「戻れなくなる前に。」第1章【“まだ大丈夫”の正体】③
「もう少しだけ」が積み重なる
あと少しだけ、頑張ろう
「もう少しだけ。」
この言葉に、助けられたことがあります。
あと少し頑張れば終わるから。
今週を乗り切れば落ち着くから。
ここまで来たのだから。
あと一歩だけ。
そうやって踏ん張ったからこそ、乗り越えられたことも確かにありました。
だから、「もう少しだけ」という言葉そのものが悪いわけではありません。
問題は、その"あと少し"が終わらなくなったときです。
気づけば、それが当たり前になる
最初は特別な状況だったはずでした。
忙しい時期だから。
たまたま人手が足りないから。
今だけだから。
そう思っていたはずなのに。
気づけば、その状態が日常になっていることがあります。
疲れているのが普通になる。
我慢するのが普通になる。
後回しにするのが普通になる。
「本当はしんどい。」
そんな気持ちさえ、
「みんなこんなものだよね。」
と飲み込むようになる。
そして、無理をしていることにさえ慣れてしまうのです。
「ここまでやった」が手放せなくする
もう一つ厄介なのは、
「ここまでやってきたのだから。」
という気持ちです。
ここでやめたらもったいない。
せっかく頑張ってきたのに。
今さら方向を変えるなんて。
そんな思いが、
さらに「もう少しだけ」を積み重ねていきます。
もちろん、
積み重ねてきた時間や努力に意味がなかったわけではありません。
その時の自分は、本気で向き合ってきたはずです。
だからこそ、手放すことは簡単ではない。
でも、
これまで大切にしてきたことと、
これからどうしたいのかは、
必ずしも同じでなくてもいいのだと思います。
「あと少し」の前に立ち止まる
もし今、
「あと少しだけ頑張ろう。」
と思っていることがあるなら。
その言葉を否定する必要はありません。
ただ、一つだけ。
その"あと少し"は、
いつ終わる予定なのか。
それだけは、自分に問いかけてみてほしいのです。
今週までなのか。
今月までなのか。
何が変わったら見直すのか。
どこまで行ったら立ち止まるのか。
期限のない「もう少しだけ」は、
いつの間にか自分を追い込んでしまうことがあります。
戻れなくなる前に
「もう少しだけ。」
その言葉は、
前に進む力になることもあります。
でも同時に、
自分の限界を見えなくしてしまうこともあります。
だからこそ。
頑張る前にではなく、
頑張り続ける途中で問い直してみる。
「本当に、あと少しなのだろうか。」
「このまま進み続けて大丈夫だろうか。」
そんな小さな確認が、
戻れなくなる前の自分を守ってくれるのかもしれません。
限界は、ある日突然やってくるものではありません。
違和感もまた、小さな声でやってきます。
そして、その間には、
何度も繰り返される「もう少しだけ」があります。
だからこそ。
その言葉を口にしたときこそ、
一度立ち止まってみる。
それもまた、自分を大切にする選択なのだと思います。
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