日本のゲーム業界でいちばん儲かっているのは、任天堂ではありませんでした ― 営業利益率42%の会社の、その42%の中身
まず、営業利益率を並べてみます
私は、日本のゲーム業界の上場企業34社について、財務データと株価を自分で集めて業界レポートを作りました。そのなかから主力8社の営業利益率を、高い順に並べます。
コーエーテクモホールディングス(3635)42.0%。
カプコン(9697)38.5%。
コナミグループ(9766)27.5%。
スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)18.4%。
任天堂(7974)15.6%。
バンダイナムコホールディングス(7832)14.1%。
セガサミーホールディングス(6460)9.7%。
サイバーエージェント(4751)8.2%。
任天堂は5位です。
売った金額のうち何%が営業利益として残るか、という指標で見ると、日本のゲーム業界で最も効率よく稼いでいるのは任天堂ではありません。売上884億円のコーエーテクモが42.0%、売上1,954億円のカプコンが38.5%。売上2兆3,131億円の任天堂は15.6%です。
なお、この記事で使う財務数値は各社の直近本決算(多くは2026年3月期)、株価やPER、PBRなどの指標はJ-Quants(JPX公式)の2026年7月24日終値ベースによります。
任天堂の15.6%は、弱いという意味ではありません
先に、誤解のないように書いておきます。
任天堂の2026年3月期は、売上2兆3,131億円で前年比プラス98.6%、営業利益3,601億円でプラス27.5%です。売上がほぼ倍になりました。自己資本比率77.6%、営業キャッシュフロー2,898億円。財務は盤石です。
では、なぜ営業利益率が15.6%にとどまるのか。ハードを売っている期だからです。
Switch2の立ち上げ初年度で、ハードが2,366万台(Switch2が1,986万台、従来のSwitchが380万台)売れました。ゲーム機のハードは、ソフトに比べて利益率が低い商売です。ハードの比率が高い期は、全体の利益率が下がります。ソフトは18,562万本売れており、マリオカートワールドが1,470万本、ポケモンLEGENDS Z-Aが1,279万本、ドンキーコング バナンザが452万本です。この先ソフトとデジタル販売の比率が上がれば、利益率は改善する余地があります。
ここで、投資家として押さえておくべき数字がもうひとつあります。会社自身の2027年3月期の計画です。
売上2兆500億円で、前年比マイナス11.4%。営業利益3,700億円で、プラス2.7%。
会社自身が減収を見込んでいます。立ち上げ初年度の反動です。ハード1,650万台、ソフト6,000万本という計画で、ハードの台数は今期より減ります。
つまり、プラス98.6%という数字はサイクルの数字です。読者の皆さんがもし「前期プラス98.6%の成長企業」として任天堂を見ているなら、その見方は会社自身の計画と食い違っています。ピークの利益に、ピークのPERを掛けてはいけない。ゲーム機メーカーを見るときの、いちばん基本的な作法だと思います。
42%の会社の、その42%の中身
さて、営業利益率で首位に立ったコーエーテクモです。
売上884億円。営業利益372億円で、営業利益率42.0%。純利益428億円。自己資本比率86.7%。
株価1,503円、PER11.8倍、PBR1.8倍、配当利回り2.86%。
営業利益率42%でPER11.8倍。私が作ったレポートでは、質のスコアと割安さのスコアを合算した総合ランキングで、この会社が8社中の単独1位でした。営業利益率25%超、PER20倍未満、自己資本比率60%超という条件のスクリーニングも、余裕で通過します。
数字だけ見れば、文句のつけようがない優等生です。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?

