【ADHD / ASD】非同期通信で繋がる、不完全なシステムたちへ
部屋の明かりを落とし、スマートフォンの青白い光だけが網膜を捉える時間。親指で静かに画面をスクロールさせながら、私は小さく息を吐いた。
noteのタイムラインには、私と同じような「仕様」を持つ人たちの、切実なエラーログが溢れている。
「皆と同じことができない」 「頭の中が騒がしく眠れない」 「他の事に気持ちをとられ、直前まで自分が何をしていたのか思い出せない」
そんな他者の記述を目にするたび、まるで自分のソースコードを見透かされたような感覚になり、深く頷いてしまう。
宇宙の通信システムを管理し、今は「組織」という最も難解なシステムを動かしている。 そのキャリアのせいか、私は「うまくやっている」ように見せるUIの構築に長けてしまったようだ。ネガティブな感情や日常の細かなバグは、すべてバックグラウンドで処理し、表向きはエラーひとつなくサクサク動いているように振る舞う。記事のなかでも、つい軽やかにやり過ごしているような顔をしてしまう。
けれど本当は、内部のCPU使用率は常に高止まりし、見えないところで冷却ファンが轟音を立てて回り続けている。平気な顔の裏側で、それなりの生きづらさという名のメモリリークを抱えながら歩いている。
物理レイヤーでの同期——いわゆる「当事者の集まり」のようなリアルな場——には、未だにアクセスする勇気がない。人との同期処理はどうにも苦手だ。
しかし、この非同期のテキスト通信を通して、同じようにバグに悩み、不完全な仕様に戸惑う人たちの記録を知ることは、驚くほど私の心を解放し、溜まりきったキャッシュをクリアしてくれた。
誰かが書き残した不器用な「エラーの記録」が、巡り巡って私のシステムを軽くする。それはオープンソースの開発コミュニティで、見知らぬ誰かのバグ報告に救われるあの感覚によく似ている。
これまでずっと、私は「見る専」という読み取り専用モードで、この海を漂ってきた。
けれど、もし誰かのログが私を救ったように、私が日々出力しているこの不格好なエラーログも、どこかの誰かの心を再起動させる修正プログラムになるのだとしたら。 当事者や、その近くで彼らを理解しようともがく家族たちの、重たいプロセスを終了させる手助けになるのだとしたら。
完璧なコードなんて、人生には最初から存在しない。 だから、この愛すべきポンコツな仕様のまま、少しだけ世界に向けてポートを開いてみようと思う。
私のバグが、今日もどこかの誰かを、ふっと笑顔にすることを願って。
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