無価値の歩き方 #12「色即是空」 ――第4章:私の在り方
Laed:サエコ
色即是空
「……もしかして、
他人の下着にでもご興味あるのかしら?」
私は、さっきから私の干した洗濯物を凝視したままフリーズしている、薄汚れたおじさんに声をかけた。
さっき炊き出しの列の近くでコソコソしていた人だ。
せっかく生乾きの服を乾かすのに最適な温風スポットを見つけたというのに、変な人に目をつけられてしまった。
「き、貴様……自分が
何を言っているのか分かっているのか……!」
おじさんはハッと我に返り、血走った目で私を睨みつけながらフラフラと歩み寄ってきた。
首元のタグが、ピーピーと鬱陶しい警告音を鳴らしている。
「私は国に殺される!
いいか、ここにあるのは世界の真実だ!
国家の三百億EU もの負債データが
すべて入っているんだぞ!」
彼は、手に握りしめていた分厚い裏帳簿の束を、狂ったように振り回した。
「これを海外の格付け機関に放流すれば、
この国は終わりだ!
EUの価値は暴落し、国家は明日にも
デフォルトを起こす!
世界がひっくり返るんだぞ!」
「へえ。デフォルトね」
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