【毎週ショートショートnote】 信号機ぶどう味
「なんすか、これ!青になった瞬間、ぶどうの味がしたんですけど!」
助手が驚きながら声を上げる。
「これは視覚からだけでなく味覚にも作用する信号機だ。ちなみに赤の時は唐辛子、黄色の時はレモン味だ。これで信号を守る人間も増えるだろう」
博士が言うには辛味と酸味で刺激を与えることで、より危機感をもたせられるということらしい。
「赤と黄色はわかるんですけど、なんで青の時はぶどう味なんですか?ぶどうは紫じゃないですか?」
だが助手が気になったのは、信号機の性能よりも色だった。
「いや、青信号って難しいじゃん。呼び方は青だけど、色はどうみても緑だし。だから味も別な色にしちゃおうかなって」
「いやいや、でも紫だと青寄りじゃないですか。緑の要素ないですよ。それじゃあ青贔屓ですよ」
「だって緑の食べ物って味が渋い系だから『発進しよう!』って気にならないじゃないか」
なんだか言い分が苦しくなってきた博士。
「そもそも紫って青と赤の中間だから、進んでいいのか微妙ですよ!」
助手が無駄に的を得たことを言ってくる。
「・・・スポンサーにぶどうジュースで有名な会社がいるから」
バツが悪そうに博士がつぶやく。
「・・・それなら仕方ないっすね」
2人は新しい信号機の完成を祝ってぶどうジュースで乾杯した。
