固い雪の一片 #青ブラ文学部
昨夜は東京でもチラチラと雪が舞いました。
あなたが住まう地域ではいかがでしたか?
例年よりも数日早い初雪だそうで、私は夜中にもかかわらず急いで上着を羽織って近くの公園まで歩きました。
数年前、しんしんと降る雪の中二人で東京タワーを見上げていましたね。
「寒くないかい?」
と、あなたは私の手を取り、自分のコートのポケットへ入れてくれました。
「大丈夫。東京タワーを見ていると、不思議とホッとするの」
そう答えながらも私は、あなたに抱きついていました。


オレンジ色に明るく輝く東京タワーを見上げていると、クリスマスツリーのようで楽しかった二人の時間を思い出す。
これが二人で過ごす最後のクリスマス。
今度の休みに入ったら、あなたは故郷へ帰る。
「一緒に来ないか」
と言われていたら、私はどんな選択をしていたのだろうか。
一も二もなく、あなたについていったかもしれない。
だけど、あなたは私の希望と未来を守ってくれた。
その優しさがわかるから、私も自らの希望と未来を切り開いて行くと決めた。

東京の空に小さな雪の欠片が、はらはらと落ちてくる。
雪のひとひらが、あなたの頭にふわりと降りた。そのキラキラと輝く結晶を掴み取りたくて、あなたの髪に触れようとした瞬間に雪のひとひらは水滴へと変化していた。
私たちの恋も、アスファルトに囲まれた東京の街に降る一片の雪のようにほんのわずかな時間で結晶という固体から、掴みどころのない雨のしずくのように液体へとなり、側溝へと流れ落ちていってしまうのかもしれない。

ふわり、ふわりと舞っては、はら、はら、はらと天から地上へ堕ちていく小雪たち。
大都会のイルミネーションにまぎれながら、その光を反射させ、ひら、ひら、ひらと舞いながら落ちていく。
白い音符のような雪のひとひらが、ひとつ、また、ひとつ。スタッカートのようにあなたの肩、私の腕に乗っかってきては消えていく。
その白い音符たちはレガートの動きになり、連なって私たちの間で舞っている。
だけど、星屑のように連なっていた雪たちは徐々に離れていき、ガラスが砕け散るように道路の水たまりへと落ちて、しだいに消えていった。

すぐそばには、いなくなる。
けれど同じ空の下、雪のひとひらのようにあなたは私の元へ、私はあなたの元へ、ひっそりと舞い降りていく。
その雪の結晶は二人の熱でも溶けることがないほどに、固く消えない結晶となる。

了

#青ブラ文学部 #雪のひとひら
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無職で色無し状態だニャ~ン😭
