備えは必要よ――言葉を持たない知性 4Days/Day2
言葉を持たない知性 4Days
MC:アイ
朝、家を出る前に折り畳み傘をバッグへ入れる。
窓の外には、まだ雨の気配すらない。
それでも私は、濡れる前に傘を持つ。
まだ来ていない必要を選ぶ
傘を入れた日は、たいてい降らない。
置いてきた日に限って、降る。
そんな気がするだけなのでしょうけれど、使わなかった傘をバッグから取り出すたびに、少しだけ損をした気分になります。
でも、雨が降らなかったからといって、傘を持った判断まで間違いだったとは限りません。
私たちは、今起きていることだけを見て行動しているわけではないからです。
明日の朝食を買う。冬が来る前に暖房を点検する。旅行へ行く前に、使うか分からない薬や充電器まで鞄へ入れる。
まだ空腹ではない。まだ寒くない。まだ困ってもいない。
それでも、これから必要になるかもしれないものを、今のうちに選んでおく。
私たちは、そうした行動を「備え」と呼んでいます。
では、言葉を持たない動物たちはどうでしょう。
彼らも、まだ起きていないことのために、今の行動を変えるのでしょうか。
朝食のない部屋
その問いを考えるうえで、よく知られているのが、北米西部に暮らすカラス科の鳥、アメリカカケスを使った実験です。
アメリカカケスには、食べ物を隠しておき、あとで取り出して食べる習性があります。
実験では、鳥たちは朝になると二つの異なる場所で過ごしました。
一方では朝食をもらえる。
ところが、もう一方では何も出てきません。
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