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293話 オイルマネー・コード 1話 夕方 The Oil Money Code — Evening LaLaLaさん企画 参加作品【オイルマネーコード編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~


夕方の七里ガ浜は、まだ暑い。海からの風が涼しくて心地よい。

維吹(いぶき)は、学校帰りの道をいつものように歩き、駅近くのコンビニの入り口のガラスを見た。

店内の蛍光灯型のLEDが、弁当棚のプラスチック容器を妙に白く照らしているのに気づいて近づいた。


その棚を見ると、維吹は「違和感」を覚えた。



――今日も、弁当が余っている。




昼間はほとんど売り切れるのに、夕方の棚は余っている。

昼食の後だし、夕飯には時間がある・・・だとしても毎日のように「夕方だけ余る」現象が続いているのだとしたら。

普通なら、気にも留めないだろう。
だが維吹は、こういう小さな歪みを見逃せない性質だった。

部活にも入っていない彼は、まだ明るいうちに帰宅する。

同じクラスの健人(けんと)は、男なのに合唱部だ。





何やらコンクールで金賞を狙うとか言っている。


――そんなの、何が楽しいんだか。


そう思いながらも、健人が放課後の音楽室で楽しそうに歌っている姿を、維吹はどこか羨ましく感じていた。



自分には、ああいう「熱中できるもの」がない。


「いいな・・・青春だな・・・」


他人事のように言う。

あるのは、ただ身の回りの違和感を拾い集める癖だけだ。

弁当棚の前で、維吹はスマホを取り出し、写真を一枚撮った。

そのまま、AI:AIONにデータを送る。


「今日も、夕方の余剰。理由は不明。 気象、客数、配送ルート、在庫管理――全部正常と思われる。」

AIONはすぐに返答を返さない。

だが維吹は、それでいいと思っていた。
AIONは「予測が外れた理由」を学習する。
答えを急がないAIだった。


コンビニの自動ドアが開き、潮の匂いがふっと流れ込んだ。
その瞬間、維吹は胸の奥に小さなざわめきを感じた。



――今日の違和感は、いつもより少し強い。



それは、世界の歪みに気が付く前のことである。





LaLaLaさん企画 オイルマネー・コード 参加作品
【お題】小説原案&プロットを使って小説書いてみて!





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