「魔法少女 〜ドキドキ♥Prettyんまじかるうぃっち♪」
「ねえ、あの時絶対一緒に戦うって、約束したじゃん…なんで…ッ」
床に崩れた魔法少女は
嗚咽混じりに
欠損した左腕を抱える
動作をしていたが、
すでに抱えるものがなかった。
「ねえ…どうして?」
「えっとー…」
答えを求めた視線は
上を向き、
目の前に立っている
無傷の魔法少女を
見上げると、
汚れ一つないその身は
ゆっくりと前へ歩き出した。
「じゃ、裏切るね。」
少女は1度だけ下を向き
最初から果たすつもりのない
意図を真顔で告げると、
空中へと飛び上がり
その瞬間
床に泣き崩れた少女は
跡形もなく吹き飛んだ。
「えー、よかったの?壊れてもまだ再利用できたんじゃない?社会はリクルートが大事って聞いたよ?」
「私、お下がりの服って嫌いなの。新品しか買わないわ」
「そうなんだ。ごめん。価値観は人それぞれだったね」
少女は背景に映った摩天楼には
目もくれず、目の前の珍獣に
人差し指を唇に当てた。
「ねえ、魔法少女のマスコットはかわいいことしか言っちゃだめなの。一部を除いてね」
「なるほど。この世界では自己言及的なメタファーとして…」
「それ、かわいくないわ。」
「でも、君が先ほどやった行為はかわいいのかい?」
「ええ、かわいいわ。私を推してる層からすれば」
「すなわち、メタフィクションってやつか」
やがて少女は
目的地にたどり着くと、
変身を解いた。
「あなたは入ってこないで。かわいくないから」
「ㇻキュ?キュキュッ!ラキュッ!プイプイッ!…キュ~…」
「…仕方ないわね。一晩5000円」
「ヤクザよりは良心的なんだね。ここはびっくりするところなのかな?」
「何に?私のかわいさ?」
「もちろんそれにはびっくりだよ。だってびっくりでなきゃ、僕まで裏切られちゃうからね」
「じゃあもしも私がこうしたら、あなたをさっそく裏切れるかな」
少女は首に巻いていた
マフラーを片手で
剥ぎとると、
突き出た喉仏は
魔法少女を裏切った。
「もちろん知ってたから、それは裏切りにはならないね。」
「ふーん。そうなの。あなたの裏切りは?」
「そんなものは特にないけど、僕はメスだからファーストに扱ってね」
「あらそう。実は敵とかじゃないんだ。」
「それは別の作品だろうね」
「でも一晩5000円の契約は忘れないでよ。中どうぞ」
「では早速、おじゃまします…テーブルの上で、世界観の説明でもしようかな」
「それも別の作品ね。」
少年は短い銀髪を揺らし
こちらを一瞬チラ見すると、
バタンとドアを閉めた。
「ーーー」
「ーーー。」
ここから先は、僕の盗聴魔法の範囲外だった。
