【#164】「貯金 = 収入 - エゴ」という方程式──『サイコロジー・オブ・マネー』から学ぶ、見えない豊かさの正体
@人生ほぼ登山です。
資産形成を長く続けていると、時折、
「何のためにこれをやっているんだっけ?」と地図を確認したくなる時があります。
そんな時に読み返す、私にとっての「コンパス」のような一冊があります。
それが、モーガン・ハウセル著『サイコロジー・オブ・マネー』です。
この本は、単なる投資テクニックの指南書ではありません。
お金と向き合うための「心構え」や「哲学」を説いた本です。
今回は、この本を再読して改めて痛感した「お金の本質」について、私の登山や投資経験も交えながら深掘りしてみたいと思います。
◯「リッチ」と「ウェルス」は違う──見栄は身を滅ぼす
私たちはつい、目に見えるもので「豊かさ」を判断してしまいがちです。
高級車に乗っている人、大きな家に住んでいる人、ブランド物を身につけている人。
そうした人を見て、「あの人はお金持ち(リッチ)だ」と思いますよね。
でも、著者のモーガン・ハウセルは、鋭い指摘をしています。
「リッチ(高収入・派手な消費)」と「ウェルス(富)」はまったく別物である、と。
リッチとは、現在の収入が多く、それを使っている状態のこと。
一方で、ウェルス(富)とは、「使われていない所得」のことです。
つまり、まだ買われていない車、まだ買われていない宝石、まだ乗られていないファーストクラスの座席こそが、富の正体なのです。
これ、登山に例えるとすごくしっくりきます。
登山口でピカピカの最新・最高級ギアで全身を固めている人が、
必ずしも「登れる人」とは限りません。
本当に山を知っている人は、見た目は地味でも、
ザックの中には万全の備え(食料、水、エマージェンシーキット)を持っています。
「見せびらかすための装備」ではなく、「生き残るための備え」を持っているかどうか。
資産形成も同じです。
他人に「すごい」と思われたくてお金を使う「見栄」は、確実に資産を減らしていきます。
「見栄は身を滅ぼす」というのは、単なる教訓ではなく、資産形成における冷徹な事実なのです。
富とは、目に見えないもの。
この視点を持つだけで、隣の芝生が青く見えることはなくなります。
◯貯金の正体は「収入 - エゴ」である
この本の中で最も刺さったフレーズの一つがこれです。
「貯金 = 収入 - エゴ」
多くの人は、貯金ができない理由を「収入が少ないから」だと考えます。
もちろん、最低限の生活費は必要ですが、一定のラインを超えた後、お金が貯まるかどうかを決めるのは「エゴ(自意識)」の大きさです。
エゴとは、「他人に自分を良く見せたい」という欲求のこと。
収入が増えたとき、
それに合わせて「もっといい生活をしないと」「もっといい車に乗らないと」とエゴが膨らんでしまえば、いつまでたってもお金は残りません。
逆に言えば、エゴを減らせば、収入がそれほど増えなくても豊かになれるということです。
私は15年以上、積立投資を続けていますが、その間、生活水準を極端に上げたことはありません。
それは我慢しているわけではなく、「他人の目」よりも「自分の安心」を選んでいるからです。
エゴを抑えることは、節約というよりも、「心の贅肉を落とす」感覚に近いかもしれません。
身軽になれば、人生という山道も、もっと軽快に歩けるようになります。
◯お金がもたらす最大の配当は「時間の自由」
では、エゴを抑えて作った「富」は、私たちに何をもたらしてくれるのでしょうか?
高級品が買えないなら、貯める意味はないのでしょうか?
いいえ、違います。
お金がもたらす最大の価値、
それは「自分の時間をコントロールできること」です。
・嫌な仕事を断れる自由
・家族と過ごしたいときに休める自由
・新しいことに挑戦したくなったときに、踏み出せる自由
「経済的に自立していれば、自分の時間を選択できる」
これこそが、資産形成の本当のゴールだと私は思います。
毎日満員電車に揺られ、自分の時間を切り売りしている感覚があるなら、資産形成はその鎖を断ち切るための鍵になります。
「朝起きて、今日も自分の好きなように過ごせる」
そう思える人生を手に入れること以上に、価値のある買い物があるでしょうか。
ブランドバッグや高級車は、一時的な高揚感しかくれませんが、「自由な時間」は、人生の質そのものを底上げしてくれます。
今は、毎日会社に行くことが、人生のリズムを取る上でも、張り合いになっていますが、
いつ出勤することに耐えられなくなるかはわかりません。
その時、いざとなれば会社を辞められるという選択肢があるので、
仮に辞めなくても、
気楽に仕事を続けられる気がしています。
◯必要なのは「才能」ではなく、「忍耐」と「楽観」
最後に、これから資産形成を続ける上で大切なマインドセットについて。
この本では、成功のために特別な金融知識やIQは必要ないと書かれています。
必要なのは、「高い貯蓄率」「忍耐力」、そして「世界経済は成長を続けるという楽観主義」です。
インデックス投資を続けていると、必ず暴落局面に遭遇します。
資産が減っていくのを見るのは怖いものです。
でも、そこで「もうダメだ」とやめてしまえば、富は築けません。
過去の歴史を見れば、戦争や恐慌、パンデミックなど、数々の危機がありましたが、それでも世界経済は長期的には成長を続けてきました。
この「右肩上がりの未来」を信じられるかどうかが、投資家としての資質です。
「悲観論は知的で賢そうに見えるが、長期的には楽観論が勝つ」
という言葉があります。
日々のニュースは不安を煽るものばかりですが、それに惑わされず、「長期的には良くなる」と信じて、淡々と積み立てを続ける。
その「忍耐」こそが、凡人が資産を築くための最強の武器です。
◯まとめ
『サイコロジー・オブ・マネー』を再読して、改めて確信しました。
資産形成とは、数字のゲームではなく、自分の心(エゴ)との対話なのだと。
見栄を捨て、エゴを減らし、時間を手に入れるために、今日もお金を積み上げる。
派手さはありませんが、この地道な歩みが、必ず「見えない富」となって、未来の自分と家族を守ってくれるはずです。
皆さんも、一度「自分のエゴ」と向き合い、
「本当に欲しいのはモノなのか、時間なのか」を問いかけてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。
