたい同じだ。
でも、
ちゃんと家を出た。
傘も持った。
ゴミも出した。
それなら今日は、
もう結構いいスタートなんじゃないだろうか。
雨の日には雨の日なりの、
いい一日がある。
たぶん。
そう思いながら歩いていたら、
少しだけ、
空が明るく見えた。
──────────
ノベルエッセイ
水野真帆
『季節が変わる瞬間を感じる私を』
番外編
全国的にグズつく朝、私はまあまあ順調です。
※本編は2026年10月、Kindleより発売予定。
──────────
#発達症エッセイ
#大人の発達症
#なんでもない日常
#雨の日も悪くない
#今日もいい日に
