#04トキコの季節のことば帖|二十四節気と七十二候めぐり|半夏生
ひと区切りつけてもいい頃なの
今日は、
雨が上がったあとの空気が、
庭に残っているの。
土はまだ黒く湿っていて、
草の葉の先に、
小さな水の玉が光っているわ。
こういう日は、
音まで少し、
やわらかく聞こえるのよねぇ。
遠くで鳴く鳥の声も、
いつもより近い気がするの。
半夏生の頃
七月一日ごろからは、
七十二候でいうと、
半夏生
はんげ、しょうず。
半夏という草が、
生え始める頃、
という意味なのよ。
でもねぇ。
昔の人にとって、
半夏生は、
草の名前だけではなかったの。
田植えを終える目安でもあったのよ。
この頃までには、
田んぼの大仕事を済ませて、
少し息をつく。
そんな、
暮らしの節目でもあったのねぇ。
ひと区切りをつけること
田んぼの仕事は、
天気にも、
水にも、
人のからだにも左右されるでしょう。
思うように進まない日もある。
雨を待つ日もある。
晴れすぎて、
空を恨めしく見る日もある。
それでも、
どこかで、
「ここまで」
と区切りをつける。
それは、
あきらめることとは少し違うのよ。
今日まで、
よくやったねぇ。
そう言って、
からだを休ませるための区切り。
人にも、
そういう日があるといいのよ。
季節が教えてくれる休み方
今は、
なんでも続けることが、
えらいみたいに言われるでしょう。
けれど、
季節は、
ずっと同じ調子では進まないのよ。
降る日があって。
晴れる日があって。
伸びる時があって。
止まって見える時がある。
田んぼも、
人の心も、
同じかもしれないねぇ。
がんばったあとには、
少し水を張るような時間がいるの。
何もしないように見えても、
その下で、
根はちゃんと、
土をつかんでいるから。
半夏生の頃は、
そんなことを思い出させてくれるのよ。
そうそう、今日は、
冷やした麦茶を出しておきましょうか。
それから、
夕餉には、
茄子を少し焼こうと思うの。
雨上がりの夕方には、
焼いた茄子のやわらかさが、
なんだかありがたいからねぇ。
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