【食は薬なり】眼精疲労によい食品
毎日パソコンの画面とにらめっこし、通勤中や寝る前はスマートフォンを眺める日々。
気づけば
「夕方になるとピントが合わない」
「目が乾いてショボショボする」
「目の奥が重くて肩までこる」
……そんな「眼精疲労」に悩まされていませんか?
実は、目の疲れは目薬やマッサージだけでなく、毎日の「食事」で内側からケアすることができます。
今回は、現代の栄養学と伝統的な東洋医学(薬膳)の両方の視点から、忙しい社会人のための「アイケア食材」をご紹介します。
これまで腸活や健康の文脈で登場した「納豆」や「黒豆」も、実は目にとても良いスーパーフードなのです。
1. 現代栄養学が教える「ピント調節」と「目の修復」を助ける栄養素
長時間同じ距離で画面を見続けると、目のピントを合わせる「毛様体筋」という筋肉が凝り固まり、ピント調節がうまくできなくなって眼精疲労に直結します。これを助けてくれるのが以下の成分です。
アントシアニン(黒豆、ブルーベリー、ナスなど)
植物の青紫色の色素成分で、黒豆にも豊富に含まれています。目の周りの血流を促して毛様体筋の緊張をほぐす働きがあり、VDT作業(パソコンやスマホの画面を見る作業)によるピント調節力の低下を抑える可能性が示唆されています。また、光の刺激を脳に伝える網膜の成分「ロドプシン」の再合成を助け、目の疲労感を和らげる強力な働きがあります。アスタキサンチン(鮭、エビ、イクラなど)
魚介類に含まれる赤い色素成分です。網膜までダイレクトに届いて抗酸化作用を発揮し、毛様体筋の疲労を和らげてピント調節力を改善する効果が確認されています。ビタミンB群(納豆、豚肉、レバー、玄米など)
ビタミンB群はチームで働き、視神経や目の周りの筋肉の緊張を和らげます。なかでもビタミンB6は水晶体の主成分であり、毛様体筋の疲れをとるため目薬にも配合されています。またビタミンB12は常にダメージを受けている視神経を修復する手助けをし、不足すると目の奥が重く感じる原因になります。加熱せずにそのまま食べられる「納豆」は、熱に弱いビタミンB群を効率よく補給できる最高の食材です。
2. デジタルダメージから「目を守る・潤す」栄養素
ルテイン・ゼアキサンチン(ほうれん草、ブロッコリーなど)
網膜の黄斑部に存在する成分で、パソコンやスマホのブルーライトなどの有害な光を吸収する「天然のサングラス」として働き、目の酸化を防いでくれます。ビタミンA(にんじん、卵など)とビタミンC(キウイ、ブロッコリーなど)
ビタミンAは目の粘膜を健康に保ち、涙の量を調整してドライアイを防ぎます。ビタミンCは細胞の新陳代謝を促し、充血や疲れの回復をサポートします。オメガ3脂肪酸(サバ、イワシなどの青魚)
涙の質を高めて目の表面を滑らかに保ち、目の乾燥を防いでクリアな視界をサポートします。
3. 東洋医学(薬膳)から見る「目のSOS」とおすすめ食材
薬膳の世界では、目は「肝(かん)」という臓器と深く関わっており、目に栄養を与えているのは「血(けつ)」であると考えられています。
目を酷使すると「血」が消耗し、栄養が届かなくなることで不調が起こるのです。
薬膳では、以下の効能を持つ食材を組み合わせるのが基本です。
明目(めいもく): 眼精疲労やかすみ目など、目の不調を直接的に改善する働き。
おすすめ食材:にんじん、春菊、クコの実、ブルーベリーなど養肝(ようかん)・平肝(へいかん): 目と関係の深い「肝」の働きを正常にする作用。
おすすめ食材:レバー、うなぎ、セロリ、トマトなど補血(ほけつ)・養血(ようけつ): 目の滋養となる大切な「血」を補う働き。
おすすめ食材:黒豆、黒ゴマ、ほうれん草、牛肉、卵など[18]
4. 忙しい社会人向け!手軽な「食べるアイケア」実践法
これだけの栄養素や食材を毎日すべて揃えるのは大変ですよね。
そこで手軽なコツは、日々の食事で「色鮮やかな食材(緑黄色野菜やベリー類など)」を意識して選ぶことです。
そして、ここでも「納豆」や「黒豆」、色とりどりの野菜を入れた「具だくさんの味噌汁」が大活躍します。
納豆を1パック食べるだけで視神経を修復するビタミンB群が補給でき、ほうれん草やにんじんを入れた味噌汁ならルテインやビタミンAも一緒に摂れます。おやつやサラダのトッピングに黒豆を取り入れれば、アントシアニンによるピント調節サポートと、薬膳の「補血」効果が同時に得られます。さらに、これらは腸内環境を整えて全身の血流を良くし、目までしっかりと栄養を届けることにもつながるのです。
まとめ
画面から30cm〜40cm以上離して見る、定期的に遠くを見て目を休める(20-20-20ルールなど)といった外側からのケアに加えて、これからは「食べるアイケア」も意識してみませんか?
