会者定離(えしゃじょうり)
【意味】
会った者は必ずいつか別れる定めにあるということ。人と人との出会いと別れを通して、この世の無常を表す仏教語。
【用例】
卒業式の日、会者定離の寂しさを胸に友と別れた。
【故事来歴】
[出典] 『仏垂般涅槃略説教誡経』(通称『遺教経』)など。
『遺教経』は、釈迦が入滅の直前、弟子たちに最後の教えを説いたとされる経典で、西域出身の訳経僧・鳩摩羅什(くまらじゅう、344~413年頃)によって漢訳された。原文には「世皆無常、会必有離」(世は皆無常なり、会う者は必ず離るること有り)とあり、この一節が日本で「会者定離」という四字に整えられた。対句である「生者必滅(生ある者は必ず滅する)」と合わせて「生者必滅会者定離」という八字の成句としても広く用いられる。中世以降、『平家物語』巻十「維盛入水」で「生者必滅」と対にして用いられる。平維盛が妻子との別れを悲しむ場面で、人は身分の高下を問わず恩愛から逃れがたいが、生ある者は必ず滅び、会った者は必ず別れるのが世の定めだ、と説かれる。これにより「生者必滅・会者定離」は日本の無常観を象徴するようになり、仏教説話、法然・親鸞ら浄土教の法語などを通じて、日本人の無常観を代表する表現として深く浸透した。
【類義語】
生者必滅、諸行無常
【対義語】
【補足】
弓道の射法八節における「会(かい)」「離れ」という用語も、この「会者定離」に由来するとされる。仏教の「四苦八苦」のうち「愛別離苦(愛する者と別れる苦しみ)」とも深く関連する概念である。
