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親が諦めた発達障害の末路~家がトラップ屋敷に~

以下の記事の後半パートとなります。

従妹という存在

赤ん坊のころから世話をして一緒に暮らしながら、一時は養子に迎える話もあった従妹ですが、少し事情があります。
それは結構重度な発達障害という事です。当時は自閉症という言葉が一般的だったと思います。私は専門家ではないので確かかどうかは分かりませんが、一般的に言われている多動の気も多く、ADHDの傾向も強いように見えました。

とにかく物にぶつかる、落とすという事が多く、家の中でも大けがをしかねない危うさが常にあります。例えば、思いつくだけでこんなエピソードがあります。

・ゲーム中興奮してコントローラーを振り上げて、コードの繋がったゲーム機本体を一本釣りして壊しそうになる。

・幼児用の教育番組を見ていると、体操やダンスにつられてテレビに突っ込んでジャンプして壊してしまう。

・部屋の中で突然走り出そうとするので、ただのドアノブや仕切りに家具全般が全て注意を払う対象になる。

などなど、部屋の中で何もない場所で転び、目をタンスの取っ手にぶつけて救急車を呼んだこともありました。
服をめくれば大体どこかしらに青あざが複数あって、頭を撫でれば常にたんこぶがあるので嫌がります。私が髪を乾かしてあげるのも、放っておけば本人は頭を痛くて触りたがらないせいです。

親も発達障害

さてそんな従妹の母親である叔母も、私から見れば十分な発達障害です。
会社への遅刻は週に3回か4回。比較的おおらかな時代で社長や一部の同僚が理解をしていたとしても、組織の中に居る事ができません。
結局は小さい子供がいるという事で、完全に突き放す事もできずに、個人事業主として独立させて、外注として仕事を振るような形に落ち着きます。

基本的には酒やたばこといった依存症のある趣向品を手放さないので、経済的な余裕は生まれにくいです。多少まとまったお金があれば旅行や大きな買い物を計画してしまうので、同僚や親族にも常に借金を作ります。
特に流行りものへの執着は強くなります。所持品で周囲との格差を埋めようとするからのように感じます。最新のスマホや化粧品を所持している事が、自分の価値や評価そのものに繋がりやすいからです。
週の半分は遅刻をするし悪びれたりはしない。家に幼い子供がいるはずなのに連日飲み会に行きたがる。はじめは明るくて人懐っこくて、おおらかな人物のように見えますが、徐々に居場所がなくなってしまうわけです。

叔母にとっては子供はトロフィー

養子縁組の話が無くなったのは、私が高校入学くらいの時期です。
私は従妹を引き取るというのであれば、医療的な診断を受けて特別学級への進学が最低条件である事を提示しました。しかし叔母はそれを受け入れる事が出来なかったのです。

叔母も子供の頃からずっと自分を、失敗作欠陥品だと思っています。
気分が落ち込めば誰にも必要とされないとか、誰にも好かれない、全員に嫌われると吐露します。一人前の社会人になって認めてもらいたいという趣旨の発言がたびたび見られます。子供が生まれれば認めてもらえると思ったのに、どうしてこんな事にと落ち込みます。
結果的にブランド品や化粧品や流行商品と同じように、子供も一人前の大人の女性のための所持品として手放せないのです。

自分の子供に「あんたなんか生まれてこなければよかった」などと激昂して言い放つのに、自分が障害のある子どもを産んだという事を受け入れる事が出来なくなり、はたから見れば支離滅裂で破滅的な親子関係を形成します。
発達障害の診断を受ける為には、周囲がどう思っていようと親が許可しない限り行えないし、普通学級への進学をさせたいと思う以上覆せない。
そうして従妹は、決して先など続いていない「普通」への道を歩むことが強いられました。

小学校時代の従妹のエピソード

同居を解消して別々に暮らすことになった叔母一家ですが、それでも物理的には電車で20分程度の場所に暮らす親戚です。節目節目で交流はあり、従妹の運動会などの催し物には私と母も参加しますし、年に数度の祝いの席などで顔も合わせます。
しかし何というか、聞く話がなんだか浮世離れしているというか、地獄絵図が浮かぶようなエピソードばかりです。