目が疲れたなと感じた日は、夕食に「具だくさん味噌汁」と「納豆」、そして食後に「黒豆茶」を取り入れて、酷使した目を優しくいたわってあげましょう!
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【出典・参考文献】
[1] 日本眼科学会「目の病気 眼精疲労」および、厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
[2] 農林水産省「特集2 食材まるかじり(黒豆)」機能性成分解説
[3] わかさ生活研究所「成分情報:アントシアニン」
[4] Ozawa Y, et al. (2015). "Bilberry extract supplementation for preventing eye fatigue in video display terminal workers." The Journal of Nutrition, Health & Aging.
[5] Matsumoto H, et al. (2003). "Stimulatory effect of cyanidin 3-glycosides on the regeneration of rhodopsin." Journal of Agricultural and Food Chemistry.
[6] アスタキサンチン工業会「アスタキサンチンとは」
[7] Nagaki Y, et al. (2002). "The effects of astaxanthin on retinal capillary blood flow in normal volunteers." Journal of Clinical Therapeutics & Medicines.
[8] 富山大学(旧富山医科薬科大学)等による、アスタキサンチンの眼精疲労およびピント調節機能改善に関する臨床試験報告
[9] 厚生労働省「e-ヘルスネット:ビタミン」
[10] 日本OTC医薬品協会・一般用眼科用薬(目薬)におけるビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)の作用機序
[11] キョーリンリメディオ等・医療用および一般用点眼薬におけるビタミンB12(シアノコバラミン)の毛様体筋・視神経修復作用
[12] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」納豆のビタミンB群含有量
[13] 米国眼科学会 (AAO) "Lutein and Zeaxanthin: Eye and Vision Benefits"(天然のサングラスとしての機能解説)
[14] ドライアイ研究会「ドライアイの定義と診断基準」およびビタミンAの粘膜保護作用
[15] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」ビタミンCの代謝促進作用
[16] Bhargava R, et al. (2013). "A randomized controlled trial of omega-3 fatty acids in dry eye syndrome." International Journal of Ophthalmology.
[17] 日本中医食養学会編『薬膳学』・中医学における「肝」と目の関係(肝は目に開竅する)
[18] 辰巳洋 著『実用中医薬膳学』における「血」の機能と「補血」による眼精疲労へのアプローチ
[19] 国際中医薬膳師による中医学理論・「明目(めいもく)」作用を持つ食材一覧
[20] 厚生労働省「健康日本21」緑黄色野菜の推奨摂取量と抗酸化作用
[21] 腸内細菌学会・用語集「腸内フローラと健康」
[22] 納豆菌(S-903納豆菌など)や黒豆の食物繊維による腸内環境改善と、全身の血流・栄養吸収効率に関する研究知見
[23] 米国眼科学会 (AAO) 推奨「20-20-20ルール(20分ごとに20フィート先を20秒間見る)」
現代の科学的エビデンス(西洋医学・栄養学)と、食薬同源をベースとした中医学のアプローチが美しく融合した構成になっています。
