307話 オイルマネー・コード 10話 国際会議 The International Conference LaLaLaさん企画 参加作品 【オイルマネーコード編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
国際会議場は、すでに熱気が満ちている。
アルナハル王国の王族をはじめ、各国の高官、学者、
投資家、国際的企業の経営者・・・
さらに民族衣装の各国の代表が席を埋めている。

濃紺の制服の高校生が、中央の演壇に立った。
経営者や各国の代表は、いぶかしげに見上げると、
ひそひそと何やら話をしている。
明らかに・・・・
「誰?こいつ・・・」になっている。

「え・・あ、あの・・・」
さすがに声が小さい。
スタッフがマイクの音量を上げた。
「あの・・・世界の皆様、IBUKI SUZUSHIMAです。日本の高校生です。」

会場がざわめく。
ひそひそ話が続いている。
「今日は、皆様に一つだけお伝えします。」
「あの・・・少しだけ、皆様の認識を変えていただくことになります。」

「ええと・・・」
「詳細につきましては、ご覧いただいている資料に記しました。」
各国の代表、経営者はいぶかしげに見ている。
「僕は・・・あ・・
わたくしは国家を改革する方法を発表するわけではありません。」
会場の画面を一度見て、ページがあっているかを確認した。

「ポイントを先に述べます。」
「資料の6ページ、8ページ、15ページ、
24ページ、55ページだけご覧いただければ、おおむねわかります。」
「国家が、なぜ改革できないのかを説明します。」

会場がざわめく
「8ページ、15ページは、世界のエネルギー価格と投資の異常な連動を示しています。」

学者がグラフの数字を見ている。
投資家がうなずいている。
まあ・・・確かにな・・・

「24ページ」
「各国は、それぞれ独立して未来を予測していると思っています。」

経営者、各国の高官がうなずいている。
それはそうだろう・・・

画面が切り替わる。
「本当にそうでしょうか・・・」
「実は、違います。」
「55ページを開いてください。結論を申します!」
「根拠となるデータは、40ページから54ページに記してありますので、
詳細はそちらを参照ください。」

世界中の予測モデルが一本のネットワークにつながる図解が画面に示される。

「実は・・・・・各国は、それぞれ独立して未来を予測していません。
みんな、同じ未来を見ています。」
「え・・?」
「何を言っている?」
「どういうことだ?」
「どうして?」
あちこちで小さなどよめきが起こる。
学者が眼鏡をはずして手元の資料の詳細ページに目を凝らしている。
「そんなはずは・・・・」

隣の学者と議論しているものがいる。
民族衣装の代表は呆然と画面を見上げている。

前の方にいた経営者が手を挙げた。
「Mr.Suzushima・・ありがとうございます。
驚きました・・・
いや・・・しかしですな・・・」

「もう少しだけ・・・ご説明いただけないでしょうか。」
「ポイントで構いませんので・・・もう少しだけ・・・」
「あ・・・承知しました。ありがとうございます。」
そのあと、維吹はこう続けた。
「ポイントになりますのは、以下の3点です。」
① 各国の予測モデルが同じ誤差パターンを示している
(資料 40〜44ページ)
本来、国の経済構造・人口動態・資源状況が違えば、
未来予測の誤差パターンは国ごとにバラバラになるはず。
しかし解析したところ──
アメリカ、EU、イギリス、中国、湾岸諸国、日本
IMF、OECD、世界銀行
主要シンクタンク(R・・D、B・・gs、C・・S等)
民間AIモデル(B・・GPT、A・・ba、D・・ind等)
これらの予測誤差の波形が、ほぼ同じ周期・同じタイミングで揺れている。

これは偶然では説明できない。
同じ基準モデルを参照している根拠になる。
② データセンター(DC)間の非公開バックチャネルの存在
(資料 45〜49ページ)
AIONの挙動を解析した際、
各国の予測モデルが参照しているデータセンター(DC)群の
通信ログに同期信号が見つかっている。
予測更新のタイミングが世界同時
通信プロトコルが各国標準と異なる
送信元が特定できない匿名ノードが存在し
そのノードが、各国の予測モデルに補正値を注入

補正値が注入された瞬間(T-0)に、各国の独立した計算ベクトルが
急激に収束し単一の予測結果に上書きされていることを示している。
各国は独立して未来を予測しているのではなく、
同じ補正値を受け取って未来を見ている根拠になる。
③ 予測値が誘導された未来に収束している
(資料 50〜54ページ)
本来、未来予測は国ごとに違うはずなのに、
比較したところ、各国の未来予測が、最終的に同じ方向へ収束している。
エネルギー需要のピーク時期
人口減少の下限値
AI規制の発動時期
半導体供給網の再編タイミング
中東投資ファンドの資金移動の方向性
これらが、国の事情に関係なく、
同じ未来の形に向かってそろっている。

これは予測ではなく、
未来を誘導するための設計図を共有している証拠になる。

「このことからわかりますのは・・・」
「実は・・・みんな、同じ未来を見ています。」
「真の目的は未来の予測ではない。」
「共有された単一の未来を人為的に定義することということになる。」
「予測ではなく、誘導された未来を見せられている。」
「ありがとうございました・・・以上です。」
維吹は、こう述べて話を終えた。

「あ・・・ありがとうございます・・・これは・・・」
「Mr.Suzushima! これは・・・!」
経営者は、立ち上がってしまっていたが、
思わず、維吹の演壇の近くまで来てしまっている。

学者は、眼鏡をはずしたまま資料に目を凝らし、
しきりにうなずいている。

民族衣装の代表は画面を見上げていたが
隣にいる隣の国の代表と顔を見合わせた

「・・・知っていたか?」
「・・・・いや・・」
そして、隣の国の代表と一緒に立ち上がた。

投資家は、うなずきながら、手帳を開いて
「・・・・そうだったのか・・・」
資料を見ながらメモを書き込んでいる。
うなずいていた王族たちは、顔を見合わせると
一緒に立ち上がり壇上に向けて歩き始めた。

「おおおお!」
どよめくような声が上がり、立ち上がって拍手が沸き上がる。

維吹の周りに王族や投資家、学者が群がって握手を求める。
その周りをカメラマンが囲み、フラッシュがたかれている。

当の維吹は、なにやらもみくちゃになっていて、
もう困惑した表情だ。
貴賓室の窓からその様子を見ていたファイサルは、
満足したように振り返ると控えていた執事に告げた。

「IBUKI君を、迎賓館にご案内しなさい。」
LaLaLaさん企画 オイルマネー・コード 参加作品
【お題】小説原案&プロットを使って小説書いてみて!
マガジンに掲載いただきありがとうございます。
次の話
前の話
イスパニアの夜明けの前に Before the Dawn in Hispania
オリジナル曲 イスパニアの夜明けの前に
Before the Dawn in Hispania
波打際スケッチ イスパニアの夜明けの前に Before the Dawn in Hispania
Kindleにて、販売開始!
YouTube_yukariyajp 波打際スケッチ Sketches of the Shoreline
高評価、チャンネル登録をお願いいたします。
波打際スケッチ メンバーシップ
メンバーシップ画面から参加申し込みください。
私たちは、昨日までの私たちでは
ない
いいなと思ったら応援しよう!
ご覧いただきましてありがとうございます。少しずつ進めていけたらと考えております。よろしければ応援いただけると嬉しいです。