クラスメートの誕生会が開かれるということで、従妹はプレゼントを用意して当日訪問しました。しかしクラスメートは誕生日くらいは従妹の顔なんか見たくなかったと泣きだしてしまい、周囲の友人に追い払われたとの事。
つまり、誘われてすら居なかった誕生会の噂を知って、勝手にプレゼントを用意して当日家に訪問したのです。

親友だと思っていた相手が親友ではなかった、なんてものもあります。
基本的に従妹は自分の好意を拒絶しない相手に一方的に好意を寄せます。
想像しにくいかもしれませんが、私ですら親族でなければ距離を取るでしょう。すると教室で話しかけても用事を思いついて席を外さないだけの出来事が、極稀なコミュニケーションの成立として特別な体験へとなっていきます。親友兼幼馴染だと思っていた相手は、運悪く同じクラスが続いて拒絶できずに困っていた赤の他人だったようです。

ちなみに私も、学校のプリントに食べかけのグミにそっと置かれていて、張り付いてもはやどうしようもなくなっていたり、布団の中にクッキーがばらまかれていたりする経験があります。
困ったことにこれは従妹の好意です。猫がよかれと思ってネズミやゴキブリの死骸をプレゼントしてくれたみたいな出来事です。
なるほど、有難い。とはなかなか思えないですね。控えめに言って「二度とやるな」です。ちなみにクッキーを禁止すれば、せんべいやおかきになります。食べ物を禁止したら今度は安全ピンや画びょうにでもなるのかな。まぁ碌な事にはならないのは確かでしょう。

パワーアップして帰ってきた従妹

色々あって、・・・本当に色々あって、叔母一家と我が家がまた同居する機会が巡ってきました。従妹もすっかり大きくなって色んな意味で完成されていました。
では手始めに、命の危険を感じたエピソードからいくつか挙げてみましょう。

即効性のある恐怖系

玄関スペースの階段の最後の一段に、潤滑スプレーが塗布されている。
自転車のロックチェーンの滑りが悪く、従妹が一生懸命吹き付けたのを忘れていたらしいです。足首の捻挫と腕を折りました。

キッチンカーペットに熱湯がしみ込ませてある。
パスタを作って湯切りの時に大量にこぼしたのを忘れていたようです。
踏んで大やけどしてのたうち回りました。家の中でスリッパを履く習慣が身につきました。

階段途中にガラス片が散らばっている。従妹が何かを落として割ったあと、大きい破片だけ処理して後のことは忘れていたようです。スリッパのおかげでセーフです。

浴室に踏み出す一歩目に剃刀の刃がおいてある。
ムダ毛の処理をした後にT時剃刀の刃を変えたけど、気分よく剃れたので替え刃の事は忘れていたようです。浴室ではスリッパが履けないのでレベルが高いなと思いました。あと多少の出血で済みました。

深夜タックルでドアを突き破って侵入してくる。筋トレしてて疲れていたので足がもつれて突き破ってしまったらしいです。今後は常にドアを突き破って槍が飛び出すくらいは想定しておこう。

漬け置きされた大量の食器に包丁が混ざっている。
浮いた油で中が確認できない為、刃物の存在は完全に想定外でした。
指を切る程度の被害で大切な事を学べた気分です。

兵糧攻め系

ゴミ箱に炊飯窯の形をした5合の米が2セット捨ててある。
深夜米を炊いたのを忘れてて、朝気が付き古い方は捨てたようです。その後炊きなおした5合も忘れたので捨てたようです。しっかりゴミ箱をひっくり返して一番奥に隠蔽されていましたが、重量はごまかしが効かないので発覚しました。米びつがキッチンから退避されました。

段ボールで清涼飲料のまとめ買いをしたところ、翌日一口だけ飲んで忘れた缶が20本くらい台所に並んでいました。不用意に飲んでもいいとは言わずに、必ず1本だけ許可する必要を感じました。

