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黄色の点滅【毎週ショートショートnote】お題:信号機ぶどう味


中秋の名月にはまだ早いが、爺は縁側で月を相手に飲んでいた。
肴は娘が送ってきたぶどう。皿に三粒、横一列に並べる。
赤い甲斐路、黄色と言い張るロザリオビアンコ、青いシャインマスカット。
「信号機だな」
緑を青と呼ぶ国だ。文句はあるまい。
まず青をつまむ。進め。甘い。
次に黄。注意して進め。これも甘い。
残るは赤。止まれ。
止まれと言われて素直に止まる男なら、若い頃にもう少し出世している。
だが今夜は、なぜか指が伸びない。
表の交差点では、深夜の信号が黄色の点滅に変わっていた。
止まれでも進めでもない、どっちつかずの色だ。
「わしと同じだな」
見上げると、月も黄色い。雲に隠れては、また出てくる。
「お前も点滅か」
爺は赤い一粒を、皿ごと月のほうへ押しやった。
「相伴料だ。わしはもう少し、こっちで点滅しとる」
猪口の酒は、なぜかほんのりぶどうの味がした。




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