従妹の分の料理も作る機会があったので、レシピを教えました。
一週間ずっと同じものを三食作り続けていました。しかも二人分の分量で。
その後従妹は、体臭が歩くニンニクみたいになってて飲食店のバイトをクビになってました。

一口だけ残して片付けを回避する事や、必ず新しい食材から使い果たすなど基本的なスキルは初めから備わっていたので、最終的には冷蔵庫に一度入れた物は全て明日の保証がされない、捧げものの様な認識で生活していました。必要な物は部屋に隠しておかなければいけません。

精神的攻撃系

どういう訳か会話が成立していたのは、最初の二週間ほどでした。
「おはよう」という挨拶も私や母親に帰ってくる事はなくなり、8年以上声も聞いたこともありません。私や母親が帰宅して、門扉の開閉音を聞くと急いでリビングの電気を消して自分の部屋に駆け上がって避難するようになります。おかげさまで8年声を聞かないどころか、階段を駆け上がる足しか見たことがありません。

ドアの裏に隠れる。
門扉の音を聞いてから逃げる時間が足りなかったのだと思います。
真っ暗なリビングのドアを開けて、まだわずかに光の残滓が残る照明を見上げながら、スイッチに手を伸ばすとドアの後ろから従妹らしき人影がすり抜けて階段を駆け上がっていきます。どうやらリビングのドアの裏に身を潜めてやり過ごしたようです。
ちょっと感動しますよね。サイコパステストの模範解答で見たことあるなーと。様々なバイトを全て自分から辞めた事などなく、頼むから辞めてくれと懇願されてきた従妹ですが、恐らく天職は暗殺者なのだろうと思います。

このくらいの経験を経ると、こんな感じになります。
朝出社前に身支度の間に電子レンジで朝食を温めていると、洗顔中にリビングで気配を感じます。従妹が知らずに電子レンジを開け放ちまだ冷たい私の朝食を取り出し、少し硬直したのちに自分のご飯を温めだすといった物音が聞こえてきます。その際にゴミ箱に何かが勢いよく落ちる音も聞こえてきます。特に何の考えもなく私の朝食をゴミ箱の上においたら、蓋がくるりと反転してゴミ箱にボスッ!と叩き込まれたのでしょう。そんな事では腹も立たないどころか運が悪かったと割り切って朝食抜きで出社する事など珍しい事でもなくなります。

平然と記事に書いていますが、もちろん平気ではありません。
深夜バーベルを使った筋トレの音がうるさくて眠れないと伝えると、ルームランナーを購入して深夜走るようになります。おかげで深夜何らかの形で起こされる2500日連続寝不足で記録を更新し続ける日々です。精々1・2年の赤ん坊の夜泣きで精神的に追い詰められる方が多い様子を見ると、私はその耐性が異常な個体だからギリギリ死にかける程度ですんだのでしょう。

休日に隣家から異臭がするとクレームを受け、原因を追究したら従妹が部屋の換気で窓を開けていただけだったりもします。リビングから生ごみの匂いがすると騒然となっても、従妹のバスタオルが椅子に掛けられているだけだったりもします。

帯状疱疹がでたり、脳梗塞の初期症状で冗談のように手が震えて箸を落とす事もありましたし、顔の半分が引きつって緊急入院する事もありました。
119番の通報をしようとスマホを手に取っても、1という文字が認識できないしテレビから聞こえる日本語が、まるで未知のアラビア語か何かのように何ら理解もできない一時的な失語症も経験しました。

必要な距離

結局私はその後同居を解消して、今では叔母にも従妹にも現住所を知らせていませんし連絡も取っていません。青森の実家である長男家でも叔母は出禁になりました。恐らく叔母の葬式に出る事も無いでしょう。

もしあなたが発達障害の子供を持つ親であるならば、普通への道が辿るその結末を想像してみてください。貴方はこれらの生活の中で正しく矯正する事が可能だと考えますか?
大人になり力が強くなればなるだけ、善意や悪気の無い行動が凶器になりかねない。そしてその時に親には押さえつける力すらありません。
私のケースはかなり重い極端な例ですが参考になれば幸いです。

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